手持ちのスマートフォンで手軽にVR体験を楽しめるモバイルVR。しかし、Amazonで検索をかけるとあまりにも多くの種類のモバイルVR用デバイスが見られ、どれを買ったらいいか分からないと思います。
参考までにMogura VR編集部では全てのデバイスを実際に検証し、一つ一つレビューしていきます。
第2回で取りあげるのは、『VR SHINECON』。日本国内ではtepoinn(テポインー)の店舗名で販売されています。Amazonの「3D メガネ」のカテゴリーではベストセラー1位(6/24 20時現在)となっていますが、果たしてその実力はどのようなものなのでしょうか。
この『VR SHINECON』も、前回の『Virtoba X5』と同じく、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)なので、ヘッドバンドつき。手で支えることなくVR体験が可能です。
なお、今回はスマートフォン「Xperia Z5 Premium」、イヤホン・ヘッドホンはソニーの「MDR-NWNC33」とJVCの「HP-RX700」を使用しました。また、執筆者の視力は0.01の近視です。
VR SHINECONの特徴
この製品の一番の特徴は、スマートフォンのカメラが使えるように前面のパネルが外れるようになっていることです。
しかしこの機能、Xperia Z5 Premiumのように、スマートフォンのカメラがスマートフォンの中央ではなく左右に配置されたものを使用すると、カメラ部分をHMDが覆い隠してしまうので、上手く機能しません。
また、スマートフォンのカメラを使用するVRアプリもそう多くはないので、あまり使うことはないでしょう。
IPD(瞳孔間距離)の調整、ピントの調整はどちらも可能です。頭にかけるベルトは頭を横に一周するベルトと、頭の頂点を半周するベルトの二本で構成されており、Gear VRと同じ構造です。
スマホの装着はHMD前面のカバーをあけ、専用の留め具にスマートフォンを固定する形になります。
VR SHINECONの優れている点
顔に直接当たるスポンジの部分と、ヘッドバンドの素材、どちらも顔や髪にひっかかることなくスムーズに装着することができます。
また、特徴のところで紹介した、カメラ用に開けることができるカバー。こちらを外すと、メッシュ状にHMDが加工されているため、スマートフォン本体の熱がこもりにくいようになっている点も良かった点です。
VR SHINECONの悪い点
今回のHMDは、はっきりいって不満点ばかり目立ちました。
視野角ですが、狭いです。視界を覆い尽くすほどの視野角はありません。そのため、スクリーンのように見えてしまい、没入しているという感覚はそがれてしまいます。
これに追い打ちをかけるのが、顔と密着するスポンジの部分です。このスポンジがこの製品では鼻と密着していないため、そこから光が漏れ、外の現実世界が見え、没入感がそがれてしまいました。
また、気になるメガネの使用の可否ですが、メガネは入りませんでした。
一回り小さいものも試しましたが、そちらも入らなかったので、この製品ではメガネの使用自体ほぼできないと考えてもらっていいでしょう。
では、視力の弱い人がメガネなしできちんと見えるのかというと、今回、視力0.01でははっきりとピントを合わせることはできませんでした。メガネを使わないとぼやけてしまうという人にこのHMDはおすすめできません。
また、Xperia Z5シリーズと似たような形のスマートフォンに言えることなのですが、スマートフォンの留め具の形状からか、音量ボタンやカメラのシャッターボタン、または電源ボタンと留め具が干渉する場合があります。
上の写真、赤色の円内にて、音量ボタンと留め具が干渉し、音量が+になっていってしまいました。
留め具とスマートフォンのボタンが干渉していないかをいちいち確認しなくてはいけませんでした。
また、スマートフォンに付属してきたイヤホンなど、プラグが小さなものならば問題はないのですが、ヘッドホンのようにプラグが大きなものを使用する場合は、HMD前面の蓋が閉まらないので、VR体験をすることができません。
VR SHINECONの総評
良いと感じた点がスマートフォンの放熱ギミックだけで、他の点では酷評になってしまいました。
裸眼でも大丈夫な人やコンタクトレンズを使用している人にとっても、色々と細かな点で残念なところが見受けられるHMDである上、もっとも没入感に関わる視野角の点で狭すぎるので、VR体験をするためにこのHMDを買うのはおすすめできません。
デバイス名:VR SHINECON
メーカー:Shinecon(ブランド名)
価格:2260円(6/24現在)
視野角:96°
IPD調整:可
眼鏡の使用:不可
対応スマホ:3.5-5.5インチのスマートフォン
良い点:手頃な価格のヘッドマウントディスプレイ
悪い点:視野角が狭く、全然VRコンテンツに没入できない。