VR/ARは教育現場でどう使われているのか?その効果、今後の課題は?


2014年3月にFacebookがOculus社を買収してから、VRやARの将来性への関心は高まってきています。

VRヘッドセットの普及が懐疑的な目で見られていた頃にも、専門家たちは「2Dモニターの時代に取って代わる」と宣言しています。そして今、その普及を支える分野として“教育”が今後数年間の中で最注目のアプリケーションの一つになっています。教育はVR/AR投資の4番目に大きい分野である、と予測する分析家もいます。

Oculusの買収から3年と数ヶ月。VR/ARの教育への導入はどの程度進んでいるのでしょうか。本記事では米メディアVR Scoutに掲載された5つのポイントを紹介します。

1.VR/ARは効果的な学習ツールである

幼稚園から高校、企業での研修にわたって、学校や企業はVR/ARが興味の創出、維持、そして作業効率にプラスの影響があるという報告を行っています。

たとえば、ARを使ったトレーニングを提供するUpskillは、平均して顧客の32%が改善の傾向を見せているとも指摘しています。同社のクライアントはゼネラル・エレクトリック、ボーイングといった企業です。

またスピーチトレーニングソフトを開発するVirtual Speechは、ユーザーの92%が体験後により自信を持てるようになったと述べているといいます。

小学校高学年~中学生を対象としたノースカロライナ州立大学の調査研究では、VRプラットフォームzSpaceを使用した学習において「大きな改善」が見られたと報告しています。

2.インタラクティブな教育支援ツールが増加

2014年以降に開始された25以上の教育VR/ARベンチャーのうち、10社以上が教師を支援するものとして、インタラクティブツール、学習ソフトウェア、AR書籍などを通して、米国の州共通教育基準Common Coreに沿った授業プランを提供しています。

その中でもMergeVRCuriscope、zSpace、Google ExpeditionsQuiverVisionといったいくつかの企業は、物理的なハードウェアと触覚をもたらすツールを組み合わせ、より高度な学習体験を実現しようと取り組みを進めています。

3.VR/ARを使った企業研修が多くの業種に拡大

VR/ARは、製造、建築、防衛や航空宇宙産業といった業界に携わる従業員のトレーニングツールとして利用が拡大しています。

過去3年間では、教師(Mursionなど)、セールス担当者、カスタマーサービス、さらにはフットボール選手(Strivrなど)までに活用が広がり、それに伴って企業研修・トレーニングを取り扱うスタートアップや企業が増加し続けています。

4.教育VR/ARのスタートアップが大規模な資金調達を実施

zSpace、Nearpod、Upskillといった2014年以前に設立された企業もまた、さらに大規模なベンチャー投資を受け始めています。

教師向けにVRソフトウェアソリューションを提供するzSpaceとNearpodは、それぞれ2015年に5,600万ドル(約61億円)、2016/2017年に3,000万ドル(約33億円)の驚異的な資金調達を行っています。またUpskillは2017年に行われた非公開のシリーズB資金調達を行う前までに、2,860万ドル(約32億円)を調達しています。

これらの投資ラウンドは、多岐にわたるハイテク業界の中間資金調達ラウンドでいずれもさらに押し上げられるか、あるいは規模を維持しており、教育へのVR/AR投資が真剣に行われ始めていることを示しています。

5.教育機関での採用はまだ遅れている

2014年以降、学習成果、資金調達、ソリューション、ユースケースなど驚異的に飛躍しているにもかかわらず、教師の間でのVR/ARの本格的な採用はいまだ遅れています。

報告によれば、Google Cardboardなどのスマートフォンを装着するタイプの安価なデバイスが広く展開されているにもかかわらず、教師のうち6.7%だけが実際に授業でVR/ARを使用しているといいます。2016年には8,800万台のダンボール製デバイスが販売されたという統計もありますが、スマートフォンが必要であったり、教育用のコンテンツを用意する必要がある点は導入のハードルになっています。

グーグルが提供するVR用のハードウェアと教育用ソフトウェアのセット、Google Expeditionsキットはまだ高価で、生徒10人分一式が3,999ドル(約44万円)で販売されています。

教育VR/AR市場の供給側では、有意義かつ効果的なソリューションが爆発的に増加しています。今後数年間の課題は、教育者の間での採用を増やすことだと言えます。そのためには、制度/地区/企業レベルでの意識向上と、さらなるハードウェア価格の低下が必要になるでしょう。

(参考)
VR Scout / Where is VR/AR and Education Now?(英語)
https://vrscout.com/news/vr-ar-education-now/

Mogura VRは、VR Scoutとパートナーシップを結んでいます。

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この記事を書いた人

  • 力触覚を中心としたバーチャルリアリティを専攻する学生。幼少期から趣味でゲーム開発を行い、やがてVRにたどり着く。現在はコンテンツ開発やデバイス開発を勉強中。

    Twitter:@FoltTenor

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