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活用事例 2017.03.30

Tokyo VR Startups デモデイ開催 国内VRスタートアップ各社の取組が発表

Tokyo VR Startups(TVS)は、株式会社gumiの100%出資子会社であるTokyo VR Startups株式会社による、日本初のVRに特化したインキュベーションプログラムです。2016年1月から同プログラム第1期がスタートし、参加した5社中4社が次の資金調達に成功するなど、VR系のインキュベーションプログラムとして着実に取組を拡大しています。

3月29日、同プログラム第2期に参加したスタートアップの成果を発表するデモデイが開催され、第1期に参加した企業や、gumiが運営に関わる韓国のSeoul VR Startups、同じくgumiがパートナーとして参加するアメリカのThe Venture Reality Fundから出資を受ける企業も交え、ピッチやプレゼンテーションが行われました。

Tokyo VR Startups第一期

株式会社よむネコ

まずステージに登壇したのは、VR脱出ゲーム『エニグマスフィア』シリーズを手がける株式会社よむネコの代表取締役、新清士氏。

同ゲームは、Oculus Touchのローンチに合わせて配信されたほか、梅田ジョイポリスでも半年間常設され、3月31日にはHTC Vive版も配信が開始されます。この3月にはgumiのグループ会社となり、今後もさらなる開発体制の強化を進めていくとのことです。


よむネコのデモブースでは、梅田ジョイポリスに提供されたバージョンが展示されていました。

株式会社桜花一門

続いて登壇したのは、PlayStation VR向けのVRホラーゲーム『Chain Man』を開発する株式会社桜花一門の代表取締役、高橋建滋氏。

高橋氏は、開発中の『Chain Man』において、「恐怖のために光と色と手を省いた」と説明。VRホラーゲームのあり方に迫ろうと試行錯誤を繰り返していることが伺えます。また、VRヘッドセットとテレビ画面をそれぞれ1人ずつが使い、2名のプレイヤーで同時に遊ぶことのできる「ローカルマルチプレイ」を実装することにより、友人などを誘って一緒に遊びやすくすることを目指しているとしています。

Chain Manは2017年夏頃に配信予定しています。

InstaVR株式会社

VRゲームを手がける2社に続いて、手軽にVRアプリを作成することが可能になるウェブベースのソリューション『InstaVR』のInstaVR株式会社代表取締役の芳賀洋行氏が登壇しました。

同氏は、VRコンテンツ制作の課題として、費用・時間がかかり、コストパフォーマンスが悪いことを挙げ、InstaVRを利用することによってそれが解決できるとしました。実際に、サンリオピューロランドにおいてVRコンテンツを制作する際、InstaVRを採用することによって試作にかかる時間が1/3に短縮されるなどの実績も紹介されました。

また、海外中心に注目が集まっており、現在ですでに1万社ほどの企業に採用されていると数字を披露。そのうち、海外の企業の比率は約90%とのこと。


InstaVRのデモブース。実際に採用している企業が制作したコンテンツを体験することができました。

Tokyo VR Startups第2期

カバー株式会社

TVS第2期参加企業としてまず初めに登壇したのは、カバー株式会社代表取締役の谷郷元昭氏。カバーは、既にオンライン対戦対応のVR卓球ゲームをHTC Vive向けに配信している実績があります。

今回、カバーは現在開発中のVRライブ配信ツールを紹介。配信者と閲覧者が同じ空間を共有することが可能で、VR時代のShowroom的存在を目指していくとのこと。

今回カバーが開発しているVRライブ配信ツールの特徴として、VRデバイスのみならず、PCやスマホからの視聴が可能な点を挙げ、いずれはAR、MRなどのデバイスにも対応し、マルチプラットフォームでの展開を図っていくとのことです。


デモブースでは、実際に視聴者として配信を視聴体験することができました。

株式会社GATARI

次にステージに上がったのは、株式会社GATARIの竹下俊一代表取締役。

GATARIは、「MR時代のコミュニケーションを再開発する」をコンセプトとして掲げ、MRファーストのUI/UXを追求したコミュニケーションツールを開発しています。

今までVRデバイスを用いたコミュニケーションには手が使われていたのに対し、今後は音声に置き換えられると主張。音声のテキスト化による非同期コミュニケーションの実現、異言語のリアルタイム自動翻訳など、音声入力にこだわったコミュニケーションツールを開発しているとのことです。

HoloEyes

次に登壇したのは、VR・MRを用いた医療向けサービスを開発する、HoloEyes株式会社の代表取締役、谷口直嗣氏。HoloEyesは、CTスキャン画像をVRに取り込み、人体構造を体感することのできるクラウドベースのプラットフォームなどを開発しています。

今までのCTスキャンでは、3Dスキャンした画像を2D画像に変換、医師が3Dに変換するという流れになっていて非常に非効率だとし、VRを用いて3Dスキャン画像をそのまま閲覧することにより、不要なステップを廃して効率化することが可能になるといいます。
現在、東京都立墨東病院などで実証実験が実施されているほか、大手大学病院との共同研究が進められているそうです。

株式会社ジョリーグッド

最後の登壇者は、株式会社ジョリーグッド代表取締役の上路健介氏。ジョリーグッドは、テレビ局のVR事業にフォーカスしたサービスを提供しています。

ローカルテレビ局を中心に、既に多くの採択事例があるジョリーグッド。最近では、VR映像を自由に編集することができるソフト『mocha VR』を提供する、アメリカのBoris FX社と業務提携を結び、さらなるサービスの充実を図っています。

海外のスタートアップ

今回のデモデイには、gumiが運営に関わる韓国のSeoul VR Startups、同じくgumiがパートナーとして参加するアメリカのThe Venture Reality Fundから出資を受ける企業も登壇、出展していました。

韓国のSeoul VR Startupsからは、
・VR専用の椅子、『Re:VRS』を開発するRooftop
・ソフトとハードを融合させたロケーションベースのコンテンツを開発するHONGBIN NETWORK
・VRアプリやVRのウェブコンテンツをプログラミングなしで制作できるツールを開発するAtoJet
の三社が登壇及び出展。

アメリカのThe Venture Reality Fundからは、VR広告ネットワークを提供、同世界シェア99%を誇るImmersvが出展及び登壇しました。

日本のスタートアップの独自性

gumiの代表取締役でTokyo VR Startups代表取締役でもある國光宏尚氏によると、VR系スタートアップには地域差があるとのこと。日本のスタートアップには、海外のスタートアップにはない独特なアイデアが多いと言います。

その根底にあるのは、日本の「草の根」の開発者コミュニティ。日本では旧OcuFesなどに代表されるように、趣味のレベルから開発を始める開発者が多いためアイデアが広がりやすいです。一方で、海外では最初からビジネスとして開発に取り組む事例が多く、その差がアイディアの独創性に貢献しているのではないか、と語っていました。

Tokyo VR Startupsは、第3期のインキュベーションプログラムの募集を開始しています。


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