「Oculus Rift」や「PlayStation VR(プレイステーションVR・PSVR)」、「HTC Vive」などが発売された「VR元年」から早くも2年が過ぎ、VRヘッドセットは様々な形で進化を続けています。「一体型」と呼ばれるPCやスマートフォンを必要としないものや、外部センサーを必要とせず高品質なVRを体験できるものなども発表・発売されています。
2018年1月にラスベガスで開催されたイベント・CES 2018において、HTCは新型VRヘッドセットである「Vive Pro」を発表しました。「Vive Pro」はハイエンドVRヘッドセット「HTC Vive」の上位機種として位置づけられており、企業等でVRを体験するプロフェッショナルや、よりハイエンドのVRゲームを体験したいコンシューマー向け、と位置づけています。VR体験をより鮮明かつ快適にできるよう、様々なアップグレードが行われています。
本記事では「Vive Pro」について、従来機種である「HTC Vive」と比較しつつ紹介します。
目次
1.Vive Proとは?
2.通常のHTC Viveとはどこが違うのか?
3.他のVRHMDとスペック比較
4.Vive Proの価格と入手方法は?
Vive Proとは?
「Vive Pro」は、PC向けVRヘッドセットである「HTC Vive」の上位機種です。従来のHTC Viveに比べて解像度や装着感、オーディオ機能などが向上しており、VRへの没入感をより高めるようなアップグレードが施されています。
通常のHTC Viveとはどこが違うのか?
Vive Proと通常のHTC Viveの大きな違いは「解像度の向上」「オーディオ機能の強化」「装着時の快適性アップ」の3点です。それぞれどのように変わったのか、個別に見ていきましょう。
解像度の向上
Vive Proのディスプレイ解像度は2880×1600(片目1440×1600)。HTC Viveの2160×1200(1080×1200)に比べ、ピクセル数では78%、ピクセル密度では37%向上しました。VR内の表示や文字がより鮮明に見えることで、没入感が向上しています。
【Vive Proと通常版HTC Viveのディスプレイスペック比較表】
Vive Pro |
HTC Vive |
|
ディスプレイ |
対角3.5インチ |
対角3.6インチ |
解像度 |
2880×1600、616ppi |
2160×1200、438ppi |
リフレッシュレート |
90Hz |
90Hz |
視野角 |
110度 |
110度 |
※リフレッシュレートや視野角についての変更はありません。
また、Vive Proの動作に必要なPCスペックは現行のHTC Viveから変更なし(GeForce GTX970 / RADEON R9 290以上)です。
オーディオ機能の強化
Vive Proでは高品質を謳うヘッドホンがVRヘッドセットに一体化する形で付属しており、マイクにはデュアルマイクを採用しています。従来のHTC Viveにはヘッドホンは付属しておらず、アクセサリとしてデラックスオーディオストラップを購入・換装する必要がありました。また、マイクがデュアルマイクとなり、ノイズキャンセル等も実装されたことで快適にコミュニケーションを取ることが可能となっています。
装着時の快適度アップ
現行のHTC Viveではオプションで、デラックスオーディオストラップを装着することにより、通常よりも快適な装着感を実現していました。一方、Vive Proではデラックスオーディオストラップをベースとしてデザインを変更、より快適な装着感と簡単な着脱ができるようになっています。フェイスクッションは表面積が24%増えており、最適な重心を実現している、としています。
さらに、ストラップを含む全体の重量は現行のHTC Viveよりも軽量化。重心の調整も新たに行われています。
さらに、PCと接続するケーブルも改良され、データ転送用のUSBケーブルが通常のUSB 2.0からUSB 3.0に変わり、映像転送用のHDMIケーブルがDisplayPort1.2ケーブルへと変わりました。
新ベースステーションの対応や、デュアルフロントカメラも
これまで紹介した3つのポイントのほか、ルームスケール(部屋サイズを歩けるVR体験)という観点からは、Vive Proは今後展開予定となっている新型ベースステーション(ベースステーション2.0)に対応しており、将来的にはベースステーションを4個使い、最大で10m×10mの範囲での位置トラッキングが可能となる見通しです。現行HTC Viveの通常トラッキング範囲である4m×3mを大きく上回っています。HTCによると、発売時にはVive Proのヘッドセットのみが発売され、ベースステーション2.0やコントローラーなどは2018年中に発売されるとのことです。
また、2018年に発売される「Viveワイヤレスアダプター」にも対応し、ケーブルを気にせずに無線化することができます。
また、Vive Proの前面には、1対のステレオカメラが搭載。HTCによると「このカメラはクリエイターに使い方を考えてもらいたい」とのこと。目の前にかざした手などを認識することができる模様です。
3.他のVRHMDと比較
上記の通り、「Vive Pro」は現行のHTC Viveと比較した場合、解像度や装着感などが向上しています。では、他のVRヘッドセットと比べた場合はどうでしょうか。
一般ユーザー向けにも販売されている主要なハイエンドVRヘッドセットとVive Proを比較した表がこちらです。先ほど述べた通り、ディスプレイ解像度は現行のHTC Viveから向上し、Oculus RiftやPlayStation VR(PSVR)、一般のMRヘッドセットよりも高くなっています。
Vive Pro |
Oculus Rift |
PSVR |
マイクロソフト MRヘッドセット(通常) |
Samsung Odyssey |
|
ディスプレイ |
OLED(有機EL)×2枚 |
OLED(有機EL)×2枚 |
OLED(有機EL)×1枚 |
LCD(液晶)×2枚 |
OLED(有機EL)×2枚 |
解像度 |
2880×1600 |
2160×1200(片目あたり1080×1200) |
1920×RGB×1080(片目あたり960×RGB×1080) |
2880×1440(片目あたり1440×1440) |
2880×1600(片目あたり1440×1600) |
リフレッシュレート |
90Hz |
90Hz |
120Hz, 90Hz |
90Hz, 60Hz |
90Hz |
視野角 |
110度 |
110度 |
100度 |
90度~105度 |
110度 |
位置トラッキング |
アウトサイドイン方式 |
アウトサイドイン方式 |
アウトサイドイン方式(付属のPlayStation Cameraを使用) |
インサイドアウト方式(外部センサー不要) |
インサイドアウト方式(外部センサー不要) |
スペック的にはサムスン社のMRヘッドセットである「Samsung Odyssey」はかなり近いと言えるでしょう(※2018年1月現在、「Samsung Odyssey」は日本国内での販売はされていません)。
4.Vive Proの価格と入手方法は?
2018年2月現在、Vive Proの価格やプレオーダー(予約)開始日、発売日などの情報は公開されていません。2018年第1四半期に発売予定と推測されていますが、現在は続報待ちとなっています。
Vive Proのスペック
ディスプレイ |
デュアルAMOLED 3.5インチ(対角) |
解像度 |
片目あたり1440 x 1600ピクセル |
リフレッシュレート |
90Hz |
視野角 |
110度 |
オーディオ |
・ハイレゾ対応ヘッドセット |
入力 |
内蔵マイク |
接続 |
・USB 3.0 |
センサー |
・SteamVRトラッキング |
その他 |
・調整可能な IPD |
Vive Proに関する他の記事はこちらよりご覧ください。
(参考)
・HTC公式:Vive Pro
・【体験レポあり】HTC、VRヘッドセット上位機種「Vive Pro」と無線アダプターを発表
・Vive Pro、コントローラーなど付属品の新型は今年後半登場か