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テック 2018.03.11

視覚障害者もVRを楽しめるように 杖で触覚を体感

現在のVRは人の五感のうち、視覚に焦点を当てているものが多く存在します。そのため、VR環境を構築するためのVRヘッドセットが広く世の中では使用されています。

マイクロソフトリサーチ社は、視覚障害者でもVRコンテンツを体験できるような杖型のコントローラーの研究に取り組んでいます。



触覚フィードバックを持つ杖「Canetroller」

マイクロソフトリサーチが研究している「Canetroller」と呼ばれるシステムは、VRコンテンツに応じて杖型コントローラーが振動、触覚を提示します。その結果、まるで視覚障害者が用いる白杖のように、VR内のどこにどのようなものがあるのかを提示することが可能になります。

本論文の著者は、「現在のVRは主にビジュアルのフィードバックが主であり、視覚障害者に対しては体験しにくいものになっている」と論文中で述べています。

本システムではVRヘッドセット「HTC Vive」を使用しており、頭の動きをトラッキングしていますが、VRヘッドセットには映像が表示されていません。そしてベルトと杖が一体化したような「Canetroller」を装着します。体験者は物体の位置をトラッキングする「Viveトラッカー」が装着された杖を持つことで、VR環境における質感の違いを感じることができます。また、水平や垂直に仮想のオブジェクトが当たった際は、杖がそれ以上動かないようにブレーキをかけることもできます。

今のところ、再現できるVR環境や提示するフィードバックはゴミ箱や壁、テーブルといったごく簡単なものとなっています。しかし、このような一般的なシーンでも、視覚障害者にとっては現実世界の効果を作り出すのに役に立ちます。

また、ある体験者の感想によると音も空間を把握する上で重要であることが示されています。

「現実の世界では壁によって音が遮られ、壁がどこにあるのかなんとなく分かりますし、どちらにせよ音は壁によって遮断されます。しかし、VRではそのようには感じませんでした」

課題はありますが、最終的に室内のコンテンツでは9人の体験者の内8人が部屋を上手く移動でき、6人は室外のコンテンツでも問題なく移動できたとのこと。視覚障害者もVRを体験できる方法として、研究の今後に注目が集まります。

(参考)
VRScout(英語) The Next Web(英語)

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