RICOH THETAデベロッパーズコンテンスト開催。TRON坂村健教授が語った「360度カメラとIoT」

3月31日、東京大学情報学環・ダイワユビキタス学術研究館にて、『RICOH THETA ×IoTデベロッパーズコンテンスト』の記者会見が行われました。

その中で、東京大学教授の坂村健氏の講演「オープンIoTとTHETAのコンテンストはどう関係しているか」が行われ、コンテストの趣旨や、RICOH THETAとIoTの繋がりについて解説がされました。

THETA IoT

『RICOH THETA ×IoTデベロッパーズコンテンスト』は、360度カメラRICOH THETAのアプリ開発を競うコンテスト。エントリー期間は、2016年4月1日(金)~2016年8月31日。「IoT時代にふさわしいイノベーティブなもの」を求めており、審査基準として革新性や将来性、実用性が問われます。

通常、RICOH THETAのようなイメージングデバイスを利用してのIoTソリューションの開発には、機器側の開発だけでなくクラウド側の開発やサーバー構築・運用の技術開発が必要となりコストもかかります。今回応募者特典としてリリースするβ版クラウドAPIは、開発を省略化するサービスとして公開されます。

モノをつなぐ際に重要となる「オープンであること」

坂村健

坂村氏は、TRONという組み込リアルタイムOSのプロジェクトを続けています。このOSは世界で最も使用されているOS。カメラや携帯の他、はやぶさやイカロスといった宇宙で活躍する人工衛星にも使われているものです。

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坂村氏は、ITU(International Telecommunication Union)150周年賞を受賞しています。これはICTのイノベーション、促進、発展を通じて、世界中の人々の生活向上のために大きな功績のあった個人に賞を渡しているもの。坂上氏含め、ビル·ゲイツ氏、インターネットの基礎となったARPANETを生み出したロバート·E·カーン氏等6人が受賞しています。

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坂村氏は、このTRONの活動の中で重要視していたものが「オープン」という言葉。RICOHと企画しているのは、APIのオープン化です。

APIは、Application Program Interfaceの略で、プログラミングの際に使用できる命令や規約、関数等の集合の事をいいます。例えばTHETAであれば、シャッターを切るという動作、絞りやシャッター速度といった設定を全てネットを介して行う事ができます。ネット対応組み込み機器は、SONYの「nasne」のように、カメラに限らず様々なモノが注目されています。

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通常、ビデオレコーダーにはたくさんのボタンがついていますが、nasneにはボタンがありません。それは、ネットワークからしか指示ができないから。液晶も何もついていないため、小型な上に1万5千円という低価格に抑えられています。

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最近では、メーカーを超えていろいろなものが繋がってきており、世界が変わり始めています。IoTはモノをインターネットに繋ぐのではなく、インターネットのようにモノを繋ぐという事。APIをオープン化する事によって全てのモノが繋がり、メーカーも超越します。IoTで社会を変えるには、APIをオープン化する。この考え方が社会で受け入れ始めています。メーカーが1つのものを開発したら、メーカーのみで完結させるのではなく、多くの人の力を持って、その製品を発展させていく。このような考え方が世界中で受け入れられ始めています。やはり、メーカーでその製品を開発している一部の人だけの考え方では限界があります。

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また、坂村氏はただオープンなだけではなくガバナンスが必要なことにも言及しています。

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シンプルなカメラ「RICOH THETA」

この考え方に照らして今のカメラを見てみます。今や好きな人を登録しておけば、その人に自動的にピントを合わせることも可能です。しかし、「もしこのカメラを落とすと誰が好きで嫌いなのかバレてしまいますよね?」と坂村氏。プライバシーを保護するためにセキュリティをもっと保護しなければいけなくなります。 このように、本来カメラにある機能の他に、落とした時の情報を隠すために様々な仕組みを入れなければいけなくなります。

坂村氏は、これはカメラの値段を上げる要因となるため、「高度な事はクラウド側でやるべきだ」との考えを示しました。

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このような考え方からしても、THETAは魅力的だと、坂村氏は言います。「普通のカメラであれば液晶ディスプレイやボタンなど様々なものがついています。しかし、THETAにはメインとなるボタンは1つだけ、そしてレンズしかないカメラです。『まさにIoT時代のカメラで余計な機能が何もない』」と語りました。1つの製品に全てのインテリジェンスを持たせるのはではなく、製品とクラウドの協力的な関係性を作り、他と連携が必要な場合はクラウドを利用して行うべきだとのことです。「THETAは、私の考えるアグリゲートコンピューティングモデルの先取製品のようなもの」と坂村氏。

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「日本はこういう事にクローズでギャランティ思考なので、あまりこういう事が得意かは分かりません。だからこそ今、日本でこういう先進的なイノベーティブな会社が増える事を押していきたい。こういう日本の変わろうとしている部分を象徴するコンテストになればと思っております。RICOHも思ってもみなかったようなモノが生まれる事を期待しています。」と締めくくりました。

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■コンテスト概要

・スケジュール
エントリー期間:2016年4月1日(金)~2016年8月10日(水)
応募期間:2016年4月1日(金)~ 2016年8月31日(水)
結果発表・表彰式:2016年11月7日(月)

・表彰内容
最優秀賞 1点 100万円
優秀賞 3点 50万円
80周年記念賞 5点 30万円
審査員特別賞 10万円(審査時に点数を決定)
受賞点数:計9点+審査員特別賞数点 総額500万円相当

・コンテストへのリンクはこちらから
http://contest.theta360.com/

本講演の様子は、ニコニコ動画にて生配信されました。動画は保管されており、こちらのリンクから見る事ができます。

この記事を書いた人

  • image00

    先端技術好きなデザイナー。VRでは、MVコンセプトアート制作や360度カメラを使用した企画に関わる。多摩美術大中退、CI開発から書籍装丁等の様々なデザイン業務に従事。 THETA LOVERだゾ。

    Twitter:@sayamecci

    Mogura VRのライター一覧はこちら
    http://www.moguravr.com/writers/