物心ついたときから銃を手に持ち、日常のあらゆる行動を銃で行う世界観を描いたVRアクションアドベンチャー『The American Dream』がリリースされました。奇しくもアメリカでは銃を持つ権利に関する議論が白熱しており、ビデオゲームにおける暴力的な表現も批判の的となっています。
食事や掃除を銃で行う世界
2016年9月に発表された『The American Dream』は、銃が生活に溶け込んだアメリカの日常風景をコメディーチックに風刺したVRアクションアドベンチャーです。
プレイヤーは銃を両手に生活し、様々な行動を銃によって行います。家の掃除や食事の準備といった家事にはじまり、ダンス、ガーデニング、高級レストランでの食事、赤ちゃんのおむつ替え……などなど、現実では銃を使わない行動も、全て銃で解決します。
物語は主人公が赤ちゃんの頃から始まり、子供の頃、成人と様々な視点での銃との関わりを描いています。本作を手がけるSamurai Punkは「脳がヒリヒリし、心が温まる20以上のアクションステージを通して、アメリカの一般家庭の暮らしを描きました。ピストルやライフルなど様々な銃を操り、日常のタスクをこなしていってください」とコメントしています。
銃規制が議論されるアメリカ
本作が無事リリースされた一方で、現実のアメリカでは銃の権利に関する議論が熱を帯びてきています。
アメリカの銃規制を変えることは、歴史的な背景から難しいとされています。銃の所有権は国の憲法で保護されており、その権利を守ろうと強力な陳情活動も行われています。そのような中で、アメリカでは「なぜこれほどたくさんの射撃事件が起きているのか」という議論が盛り上がりを見せており、その原因の一つとしてビデオゲームにおける暴力表現が非難されています。
ドナルド・トランプ大統領はこの話題に関する会議を開きましたが、その際にビデオゲームと暴力行為の関連性を研究する専門家を招かなかったことでも批判を受けています。また、ホワイトハウスは人気ゲームの暴力的表現を集めたビデオ「Violence in Video Games(リンク先にゴア表現あり)」をYouTubeにアップロードしています。
ビデオゲームは自由な表現媒体の一つであり、今作のような風刺作品も、現実の出来事についての議論を促進する一面があると言えます。
『The American Dream』は、Oculus Rift、HTC Vive、PlayStation VR(日本では未配信)向けに20ドルでリリースされています。
(参考) Road to VR
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