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VR動画 2017.01.10

【怒涛の12本】狩人イチオシの360度動画 パート2

こんにちは。オーツグと申します。Mogura VR編集長から「“360度動画の狩人”となれ!」と指令を受けて始まった本連載、無事に第2回目を迎えることができました。どうぞよろしくお願いいたします。

ロンドン:2016-2017年カウントダウン花火イベント

ロンドンで行われた年越しイベントの花火大会の様子。とにかく派手で景気良く花火がどんどん打ち上げられていきます。観覧席の最前の特等席から見る光景も綺麗ですが、花火の打上げ台のすぐ近くで爆煙に包まれて花火を見上げるのは圧巻でした。ただし花火が始まるのが遅いのがこの動画の欠点。10分過ぎくらいから始まるので、その辺りから見始めるのがオススメです。

一番前の席からの視点

発射台のすぐ近くからの映像。生身で入ったら火傷しそうです…

Gear360で撮影したスキーパラグライダー

山頂からパラグライダースキーで滑走というか飛行するエキサイティングな体験を楽しめる360度動画です。単純に楽しいというか崖に突っ込んでそのまま離陸して飛ぶのとか恐かったです。国内でも市販されているサムスン製の360度カメラ「Gear360」で撮影とのこと。動画綺麗ですね。90秒と短いですが、中身は濃いので見ごたえも十分でした。ちなみにサムスン公式の動画です。

猛スピードで崖に突っ込むので本当に怖かったです。エキサイティングを通り越して怖い…

空から見る雪山は絶景でした!

ドバイの世界一の超高層ビルブルジュ・ハリファの頂きから

アラブ首長国連邦ドバイにある世界一高い超高層「ビルブルジュ・ハリファ」の頂きからの絶景を体験できるという360度動画です。高さ829メートルから地上を見下ろすことができます。どちらかというと空中に浮いているような感覚になれて、高い所が苦手な筆者でも楽しめる事ができました。

高すぎてもはや高さが分からないレベル…

ちなみに制作は「Department of Tourism and Commerce Marketing(DTCM)」という国の機関。イケてる国家ですね。

Hulu VRによるリル・ウェインの360度トレイラー

Huluが米国の人気ラッパーであるリル・ウェインのコンサートを360度動画で配信するということで、そのトレイラーも360度動画で制作したようです。トレイラーにはリル・ウェインが白黒映像でスケートをするシーンやライブシーンなどが収録されていて普通に格好良いです。さすがアメリカです。

スケボーに興じるリル・ウェインとその一味

ライブパフォーマンス中のリル・ウェイン

このトレイラーはYouTubeで公開されていますが、本編の方はHulu VRというアプリケーション(Gear VRとOculus Rift)が必要です。ちなみにHulu VRは日本未配信。リル・ウェインのコンサート見たいのに残念です。

レッツポコポコ『魔法の「カギカッコ」』

アイドルグループ「レッツポコポコ」の360度動画です。渋谷O-nestで行われたライブ映像で、ステージと観客席フロアの近さが特徴と言えます。カメラはステージの一番前にあり、ステージ上から間近で演者が観れるというよくあるパターンの360度動画です。ですが、実は演者よりも観客の方が間近という凄いことになっていて衝撃を受けました。観客の方々が本当に目の前にいるのです。

めちゃくちゃ近くてとにかく凄い事に!!

筆者は「Back Street Girls」というヤングマガジンで連載されている漫画が好きなのですが、その作品内に登場するゴクドルズというアイドルグループのメンバーになったような気分になることができました。ゴクドルズは暴力団の若手構成員が組長の命令で性転換手術をして結成されたアイドルグループで「(心は漢なのに)男性のファンの方にこんな目で見つめられると大変だ」と思いました。

また曲も1980年代っぽい雰囲気があり、ユニゾンが綺麗な良い曲だなと感じられて良かったです。映像ではどうしても観客の方々に目が向いてしまうのですが、レッツポコポコの軽快なダンスのステップが散歩する猫のようで良かったです。

