ノンゲームのVRに沸くシリコンバレー – すんくぼのWeekly VR第1回

Mogura VRでは日々、VRにまつわるニュースやインタビューなど情報を発信しています。今回からスタートする新連載「すんくぼのWeekly VR」は、毎週1回VRに関するホットなトピックについて、編集長のすんくぼが語ってみようと思います。

第1回は、4月27日から29日の3日間、アメリカのサンノゼにあるコンベンションセンターで開催されたSVVR EXPO 2016の様子をお伝えします。

全米最大規模のVR開発者コミュニティSVVR

SVVR EXPO2016を主催した団体”SVVR”は、正式名称Silicon Valley Virtual Reality(シリコンバレー・バーチャルリアリティ)。いわゆるシリコンバレーにいてVRに関心のある人々の集まりです。2016年3月時点で会員数は3,500人以上。その規模は全米最大規模です。

年1回の一大イベントSVVR EXPOは2014年から開催して3回目。開催の度に規模が拡大しています。会場はシリコンバレーに位置するサンノゼのコンベンションセンター。世界中からVRの関係者が集まってのイベントとなります。SVVR自体が開発者だけでないため、VCやエンジェル投資家なども集まっているのが特徴的でした。

会場では、スポンサー等のデモ展示が行われるエキスポ、そしてVR業界で活躍する世界中のキーパーソンが講演を行うセッションが行われます。セッションはほぼ3日間、常に3部屋に別れて開催されており、その数は60以上、VRにまつわる様々な知見が共有されました。

すんくぼ VR

すんくぼ VR

2日目午前の基調講演の前には、全出展者が「20秒だけPRできる」というピッチイベントが開催。次々と登壇して自分たちのサービスをPRしていた。その後、時間があまると「誰でもいいので話したいことある人は登壇してOK!」となり、自由度の高くお祭りのような文化が垣間見えた。

ノンゲームだらけのVRイベント

筆者も初参加となったSVVR EXPO 2016。その率直な印象としては「ゲーム系の展示もセッションも非常に少ない」ということ。

3月にサンフランシスコで開催されたゲーム開発者向けのGDCと同時に開催されたVRDCがゲーム・エンタメ寄りの内容中心だったことと比べるとかなり対照的です。

2日目の午前中に行われた基調講演では、SVVRに属する様々なメディアやスタートアップなどがリレーで講演を行いました。講演を行ったのは、VR専門メディアRoad to VRの編集長Ben Lang氏や宇宙に360度カメラ搭載した人工衛星を打ち上げて360度映像の撮影を目指すSpaceVRのCEO、Ryan Holms氏など。その中でも繰り返し語られたのが「VRはゲームだけのためのものではない」という話でした。

すんくぼ VRRoad to VR、Ben Lang氏のスライド。VRの一部にゲームがあることを解説。

すんくぼ VRアバターでコミュニケーションをとるAltspaceVRのCEO Eric Romo氏。一般消費者に普及するVRはゲームの範疇を超えるということをコミュニケーションツールとゲームの比較で示したスライド。

また、展示ブースでもゲームそのものを展示しているブースは全体の100以上のうち、20以下でした。BtoBを意識したようなツールの展示やVRコンテンツ制作のためのミドルウェアの展示、ライブストリーミング可能な360度カメラ「Orah」や180度の3D360度カメラ「Lucid Cam」などの撮影機材。そして『AltspaceVR』『VR Chat』『High Fidelity』といったVR空間内でアバター同士コミュニケーションをとるツールや、現実にある様々なサービスにVRを活用することに取り組んでいるスタートアップの展示が中心でした。

例えば、ヨガ教室やトレーニングの360度動画を集めたプラットフォーム、VR空間内でショッピングができるような一連のeコマースツールをパッケージしたサービス、身体を動かしてリハビリを行うソフト、などあらゆる分野でVRを活用できないか模索しています。

展示されているそれぞれのサービス自体はまだまだプロトタイプからα版程度のものが多くそのクオリティには首を傾げたくなるようなものも多くありました。しかしSVVRのエキスポは、展示物を見せびらかす場では全く無く、アイデア先行の段階で早くも大々的なディスプレイとともにプロトタイプを展示し、道行く投資家に目を留めてもらい体験してもらうことを中心にした空間でした。

VRをどう活用するのか

セッションでも、WebVRなどのツールの使い方や各デバイス向けのコンテンツの作り方といった基本的な講演で「VRの特徴を理解する」だけでなく、医療とVR、教育とVRなど「VRをどう活用するか」といったポイントにフォーカスした講演が多くありました。

すんくぼ VR
「企業活動、教育、医療におけるVR」という講演で元Oculus社で今はVRを様々な分野に活用するためのアドバイザリーを行うClay Park社を立ち上げたShauna Heller氏の講演にて、「まだ始まりにすぎない」ということを示すスライド

シンクタンク等の将来予測(ゴールドマン・サックスSuperdata)でも、VRの活用分野はゲーム以外が大きくなるというものが多く出ています。

すんくぼ VRゴールドマン・サックスの2025年の予測(ARと合算)

すんくぼ VRSuperdataの2020年の予測

こうしたゲーム以外のテーマに寄っている状況は、ゲーム系の企業も多くないシリコンバレーという立地を考えると当然とも言えます。

先を見越し、早くもゲーム以外のVRに取組始めているシリコンバレーの雰囲気が非常によく伝わってくるイベントでした。

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この記事を書いた人

  • KFtb1VIM

    慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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