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活用事例 2017.06.25

女の子の匂いも再現できるVAQSO 匂いVR制作のサービス展開へ

VRでヘッドマウントディスプレイを使って視覚や聴覚は再現されつつあります。より没入感があり、その場にいる感覚を得るためには、その他の感覚が再現されるに越したことはありません。手の動きや物に触れたときの触覚などに取り組む企業が多くありますが、今回は匂い・嗅覚の再現に挑む日本企業の取組紹介します。

「VAQSO VR」はVRの映像に合わせて、現在は3種類の匂いを出すことができるデバイスです。コンパクトなためどのVRヘッドマウントディスプレイとも装着することができ、視覚、聴覚に合わせて嗅覚のVRを加えることでより没入感の高い体験ができるのではと注目を集めています。

2017年6月22日VRコンテンツに匂いを出すためのデバイス「VAQSO VR」のVAQSO Inc.は、早稲田大学を発祥とする大学系ベンチャーキャピタル ウエルインベストメント株式会社より総額約60万ドル(6,400万円)の資金調達を実施したことを発表しました。

今回の記事はその発表会の模様を中心にお伝えします。

「VAQSO VR」量産化へ


VAQSO Inc. CEO 川口健太郎氏からは資金調達により、2018年冬リリースに向けた「VAQSO VR」量産化と、プロモーションのための各展示会への出展費用になるとのこと。

出資を行ったウエルインベストメント株式会社菊池氏によると、五感を刺激する中で、視覚・聴覚は完成に近く、味覚は時間がまだかかると考えられます。触覚は大手など各社が取り組んでいてスタートアップが参入するには難しそうであるが、嗅覚ならばスタートアップが参入して成功する可能性がありそうとの判断から今回の資金調達を決めた、と話していました。

『匂いVR制作(仮)』のサービス開始

さらに、VAQSOは2017年6月22日から法人向け匂いを使ったVRコンテンツ制作サービス『匂いVR制作(仮)』を開始することを発表しました。

「VAQSO VR」の発表以来、国内外のメーカーや広告代理店から問い合わせが多くあったため、サービス化を開始するとのこと。

サービスの内容は

・「VAQSO VR」デバイス及びAPIの貸出
・クライアントの希望する匂いの開発
・VRコンテンツ制作がパッケージ化されたサービス
・施策期間 数日~1週間
クライアント側でVRコンテンツを制作する場合は、匂いの開発・「VAQSO VR」デバイスとAPIの貸出のみも可能とのこと。

「VAQSO VR」とすでにコラボレーションしているVRコンテンツを3つ紹介がありました。

シーンで匂いが違う、女性と手つなぎデートの360度映像


株式会社AOI Pro. 体験設計部 部長 クリエイティブディレクター 吉澤貴幸氏

映像制作で知られるAOI Pro.と「VAQSO VR」がコラボレーションしたVRコンテンツ『WONDERFUL WORLD VR Private Tour』は、女の子と手を繋いだまま自然の中をデートする360度映像です。

見たことのない場所をVRで見ることで「ドキドキする」「実際に行ってみたい」という感情を刺激することを目的にしたコンテンツとのこと。

『WONDERFUL WORLD VR Private Tour』は森の中、暗いトンネル、そしてトンネルを抜けた先の3ヶ所を手を繋いだまま巡ります。場所ごとにVRヘッドマウントディスプレイにつけた「VAQSO VR」から違った匂いが出ることによって没入感を高める仕組みです。

6月28日~6月30日東京ビッグサイトで開催される『コンテンツ東京2017 第3回先端コンテンツテクノロジー展』(以下、先端コンテンツ展)株式会社AOI Pro. ブース(ブース番号:19-28)にて出展します。