YouTubeには同じライブでの通常の映像もあり、見比べてみると面白かったです。ファンの方なら2回楽しめるというのは良い事ではないでしょうか。

この「くらげくらげ」という曲もとても良い曲なのですが、歌い出しが1980年代の某ベストセラー小説のタイトルで笑いました。筆者は狩人として360度のMVもディグっているのですが、映像演出も大切ですがそれ以上に楽曲が大切だと改めて思いました。

配信先は360Channelで、PC、スマホアプリ、Gear VRとOculus Riftから見ることができます。

レッツポコポコ『魔法の「カギカッコ」』 – 360Channel
https://www.360ch.tv/videoview/98

Starset「Ricochet」MV

米国の人気バンド「Starset」の360度MVです。手術室に固定されたカメラを通して映像が進んでいきます。面白いのが手術室の壁や床、机などに歌詞の文字が浮かび上がってくるという演出によって視線移動をさせているところ。同じシーン・同じ場所で固定カメラによる映像だと、登場人物の動きなどで視線移動させるのが一般的ですが、このMVでは歌に合わせて部屋のどこかに出てくる歌詞を探すというアクションを視聴者に促し、視線移動をさせます。

自然なインタラクションを生み出している非常に良いアイディアの360度MVと言えるでしょう。また「360 Lyric Video」とあるように、360度動画ですが自然に文字が読めるように工夫されています。アイディアの面白さとそのアイディアを活かすための技術の高さも感じられる作品でした。

床に出てくる歌詞(読みやすい)

壁に出てくる歌詞(読みやすい)

非常にレベルの高い映像ですが、天井の箇所の繋ぎ目だけ雑で笑いました。普通に見ている分には気づかないですし、このMVに関しては体験を下げるものではないので割り切り方が潔いですね!

博士と万有引力のりんご

「絵本の世界に入り込んで、物語を体験する」をテーマにした作品。日本のコンテンツなので日本語というのが安心なVRアニメ作品です。Mogura VRの下記の記事で詳しく紹介・解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

関連記事:VRで絵本の世界へ ニュートンをモチーフにしたVRアニメ『博士と万有引力のりんご』公開
http://www.moguravr.com/newton-release/

国内の360度アニメ作品では最も質の高い作品の1つと言えるのではないでしょうか

字幕も360度動画用に演出されていて面白かったりするのですが、どうしても見づらい・読みづらい箇所も…

アニメーション全編に流れるミュージカル調の歌も含めて非常に作り込まれた本作品。どこを見渡しても作品の世界観を楽しむことができるので本当に絵本の世界に入り込んだように感じられます。公式サイトでは高画質版を無料配布しておりOculus RiftやHTC Viveで視聴することもできます。PS VRでも「LittlStar Japan」から見ることができ、スマホではハコスコストアからダウンロードして見ることできるなど、様々なプラットフォームに対応している点も高評価です。

CES 2017

世界最大の家電見本市で最新のテクノロジーが集まるCESの様子を360度動画で視聴することができる動画です。まるでCESに行ったような体験をできて最新のテクノロジーを見れるということですが、狩人である私が注目したシーンは……。

Mogura VR編集長(グレーのパーカー着てる人です)が映っていたシーンでした……!油断していたので驚いて噴きだしてしまい、そして声が出ました。360度動画で知っている人が不意に登場すると危険ですね。

また、プロフェッショナル向けの360度カメラ「NOKIA OZO」で撮影されたCESのインテルのブースでのライブ映像もアーカイブされています。これが価格550万円の360度カメラのライブストリーミング映像ですか……。やはり綺麗ですね。

5時間のライブストリーミングでとっても長いですが、「NOKIA OZO」でのライブストリーミング映像をチェックすることができます。

スタートレック

CBSが制作したスタートレックの360度映像。スタートレックの世界の宇宙空間を360度動画で楽しめます。CBSで新シリーズが5月にスタートするのと過去の全作品をCBSのオンデマンドサービスで見ることができることをPRする360度動画のようです。上述したHuluのリル・ウェインのように360度動画のトレーラーが流行しているのかもしれませんね。ファンの方からするとアガるトレーラーだと思います。

ファンはアガりそう!

スタートレックを見たことが無い筆者もアガりました!!

