【講演レポ】ネットカフェでFOVE、お台場でVR ZONE。出先で楽しむVRが普及を推し進める?

4月28日(木)、東京御茶ノ水にあるデジタルハリウッド大学にて、『Tokyo VR Meetup #04』が開催されました。このイベントは、VR専門インキュベーションプログラムのTokyo VR startups とVR・パノラマ系メディアのPANORAによって月1回開催されているもの。

第4回となる今回のテーマは、「VRとネットカフェの可能性」と「VR ZONE Projecticanが切り開くVRエンターテイメント施設の未来」。FOVEのネットカフェへの導入を決めた株式会社テクノブラッド、そして株式会社FOVE。さらにお台場でこの4月よりVRアクティビティ施設『VR ZONE』をオープンしている株式会社バンダイナムコエンターテイメント。各企業の中心人物がそれぞれ登壇し、VRを家の外で楽しむようになるという普及の流れについて語りました。

Tokyo VR Meetup #04

VRとネットカフェの可能性

まず最初のセッションは、株式会社テクノブラッドVR事業部ディレクターの栗原俊幸氏、株式会社FOVE代表取締役の小島由香氏による『VR×ネットカフェの可能性』です。

株式会社テクノブラッドは、「ネットカフェをデジタルコンテンツの体験スペースにしていこう」というビジョンを掲げ、オンラインゲームや動画コンテンツをネットカフェにて流通、送客をはかるといったビジネスを展開をしています。

Tokyo VR Meetup #04

テクノブラッドがこれまで行ってきた取り組みは、

・ネットカフェ1店舗あたり50台~100台ほどあるPCへ、ゲームのインストールやアップデートをすべて自動でおこなうことができる仕組み
・店舗のコンテンツ稼動などマーケティングデータを可視化できる仕組み
・店頭でのデジタルコンテンツ購入を、現金決済可能とする仕組み

など。今後は、同社の持つこういったソリューションやマーケティングの知見を活かし、VRコンテンツの流通、マネタイズ面をサポートしたいとのこと。

また、テクノブラッドは全国のネットカフェにある約10万台のPCのうち内5万台のPCに、デスクトップランチャーの広告枠を持っており、2台に1台の割合でユーザーにVRコンテンツを直接訴求することができるとしました。

今年2月4日は、FOVE社と提携しVRヘッドマウントディスプレイFOVEを日韓のネットカフェに無償で提供し、VRを手軽に体験できるスペースをネットカフェ中心につくっていくと発表しました。

栗原氏は、ネットカフェを訪れる客の平均滞在時間は4時間であり、長時間VRを楽しめることで他のアトラクション型の体験施設との差別化をはかることができると、ネットカフェでのVR体験の可能性を語りました。

続いて小島氏によりFOVEの開発状況、特にFOVEのウリの一つであるフォービエイデッド・レンダリングの状況が明かされました。

Tokyo VR Meetup #04

フォービエイデッド・レンダリングとは、ユーザーが見ている視点の中心部(注視点)のみを高解像度で描画(レンダリング)し、周辺視野を低解像度で描画するという新しい技術です。FOVEが頭の動きだけでなく、目の動きをトラッキングできるからこそ実現可能な技術です。

ハイエンドなVRを体験するためには、ハイスペックなPCを用意することが不可欠となっており、日本におけるVRの一般普及への課題を解消できると考えています。

具体的には、VRを体験するには、NVIDIA GeForce GTX 970、NVIDIA GeForce GTX 980のグラフィックカードが必須となっている現状から、NVIDIA GeForce GTX 960まで下げることを現時点の目標にして技術開発を進めていると具体例をあげ、2017年度の実現に向けて開発段階であることを明かしています。

テクノブラッドの栗原氏はFOVEをパートナーに選んだ理由として「全国のネットカフェ500店舗にNVIDIA GeForce GTX 960が導入されており、フォービエイデッドレンダリングによって、より多くのPCでVRゲームが可能となる。(中略)日本のネットカフェは非常に狭いこともあり、限られたスペースで動き回らず視線で操作できるFOVEにVRの普及の可能性を感じた」と述べています。

Tokyo VR Meetup #04

ヘッドマウントディスプレイFOVEは現在量産に向け試作の段階にあり、出荷は秋頃を予定しています。6月末に開発用のSDKをリリースし、場合によってはFOVEから開発キットを無償提供することを検討しています。

VR ZONEが切り開くVRエンターテイメント施設の未来

続いて小山氏、田宮氏は4月15日にオープンしたVRアクティビティ施設『VR ZONE』ついて語りました。

Tokyo VR Meetup #04

「ゲームだけではなく新しいアミューズメントをやろう」という思いがあり、バンダイナムコの前身であるナムコにて、ゲームセンター向けの体感マシンをたくさんつくってきた実績からアミューズメント施設でVRをやろうと決心したとのこと。

VR ZONEのコンテンツは、酔いの問題により一般ユーザーへのネガティブな印象を回避するため、視点の位置や、カメラ制御など、ゲームセンターで展開するドームスクリーン型ゲーム『戦場の絆』制作時に得た知見が活かされています。

他にも、人間の脳は物理運動モデルを記憶しており、酔いは本来揺れるはずなのに振動を感じないなど体感が欠如することで発生する一種の拒否反応とし、いっそのこと振動を与えてよりリアルな体感に近づける工夫もしています。

また、VR未体験者は本当にその世界にいると認識してしまい、実際は存在しない物に飛びつこうとしたり、バーチャル空間で物にぶつかり、驚いてマシンから飛び降りてしまったり、といったような想定外の反応も多くあります。今回の『VR ZONE』に関しては実験的な試みとしており、日々運用マニュアルを更新しながら最適な安全対策をとろうとしています。

VR ZONEは、施設内にいるスタッフひとりひとりが「VRの中で一人で黙々と楽しむのではなく、VRを手段に楽しい状態を維持してもらおう」と意識して成り立っているとのこと。

VRはひとりで楽しむといった印象が強くあります。しかし、『VR ZONE』では体験中の友人の反応を一緒に楽しんだり、ひとりの利用者へは積極的に声かけるなどといったスタッフの配慮により、「絶叫と大笑いのおもしろいループがうまれ、仲間はずれのいないエンターテイメントになりつつある」と語りました。

どのコンテンツでどのようにこうした配慮がされているのかは、体験レポートを御覧ください。

VR ZONEでは現在体験できるコンテンツの他にも新たなコンテンツを用意しており、10月までの期間中にコンテンツの入れ替えを検討しています。

ネットカフェとアミューズメント施設。それぞれの利点を活かしたVRの普及に向けた取り組みに注目したいところです。

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この記事を書いた人

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    新しいものが世の中に浸透していくことを楽しむ元エステティシャン。
    現在はとある企業で「中の人」をやりながらMoguraVRにて記事執筆をしています。

    Twitter:@kanamai_ooo