将来のVRでは現実と同じように奥行きのピント調整可能に Oculusが新技術開発

現行のVRデバイスが現実での体験とVR体験を近づけるためのポイントの1つが「焦点」です。

Oculus Riftを始めとするげ世代の全てのVRデバイスは、平面のディスプレイに映像を映し出し、左右の目でずれた映像を見ることで擬似的に立体視を行っています。現実では世界はそのものが三次元(立体的)であり、左右の目で見ているものは同一のため、奥行きに従って焦点を合わせることが可能です。

Oculusのリサーチ部門であるOculus Researchは、新たに開発した「Focal Surface Display」を発表しました。同社によると、この新技術はこれまでのVR用ヘッドマウントディスプレイが抱える輻輳調節矛盾という問題を解決する、画期的な技術であるとうたわれています。

本技術の詳細はOculus Researchから論文が公開されており、7月に開催される世界最大級のコンピュータグラフィックス分野のカンファレンスSIGGRAPH 2017にて公演が行われるとのこと。さらにOculusは、以下の動画による簡易的な説明を伴ったブログ記事も投稿しました。

https://www.youtube.com/watch?v=gwO-3AgNIao

これまでの対処方法の限界

輻輳調節矛盾を克服するためにこれまでに試行されてきた方法としては、3D空間に対して焦点距離ごとの画像イメージを作り(焦点距離ごとに画像をスライスする)、視線移動に合わせて、くっきりと表示する画像を切り替えるといったものがありました。しかしこの方法は、区切られた焦点距離の間に物体が位置していた際には、きちんと焦点の当たった様なイメージを生成することができません。もちろん、区切る焦点距離を限りなく細かくすれば、あらゆる物体に視線が向けられても自然なイメージの描画ができますが、これは現状のコンピュータの処理能力上、現実的なものではありません。

平面ではなく凹凸のあるイメージを用意する

一方、新技術である「Focal Surface Display」は、ヒトの目が物体に対して焦点を合わせる仕組みを模倣しました。ディスプレイに入射する光を自在に調整することで、3Dの各物体に対する勾配をもった焦点情報が得られます。そして、この焦点情報によって歪ませた画像情報を深度ごとに数枚用意します。

この場合、視線移動に合わせて切り替える画像は、あらゆる深度分に画像イメージを用意するよりも少なくて済み、コンピュータに必要な処理能力も削減されます。そして、これを可能にするため、ハードウェアには光を選択的に屈折できる空間光変調器(SLMs)が投入されています。

実用化にはまだ時間が必要

論文では、本技術はカラー画像でおける複数の焦点切り替えの試験をクリアし、これからのHMDにおける輻輳調節矛盾を解決するに十分な技術であると結論づけられています。なお、本技術は完璧に輻輳調節矛盾を解決したわけではないものの、おおむね妥協できるレベルにあるとのこと。

ブログ記事では、本技術はまだ商品への実用化といったレベルには遠く及ばないものの、今後の研究開発を活性化させるものであると述べられています。また、いわゆる可変焦点レンズの応用次第によっては、VRヘッドセットにおいて眼鏡が不要となる可能性もあるとのこと。

「Focal Surface Display」においては視線トラッキングが必須ですが、こちらの技術もまだ完璧なものではないため、幅広い分野での活用に向けてはまだいくつかは乗り越えなければならない壁があるようです。

(参考)
Oculus Research Reveals “Groundbreaking” Focal Surface Display
http://www.roadtovr.com/oculus-research-demonstrate-groundbreaking-focal-surface-display/

※MoguraVRはRoad to VRとパートナーシップを結んでいます。

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