動物の見えている世界をVRで体験

米国のネットメディアBuzzFeedが制作した360度動画。動物の視覚で見える世界をVR体験できるというもの。同じオフィスでも動物によって見え方は様々で驚かされます。2016年12月18日の公開から1ヶ月足らずで100万回再生を達成した人気の360度動画です。

まずは人間の見えている世界

猫の見えている世界。ぼやけてますね

犬の見えている世界。猫よりも鮮明なんですね

ハエの見えている世界。アニマルじゃないですよね…

ネズミが見えている世界。ほとんど見えませんでした…

蛇の見えている世界。蛇の道はとか言いますが、彼らは非常に毒々しい世界で暮らしているんですね…

ジョニーウォーカーによる飲酒運転の悲劇を啓蒙する360度動画

https://www.youtube.com/watch?v=YwRCyW9bcV4

※動画は公開期間が終了し、現在は削除されています。

ウィスキーブランド「ジョニーウォーカー」が制作した「Decisions: a 360° virtual reality drunk driving experience, presented by Johnnie Walker」は飲酒運転の危険性と悲劇を訴えかける360度動画です。

作品はストーリー仕立てとなっており、飲酒運転によって事故を起こしてしまった運転手自身の危険と被害者の惨状を目の当たりにする内容となっています。この360度動画を通して、酒造メーカーが飲酒運転の問題を真摯に受け止めていることを世間に伝えることには、成功しているのではないでしょうか。

助手席に座って飲酒運転の事故を目撃するという内容で、自分が運転している感じにはならないのですが、米国は左ハンドルなので、日本人的には運転中の視点になるので没入感が高くなるかもしれません。飲酒運転自体を疑似体験するのとは違うのが、少し残念な点。ただVRは暗闇との相性が良く夜間の視界の悪さが表現されていて、たとえ自分が正常な状態でも飲酒運転の車が走ってると危ないなと感じられました。

特に暗くて危ない道は注意が必要です

事故の瞬間。フロントガラスが粉々に割れてしまいます

被害の惨状を目の当たりにします

また、ニューヨーク・タイムズのVRアプリ「NYTVR」から動画をダウンロードして高画質な360度動画を見ることもできます。

盲目の人の見える世界を体験する「Notes On Blindness」

一体目の見えない人たちはどのように世界を見ているのか?それをVRで体験することができる作品です。これまでに多くの高品質なVR映像作品をリリースしてきたことで有名なWithinで公開されています。視力を失ったジョン・フール氏による日記を基に作られたVR作品で、ナレーションもジョン・フール氏自身によるもの。

ストーリーはほぼ無くて体験に特化した作品ですが、サンダンス映画祭やトライベッカ映画祭などに出展されていて世界的な評価を得ているだけあって、最後まで飽きること無く楽しめました。作品の舞台は公園のような場所。複数の人々が遊んだいたり歩いていたりランニングしてたりと、周囲にいる人々や鳥などの動物が出す音に集中させるように誘導されていて、緊張感のある映像体験に。特に自転車は音で察知するのが難しく、急に速いスピードで横を通り過ぎていくので怖い思いをしました。あれが自分のすぐ真横を通っていたらと思うと、非常に怖いですね。

幻想的な映像となっていて、そういう意味でも楽しめる作品

Oculus RiftやGear VR版にはスマホアプリにないシーンも収録

「Notes On Blindness」は、スマホからはWithinアプリで視聴できます。またGear VRとOculus Riftからも各ストアで無料配信されています。現在、スマホアプリやPCブラウザで体験できるのは公園の1つのシーンだけですが、Gear VRとOculus Riftでは全6エピソードを体験することができます。雨風や犬に吠えられる恐怖、ホールでの合唱を鑑賞するシーンなど、普通に見る世界とは違った世界を体験をできる、とてもオススメな作品です。

国内のコンテンツにも期待したいところ

今回は12本の360度動画を紹介しました。その中で国内の作品は2本でした。もっと国内の作品も出てくれば良いなと思いましたが、海外の作品でも体験に特化したものも多く、英語が苦手な著者でも楽しめる作品もありました。それでは、本年も「狩人イチオシの360度動画」をどうぞよろしくお願いいたします。


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