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活用事例 2017.08.16

VR関連企業5社の共同発表会、VRコンテンツ分析サービスなど

8月9日、VR事業を展開する国内スタートアップ4社とイスラエルのスタートアップ1社が共同で記者発表会を開催しました。今回のようにVR事業にテーマを絞った内容で複数の企業が共同で発表会を行うのは珍しく、会場を提供した株式会社D2Cからもグループ会社が発表を行いました。

各社の製品サービス発表の前に、LIFE STYLE株式会社の永田CEOからVR市場の現況について説明が行われました。「VRクリエイターのエコシステム」を目指す同社は、消費者向けのBtoC市場と産業向けのBtoB市場の両方が共に成長していることを指摘しました。

4K360度動画のライブストリーミング

LIFE STYLE社の冨山COOは、2017年は360度動画を視聴するユーザーを増やすことを同社のサービスビジョンとしていることを紹介。同社は2020年にインタラクティブな体験型のVRコンテンツが普及すると考えていることを、下記のスライドで説明しました。

同社は新しい取り組みとして、360度ライブストリーミング配信サービスを開始することを発表しました。本サービスの特徴は高画質な360度動画を専門としていることが挙げられ、配信条件として4K以上の解像度であることが求められます。先日、フェイスブックが4Kライブストリミーングに対応したことが影響しているように見受けられ、配信プラットフォームはフェイスブックが念頭に置かれています(他のプラットフォームでの配信も相談可能とのこと)。また、フェイスブックの仕様上、動画視聴の分析機能を使うために50,000再生以上が必要という制限があることを挙げ、これまでの制作経験を活かして再生回数を増やし、撮影から配信だけでなく分析結果までを含めたサービスに繋げていくとしました。

同社はInsta360 Proといった4K画質のライブストリーミングが可能な360度カメラの他に、日本未発売のZ CAMとION360 Uを保有しており最適な360度カメラを使ってライブ配信を行えるのも強みとのこと。特にスマートフォンに取り付けるタイプのION360とフェイスブックライブを使えば、4G回線でも4K360度ライブストリーミングが可能で、さらに30分以上の連続撮影にも耐えられることから、ライブ配信に適した360度カメラであると説明しました。

サービスの概要
・配信時間:30分以上
・クオリティ:4K以上
・プラットフォーム:フェイスブック(その他応相談)
・ユーザー分析:50,000再生以上

将来的にはライセンス販売や納品した映像データを広告などの2次利用に繋げていくことも考えているとのこと。360度ライブストリーミングはリアルタイム性とコミュニケーション性の両方の性質を持っており、VR市場の拡大にも貢献するだろうと説明しました。

VR分析ツール「AccessiVR(アクセシブル)」

これまでに5タイトルのVRコンテンツを開発販売している株式会社ダズルは、VR開発者向けの分析ツール「AccessiVR(アクセシブル)」の発表を行いました。「AccessiVR」は2017年3月よりクローズドベータ版を提供していましたが、8月7日より正式版がローンチされました。すでにクローズドベータ版は複数社に導入されており、本発表会でMyDearest株式会社、株式会社アイデアクラウド、LIFE STYLE株式会社、株式会社Synamonに導入されていることを明かしました。

「AccessiVR」は、SteamやOculusなどのプラットフォームでの配信コンテンツとアーケード施設などのロケーションベースのVRコンンテンツの両方に対応し、コンテンツにSDKを組みこむことで使用可能。また、3DCGで制作されたゲームなどのインタラクティブなコンテンツと360度動画を分析することができます。現在は視線データ、行動データが主に取得可能で、今後はユーザー属性データと脈拍数や発汗といった生体データの取得も目指しているとしました。

導入の価格帯に関しては、国内向けにコンテンツを配信している企業であれば、低価格帯で導入できるところがほとんどになるとのこと。プラットフォーム向けプランでは、MAUが100名までは無料で、100名以上の場合はMAUの数に応じて価格が決定されるというものです。

製品版「AccessiVR」で新しく追加された機能としては、オブジェクトを指定して行動データを取得できる機能、指定した複数のユーザーの行動を同じ時間軸に直して時系列で可視化する機能、特定の行動をしたユーザーに絞って分析する機能があります。また、広告代理店にはVRコンテンツ配信後のレポートを作成するニーズもあり、制作会社以外にも引きがあると想定しているようです。すでに「AccessiVR」の販売代理店も募集中とのことです。

ゲームエンジンはUnityに対応。UE4については2018年に対応予定です。分析機能に加えて、予算管理やスケジュール管理の機能もあり、今までの環境とは違い「PDCAを回したコンテンツ制作」が可能になるとしています。

複数人のユーザーの行動を指定したイベントごとに可視化・分析することができる。

プラットフォームプランは、小さい事業規模でも導入しやすい価格設計をしたとのこと。

ネットカフェでのVR導入は収益性と運用面に課題

株式会社ブループリントは、2017年6月から7月の6日間、複合カフェ アプレシオ新宿ハイジア店で実施したVR体験イベントのユーザーアンケートの回答を発表しました。同イベントは下記8つのVRゲームを体験できるというもの。45分の体験時間内で複数のコンテンツを自由に体験でき、価格は1組(5名まで)5,000円(アンケートに答えると2,500円)。

・Magic Caster
・OneManVurgeR
・Tilt Brush
・HoloBall
・Fruit Ninja VR
・Arizona Sunshine
・Audioshield
・The Lab

アンケートの有効回答数は55件。6日間で42枠が実施されたとのこと。体験者の特徴としては初めて同店舗に来たという属性が85%を占め、さらに体験者の全員が満足したと回答をしました。

コンテンツの人気を見ると、ゾンビをシューティングするFPSゲーム『Arizona Sunshine』が最も人気があり、次に僅差でブループリント社が制作したドラゴンを倒す内容の『Magic Caster』が人気となりました。

体験者からは概ね好評という結果がありましたが、運営者視点では収益性と運用面で課題が見つかったとのこと。VR体験コーナーの設置は、ネットカフェのような個室スペースがある場所であれば比較的容易であることが利点と指摘しました。

サイネージの映像が現実に飛び出す『MIXED SIGNAGE』

D2Cグループで広告などのクリエイティブ制作会社である株式会社イメージソースは、プロトタイピングで制作したAR/MR製品コンテンンツを発表。HoloLens用の入力インタフェースデバイス『HOLOTAMA』、Androidスマートフォン用AR技術「Google Tango」を使いサイネージの映像とリンクするコンテンツ『MIXED SIGNAGE』を発表しました。

球状のコントローラー。加速度センサーが入っており、手を振ることで入力ができる。

Google Tangoを使って、サイネージの映像が現実に飛び出して来たような体験が可能。

4K3D撮影が可能な360度カメラ「Vuze」

日本人が起業したイスラエルに本拠地を置くAniwo社は4K3D撮影が可能な360度カメラ「Vuze」を紹介。同社は日本向けのマーケティング支援を行なっています。現在、「Vuze」の取り扱い先や代理店を募集しているとのこと。

発表会後の展示では、VRゴーグルが用意されていなかったため撮影した3Dコンテンツを体験することはできませんでしたが、現在クラウドファンディング「Readyfor」で支援を募集中。10万円近い価格から、RICHO THETAやGear360、Insta360 Nanoといった一般消費者向けというよりも、ガジェット好き、もしくは実写3Dコンテンツ制作を業務とする層への製品と言えそうです。


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