森の中で緑の匂いがする

先端コンテンツ展に先駆けて『WONDERFUL WORLD VR Private Tour』体験することができました。

視線追跡ができるVR ヘッドマウントディスプレイFOVEを被ると、右手には「こちらを握ってください」とマネキンの手のような形状の物体が載せられました。

風景が見えてくると、周囲一面の森の中、目の前にいる女性と手を繋いでいます。ビルの一室にいるはずですが草木の匂いがします。

女性は「見せたいとこがあるの」と手を引いて森の中の道を先に進んでいきます。進みながらも、実際に握っている固い手の方もゆさゆさ揺れています。

中にろうそくの明かりがともっていても暗いトンネルに入ると、女性がつけているらしい甘い香りがしてきます。

暗いトンネルの中で、「目をつぶって」と言われ真っ暗に。「もういいよ」と言われて明るくなると、トンネルを抜けた先にあったのは…。

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体験が全て終わってFOVEを外すと、木製の手を持った男性がにこやかに笑っていました。歩いているときの手の揺れも映像に合わせて、揺らしていたとのこと。

先端コンテンツ展では、男性が手を持つのではなく誘導アクチュエータとなります。

今回は椅子に座っての体験でしたが、先端コンテンツ展では、 筑波大・岩田洋夫教授が開発した歩行装置「トーラストレッドミルmini」を組み合わせて歩く体験も可能とのこと。

Mogura VRさん(@moguravr)がシェアした投稿

匂いは個人差があるので、同じ匂いを嗅いでも没入感には差がでます。現在のVAQSOでは、3種類の匂いしかだせないため、「この場所ならこの匂いもしないとおかしいのでは」などと気になる点もありましたが、歩行装置や匂いデバイスを組み合わせ没入感をあげようとする360度実写映像コンテンツの試みとして意欲的であるように感じられました。

https://www.youtube.com/watch?v=OKOuC2fP12Q

『例のカノジョハッカソン』

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イリュージョンVR企画開発部 大鶴尚之氏

続いてのコラボレーション事例は、3D美少女ゲームメーカーイリュージョンが制作する『VRカノジョ』。4月に開催された「Unite 2017」では、『VRカノジョ』とVAQSO VRがコラボしヒロインの匂いが嗅げるVRコンテンツが出展され、注目を集めました。

開発部の大鶴氏は、女の子のVRコンテンツを作っているイリュージョンは、嗅覚をハックすることでVAQSO VRとコラボすることでVRを盛り上げていきたい、と語りました。

2017年7月9日に開催される『例のカノジョハッカソン』でも、機材提供として「VAQSO VR」とAPIを参加者が利用できます。川口氏によると装着できる匂いは3つであることは変わりませんが、Unite 2017の女の子の匂い、パンストの匂い、ミントガムの匂い以外の匂いもいくつか用意するとのこと。API制作はイリュージョンが行っています。

スペインのVRアーティスト

José Galant とのコラボレーション
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José Galant氏はスペインで活躍しているアクリル画や水彩画のような表現手法と、VRやARを組み合わせたアーティストです。代表作でsる『蒸気かたつむりの海辺』は匂いだけでなく、味など多感覚で感じることのできる水彩画への没入体験となるとのこと。今秋スペインにてイベントを開催予定とのことですが、日本で体験できるかはまだ未定とのこと。

https://www.youtube.com/watch?v=clakS4RpCJs

「VAQSO VR」に関しては、匂いが空間に残ってしまったり、漏れてしまうなど課題はありますが、手軽に嗅覚を刺激することができる点は非常に魅力的です。今後、サービス化に伴ってどのような体験が登場するのか楽しみなところです。

イベント概要

名称

「コンテンツ東京2017」内 第3回 先端コンテンツ テクノロジー展

会期

2017年6月28日(水)~6月30日(金) 
10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)

会場

東京ビッグサイト

入場方法

招待券と名刺2枚が必要

招待券申込URL

https://contact.reedexpo.co.jp/expo/CTK/?lg=jp&tp;=inv&ec;=CTK&em;=NEXT

公式サイト

http://www.ct-next.jp/ja/


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