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業界動向 2018.11.02

アップル、Leap Motion社の買収を計画するも2度失敗

米国のメディアBusiness Insiderは、アップルが2018年前半にハンドトラッキング技術で知られるLeap Motion社の買収に動いていたと報じています。しかし過去6年間で2度目と報じられている買収の試みは、クローズを目前にして頓挫したとのことです。

トラッキングセンサーのLeap Motion

Leap Motionは2010年に創業。当時はPC用のモーションコントローラー「Leap Motion Controller」を開発していました。このコントローラーは机の上にセンサーを設置し、その上で手を動かすとマウスを使うことなく手の動きでPC等の操作ができる、というものでした。2012年に発売され、2018年現在も国内外で数千円で販売されています。

その後同社はVRヘッドセット向けデバイスとしての可能性を模索するべく路線を変更、VR向けのハンドコントローラーとして展開を行っていました。VRヘッドセットの前面に「Leap Motion Controller」を装着することで、手にコントローラーを持つことなく、VRで手を動かすことができます。2012年発売のデバイスながらソフトウェアのアップデートを繰り返し、非常に高精度なトラッキングが実現しています。

また2018年3月にはオリジナルのARデバイス「Project North Star」をオープンソースのプロトタイプとして電撃発表し、注目を集めています。一方で、同社のビジネスを支える明確な収益源はまだ現れていません。

2013年にも買収持ちかけ

Business InsiderがLeap Motionの匿名の社員及び「情報に通じた人物」からの情報として報じるところによれば、2018年春、アップルによる買収は最終ステージまで話が進んでいました。提示価格は3,000~5,000万ドル(約33.6億~56億円)。従業員の待遇といった詳細まで話は及んでいましたが、不成立に終わったということです。

さらに、このレポートは、2013年にもアップルが買収を持ちかけていたと報じています。しかし当時も、Leap Motionの共同創設者David Holz氏の反対により交渉は成立しませんでした。


(Leap Motionの共同創設者、David Holz氏とMichael Buckwald氏)

2社の今後の動きは?

Leap Motionはこの報道に対して「当社のチームメンバー、技術の重要な役割、コンピューターの未来に関する研究開発の価値に気づいた大企業から、しばしば買収を持ちかけられる」とコメントしています。

同社はこれまでに累計9,400万ドル(100億円超)の資金調達に成功しており、直近では2017年7月、シリーズCで5,000万ドルの投資を得ました。しかしこれに見合う成果が出ているかという点については、疑問符も付きます。

2018年の買収不成立後、10月にはデザイン部門責任者のKeiichi Matsuda氏が退職。さらにコストカットのため、オフィスを移転するという報道もなされています。

トラッキング技術のリーディング企業として最新技術を発表しているLeap Motionですが、市場に出回るデバイスへの採用は進んでいないのが実態です。一方のアップルはARデバイス開発が報じられ、関連企業の買収や特許取得を進めています。

(参考)Road to VR
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