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その他VRヘッドセット 2022.07.02

新型一体型VRヘッドセット「arpara AIO 5K」を体験 「小型・軽量な5K画質」の実力やいかに?

中国ARPARA GLOBAL TECHNOLOGY. LIMITEDは、新型VRヘッドセット「arpara AIO(オールインワン) 5K」を発表しました。現在クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて先行販売が実施中です。

MoguLive編集部は今回、「arpara AIO 5K」の先行体験会に参加。同社が展開する「5K画質で小型・軽量なVRヘッドセット」ラインナップの一つで、初となるPC不要で動作する一体型VRヘッドセットを体験しました。

「arpara AIO 5K」とは?

「arpara AIO 5K」は、ARPARA GLOBAL TECHNOLOGY. LIMITEDが開発した、3種類のVRヘッドセットの一つです。ラインナップのうち、すでに映像鑑賞に特化した3DoF対応の「arpara Tethered 5K」と、ゲーム用途に対応した6DoF対応の「arpara Gaming Kit」が先行販売されています。

そして「arpara AIO 5K」は、PC不要で動作する一体型VRヘッドセットです。

最大の特徴は、デュアルマイクロOLEDディスプレイとパンケーキレンズを採用し、高画質と小型・軽量化を追求している点です。解像度は5120×2560ピクセルで、5K相当の画質を確保しています。また、USB Type-Cによる有線接続、Wi-Fiを介した無線接続による、PCVRコンテンツのストリーミングにも対応しています。

対応アプリは「arparaストア」と呼ばれるプラットフォームにてダウンロードでき、発売から最初のうちは無償コンテンツを提供するとのことですが、どのようなアプリが提供されるかは未定とのこと。現在、日本市場に向けたコンテンツを開発中とのことです。

基本は押さえつつ小型で軽量な本体


こちらが本体の写真。重量はわずか380gとのことで、「Meta Quest 2」や「Pico Neo 3 Link」より軽量なのが特徴です。重量はもちろん、縦方向のサイズも小さいのがポイントです。

頭頂部を通るベルトはVRヘッドセットとしては一般的な構造ですが、実は「arpara Tethered 5K」「arpara Gaming Kit」には存在しませんでした。軽量とはいえ、人によっては装着しているうちにズレる問題点があったため、これを解消するための機構と思われます。

装着方式は、VRヘッドセットでは定番のダイヤルで締め上げる方式です。

瞳孔間距離(IPD)調節はヘッドセット上部のダイヤルで行います。56〜72mmの無段階調整が可能で、ここは3段階調整しか効かない「Meta Quest 2」や「Pico Neo 3 Link」より優れているところ。

全体的に軽量・小型化した影響で、メガネをかけたまま装着はできません。この構造を補うため、レンズそのものに視度調節機能が搭載されています。レンズについたダイヤルを回すことで、メガネを装着しなくとも視界を確保可能です。


ヘッドセットには排熱機構も搭載されています。今回の体験の範囲では排熱効果を意識することはありませんでしたが、稼働している間にファンが回るような大きな音が聞こえたのは気になりました。


コントローラーはOculus Touchライク。基本的な構造は「Meta Quest 2」のものとほぼ同じなので、特徴的なところはありません。

実際に体験。軽くて高画質だが……?


実際に装着してみた写真がこちら。予想通り、装着感はとても軽いです。「Meta Quest 2」などでは額と頬骨で支えている感触がありますが、「arpara AIO 5K」はその軽さゆえに頭頂部と額で支えている感触があります。顔面に大きな負荷がかかりにくい点はメリットです。

今回体験するのは試作段階の製品。現時点では「arpara AIO 5K」には対応アプリが存在しないため、Windows PCからの無線ストリーミングで、VRリズムゲーム「Beat Saber」などを体験することになりました。

