Home » 【体験レポ】自動車業界で活用の進むVR 「オートサロン2017」のVR展示


イベント情報 2017.01.15

【体験レポ】自動車業界で活用の進むVR 「オートサロン2017」のVR展示

2017年1月13日~15日千葉・幕張メッセで東京オートサロン事務局によるカスタムカーと関連製品の展示会「TOKYO AUTO SALON 2017 」が開催されました。

様々な自動車が展示されている中でVRの体験展示をしているブースもありました。

PSVR『グランツーリスモSPORT』

https://www.youtube.com/watch?v=oinzJl8p6Tc

『グランツーリスモSPORT』はPlayStation VR(PSVR)対応が発表されているリアルドライビングシミュレーターです。今回、国内では初めて試遊が体験できました。

コースは気球が浮かぶ荒野で、起伏のあるコースです。レース形式ではなく、1台だけで走ります。筆者は3台ある中からオープンカーを選択しました。VRで自動車に乗ると車内が現実と変わらず狭いため窮屈な印象をもちますが、オープンカーは視界が広く、上を向くと空が広がっているためVRとは相性がいいです。

ハンドルコントローラーを使い操縦します。グラフィックは綺麗で150㎞程で飛ばしても、壁に激突しても映像はスムーズに動いてました。あまりにもグラフィックが美しくレース形式でもないので、速く走るろうと前方を見るよりも、もっと周りの風景を楽しみたいと感じられたほどです。

『T3R Simulator VR』

Mogura VRさん(@moguravr)が投稿した動画

T3R Simulator』は株式会社アイロックが販売するプロレーサーが開発したドライビングシミュレータ装置です。体験するソフトは配信中の『Assetto Corsa』というレーシングシミュレーションゲーム。鈴鹿サーキットをレーシングカーで走り抜けます。

レーシングゲーム用ドライビングシートは今までにも多く販売されています。筆者も何度か体験したことがありますが、『T3R Simulator』ほど映像に追従し、動きが激しいものは初めてです。

他製品でも、椅子を前後にスライドさせることで背が高い人から低い人まで対応したものがあります。椅子部分のみが動く他製品と比べ、『T3R Simulator』は筐体全体がスライドするため、どのような身長の人であっても同じように衝撃や動きを受けるようになっています。バウンドしたときなど体に受ける衝撃は現実そのもので、あまりの激しさに驚きます。

VRレーシングゲームを普通の椅子や、振動するだけの椅子で体験すると、映像の激しさと体がまったく動かない違和感から酔いやすくなりがちです。映像と体の動きが連動する『T3R Simulator』は、酔いにくく臨場感のある体験でした。

『T3R Simulator』の価格は製品版Oculus Riftが付属した「T3R VR」で468万円とのこと。個人が気軽に買うことは難しい価格ですが、名古屋にあるT3Rショールームでは有料で体験や講習が受けられます。

個人では購入が難しくとも、ランボルギーニなど簡単に取り寄せることができない高級車を扱うディーラー店などでは、『T3R Simulator』を使い顧客に新車に乗ったシミュレーションを体験してもらい、次に現在所有している車をシミュレーションしてもらうことで「実車がなくとも運転した比較が可能になり購買につながる」(担当者談)とのこと。

同じ製品を「ゼスティノタイヤジャパン」ブースでも展示しており、こちらは1回10分1000円で展示をしていました。

クラシックカーのミュージアム、大阪・「LION MUSEUM」にも導入されているので体験してみてはいかがでしょうか。

『MOTULオリジナルVRコンテンツ』

Mogura VRさん(@moguravr)が投稿した動画

MOTULは創業150年以上の歴史を持つフランスのオイルメーカーです。

今回の展示ではHTC Viveで体験します。他のブースが既に配信中のレースゲームやオリジナル360度実写映像を使ったレーサー視点の体験が多い中、MOTULでは、プレイヤーがバイクを天候やコースに合わせてカスタマイズし、レーサーになる体験のではなくレーサーを応援する体験です。