なお、ヘッドセットの利用には専用アカウントの作成が必要とのこと。初期起動時に、メールアドレスなどを用いてアカウントを作成するとのことです。

PCとの接続には専用アプリケーションを介します。同一Wi-FiにPCとヘッドセットが接続されている必要がありますが、条件を満たしていれば、VRヘッドセット側から専用アプリでPCを選択することで、SteamVRにメニューが表示されるようになっていました。

体験してまず気づいたのは画質の良さ。解像度が高いのはもちろんですが、「暗さ」や「光や色の鮮やかさ」もよく表現されています。一方、視野角は95度なため、さすがに狭さを感じました。垂直視野角もそこまで大きいと感じられないため、少し目を細めるような視界のようでした。高い映像表現と引き換えに視野角が伸ばしにくい、マイクロOLEDの特性が良くも悪くも出ている印象です。

トラッキングについては、提供された試作品のコントローラーに不具合があり、左コントローラーはまともな精度で動作せず、右コントローラーもそこまで良好な精度と感じられない結果に。担当者いわく、「現在は試作品のため、最適なパフォーマンスには達していない」とのこと。製品版での改善に期待といったところでしょうか。

Wi-Fiストリーミングで体験するPCVRは、さすがに映像圧縮がかかってしまうため、画質は若干劣化しています。これは「Meta Quest 2」でも同様の事象とはいえ、視野角と引き換えに得た5K画質が持ち味の「arpara AIO 5K」の場合、スペックをフル活用しにくいためオススメしにくい使い方かもしれません。

コンセプトはよいが、一部性能や対応アプリに不安が残る

総合的に見ると、「高画質と小型・軽量の両立」というコンセプトは、100%とは言えないもののかなり突き詰めている印象を受けました。一体型VRヘッドセットの中でも特に軽量なのは事実であり、装着負荷の低さは特にVRに不慣れな人にありがたいところでしょう。

95度の視野角については映像鑑賞をメインとした用途であれば、大きな問題ではないかもしれません。一方、ゲームやソーシャルVRなどを好むユーザーにとっては「物足りない」と感じてしまうでしょう。トラッキング精度も現時点では微妙と言わざるを得ません。

そして、現状不透明な対応アプリのラインナップも、不安材料のひとつです。PCVRストリーミングに対応しているものの、映像圧縮による5K画質を活かしきれないため、ヘッドセット単独で体験できる良質なコンテンツに期待したいところです。

試作段階とはいえ、「コンセプトはよいが、一部性能や対応アプリに不安が残る」という評価が、現時点では妥当なところでしょう。製品として完成・販売開始されるまで、上記の問題点がどこまで解消されるかに期待したいところです。

「arpara AIO 5K」は現在、CAMPFIREにて先行販売中です。一般販売予定価格は131,880円(税込)ですが、超早割価格95,880円、早割価格99,480円で購入が可能となっています。販売期間は2022年7月31日(日)までです。
https://camp-fire.jp/projects/view/580504

参考:競合製品早見表

arpara AIO 5K

Meta Quest 2

Pico Neo 3 Link

ディスプレイ

マイクロOLED

LCD

LCD

レンズ

パンケーキレンズ

フレネルレンズ

フレネルレンズ

解像度

5120×2560

3664×1920

3664×1920

水平視野角

95°(水平)

110°(対角)

98°(水平)

リフレッシュレート

90Hz

72/90/120Hz

60/72/90/120Hz

IPD

56〜72mm

58/63/68mm

58/63.5/69mm

トラッキング

6DoF・インサイドアウト

6DoF・インサイドアウト

6DoF・インサイドアウト

重量

380g

503g

642g

有線PCストリーミング

USB Type-C

USB Type-C

DisplayPort

無線PCストリーミング

Wi-Fi

Wi-Fi

(不明)

プロセッサ

Snapdragon XR2

Snapdragon XR2

Snapdragon XR2

ストレージ

8+128GB

128GB/256GB

256GB

価格(税込)

131,880円

37,180円(128GB)/49,280円(256GB)

49,280円


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