体験がはじまると、半透明のバイクモデルを前に、コースの天候にあわせ、ブレーキやタイヤなど9ヶ所をカスタマイズします。カスタマイズにはブース内で展示もされているMOTUL製品が登場します。

すべてのカスタムが終わるとレース開始。カスタマイズするときにアイテムの選択に使っていたHTC Viveコントローラーは、レース中は旗になり、旗を振って応援した気分を味わえます。レースは数ヶ所の見学ポイントに自動で切り替わりながら見学します。

ゴールをすると、表彰台に上がるレーサーを見ながら、上から降りてきたドローンにトロフィーを渡され終了です。

オイルメーカーならではのVRを使ったプロモーションとして興味深いです。プロモーション用なので、短くゲーム要素は薄い体験でした。VRでは自動車やバイクを1/1サイズでも見せることができます。カスタムしていく体験は作業ゲームと近いものがあり、もっとゲーム性の高いコンテンツにしても楽しそうです。

CUSCO

「CUSCO」はパーツ販売をはじめモータースポーツ活動を手掛ける株式会社キャロッセのブランドです。

全日本ラリー選手権、アジア・パシフィックラリー選手権やスーパー耐久をしている運転席からの360度映像です。同じ車の中からの360度映像でもサーキットで走るレースと、山道を走り抜けるラリーでは異なった映像を見ることができます。映像内と同じ車がブース内で展示されているのも展示会ならではです。

特にラリーでは下を向くと助手席に座っているコ・ドライバーのメモをみることもできるため360度映像ならではの面白さを感じました。

ヘッドホン一体型のスマホVRデバイス『Virtoba X5』に携帯用のバッテリーを取り付けてあり、充電しながら4分程の映像をループで流していました。(1個のバッテリーで約2時間持続するとのこと)

展示でVRを使う場合、体験する人にはまだ慣れてない人が多いため、操作説明が必要になります。さらに、スマホを使ったVR体験の場合、充電や予備のスマートフォンとの交換などの手間がかかります。展示場所には案内をするスタッフが張り付いていなければなりません。今回のようにバッテリーを付けたままループで映像を流すと、VRヘッドマウントディスプレイを被るだけでよいため、説明が不要になり時間の短縮につながります。

AUTOWAY

輸入タイヤとホイールの販売を手掛けている株式会社オートウェイのブースでは、PlayStation VR対応ソフト『Drive Club VR』を体験できました。ドライビングシートに座り、車とコースを選択すれば、複数の車とのレース。他の車や壁に激突しましたが酔うこともなく、グラフィックも綺麗です。

「VRを体験したら面白かったため、ブースに来る参加者も盛り上がるという効果を期待して、展示をしようと考えた」(担当者談)とのこと。今後また同じような展示をするかは未定ですが、ドライビングシート+PlayStation VRが展示されていると人目を引くため注目は集めていました。

フォルクスワーゲングループジャパン株式会社

すでに店舗でも導入されているVRコンテンツ「プロドライバーが運転するGolf Rの運転席からの360度映像体験」を実際のGolf Rの運転席に乗って体験ができました。

Gear VRを被ると運転席に座っています。現実も同じ車の運転席に座っているため、シートやハンドルの感触は本物です。

「200㎞を突破」や「スラローム」など次にする体験を、直前に文字で表示されるため、どこを見ようか決めて見られることがいい点です。顔を横に向けていてスピードメーターを見ていなければ200㎞出ているとは感じないでしょう。事前にでれば前を向くか、横を見ておくかと考えて見られるためよい工夫ではないでしょうか。

去年までは360度動画というだけで物珍しいため、運転席やフロント部分にカメラを乗せて撮影した実写の360度動画がYouTubeに公開されたり、ディーラー店で置かれるなどしていました。展示会や店舗でも今後は製品見せるだけではなく、体験を重視したプロモーションとしてVRや360度動画がさらに増えてきそうです。


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード