【PSVR】『サマーレッスン』ちさと編レビュー エキセントリックな少女との交流が楽しい!

VRで教え子たちと触れ合うことができるPlaystation VR(プレイステーションVR・PSVR)のソフト『サマーレッスン』に3人目のキャラクター、新城ちさとが登場しました。今回は、ギャルゲー好きライターのカワチが本作『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード(基本ゲームパック)』をレビューしていきます。

3人目の教え子が登場! そもそも『サマーレッスン』って?

ということで、まずは『サマーレッスン』シリーズがゲーム業界においてどういった立ち位置にあるのか説明させてください。

もともと『サマーレッスン』は2014年9月1日のSCEJA Press Conference 2014にて、TGS2014に出展するためのデモコンテンツとして発表されたもの。ところが内容を見たユーザーの反応が大きかったため、製品化された……という経緯があります。

とはいえ、そのときは「PS VRの技術を駆使した新コンテンツが知りたい」というよりは「VR空間で女子高生の家庭教師をするゲームって楽しそう!」というイメージで興味を持った人も多いのではないでしょうか?(笑)。
ただ、VRの魅力を語るには、技術やスペックなどを伝えるよりも「VRでどんなことができるのか」を見せたほうが早いので、これはこれで良かったのではと考えています。

“普段は入れない女の子の部屋で2人きりのコミュニケーションをする”という部分に満足しがちな『サマーレッスン』ですが、「PS VRの機能でこんなことができる」「PS VRに適した演出はこういうものである」という表現が随所に盛り込まれており、これこそが本作のポイントです。

奥行きまで再現された部屋や、ヒロインが近づいてきたときの自然なささやき声、コントローラーを携帯電話のように使うギミックなど、『サマーレッスン』シリーズをプレイすることで「ああ、VRでゲームの世界はこう変わるんだな」と気付かされます。

たとえば、本シリーズでは選択肢を選ぶときはコントローラーではなく、視線を合わせることで行動を決定します。そのため、“ゲームをしている”という現実にあまり引き戻されることがありません。ちなみに行動を選ばずにいると、ちさとに「そんなにチラチラ見るなら恥ずかしがらずに見つめてくれてもいいのよ」と挑発されたりして、それはそれで楽しいです。

また、きちんと部屋を360度見渡せるため、その空間に自分がいるような感覚になれますし、コントローラーを携帯電話として使うときも、耳に近づけると実際に相手の声が大きくなるなど没入感が高いです。

ちなみに本作では、SNSシェア機能などでゲーム外の画面を起動すると、下記動画のように「私に断りもなく何してるの?」など、ちさとに怒られるといったおもしろいギミックも用意されています。これはVRとは直接関係ないですが、ヒロインが本当にその場にいるように感じられていいですね。

https://www.youtube.com/watch?v=Z4flZDxYt24


ただ、プレイしていると“女の子が毎日同じ服を着ている”“画面の時計が進まない”“会話がパターン化する”といった部分に違和感を覚えてしまうことも。これはリアルを追求している『サマーレッスン』だから余計にそう感じてしまうのでしょう。

小悪魔的なちさとにドキドキ!

しかし、今回の『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード』は、お屋敷に住んでいる名家のお嬢様・新城ちさとに一般常識を教えるというもの。リアルよりはファンタジーな設定になっています。

ワガママな彼女に付き合って、さまざまなイベントに巻き込まれることになるのですが、ちさと自体もどこかアニメ的なかわいさがあり、とても新鮮な気持ちでプレイできます。たとえば「デジタル入門」のレッスンだと指1本でがんばってキーボードを押したり、「スマホ応用編」だとぬいぐるみを相手に写真を撮ったりと彼女の不器用な姿を見ることができ、まるでギャルゲーの世界に入ってヒロインと交流しているかのような気分になります。「そんなこと出来て当たり前でしょ!」ということをドヤ顔で見せてくるのでカワイイです(笑)。

また、これまでのヒロイン、ひかりとアリソンはプレイヤーに対して優しいという共通点がありましたが、ちさとはワガママで小悪魔的な性格をしており、プレイヤーに対してもアグレッシブです。ただ、先生をからかうだけで悪意は持っておらず、基本的にフレンドリーに接してくれるため好感も持てます。

「学校に行ったらなにしたい?」という質問には「友達を作るわ。普通の友達。夕方になると同じ年頃の女の子たちが楽しそうに下校していくの。私もそのなかに混ざってみたい」とささやかな願いを教えてくれます。また「普段は何してるの?」と聞くと「何もしていないわ。本を読むぐらいでわたしにすべきことは何も無いのよ。ここにいると自分の人生に何の意味も無いことがよくわかるわ」と答えます。基本的にはとてもいい娘なんですよね。

とはいえ「Sっぽいよね」という質問には「S? Sってなに? あぁ、サディストのことね。ふ~ん、先生はそういうのが好きなの? あなたのほうが性格に問題があるんじゃないかしら?」と答えたりするため、やっぱり罵ってほしい人にもオススメですね(笑)。

また、第2弾のアリソン編からヒロインとメールでやり取りできるようになりましたが、メールに慣れていないちさとの場合は、がんばって打ったであろう短い言葉が送られてくるので、そこも健気でかわいいんですよね。

レッスンで成果を蓄積したり、指導目標をクリアすることで入手できる「ラッキーアイテム」を使用することで見ることができる「ラッキーイベント」も見逃せないポイント。

ひとつのストローで一緒にジュースを飲むものや、ちさとの手の甲に口づけするものなど、ギャルゲーチックなものが多くて楽しい! また、一緒にゲームをするイベントでは実際に操作をすることができ、勝敗によってその後のイベントも変わります。

キャラクターの幅だけでなくゲームの幅も広がっており、今後シリーズがどうなっていくのかすごく楽しみになりました。追加パックも購入して楽しみたいと思わせてくれる出来です。

VRゲームはまだまだこれから開拓していくフロンティアですが、それを率先して開拓している作品のひとつが『サマーレッスン』だと思います。熱心にVRを研究してきた本作のスタッフだからこそ、VRゲームの魅力がわかっているし、どこをフィーチャーしてどこを切り捨てて伝えればいいのかをわかっているのだと感じます。ぜひ、プレイヤーだけでなく開発者の方にも『サマーレッスン』をプレイしてほしいです。

筆者はVRゲームにテキストアドベンチャーの系譜、それこそギャルゲーの進化にも期待しています。今のところ『サマーレッスン』はあくまで女の子との交流をメインに描かれていますが、そこに“物語”やそこに付随する“ギミック”が追加されることで、ゲームは劇的な進化を遂げると感じます。その過程を楽しむことができる『サマーレッスン』シリーズを、今後もチェックしておきたいところです。

『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード(基本ゲームパック)』

公式サイト
http://summer-lesson.bn-ent.net/
・ソフト情報
タイトル:『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード(基本ゲームパック)』
ジャンル:アドベンチャー
発売元:バンダイナムコエンターテインメント
発売日:2017年10月12日発売
対応プラットフォーム:PlayStation VR
価格:¥2,980(税込)
プレイ人数:1人

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この記事を書いた人

  • ビジュアルノベル好きのフリーライター。さまざまなメディアに記事を寄稿しており、マニアックな知識や小ネタなどで読者を唸らせている。深みのあるゲームが好きかと思えば、「エロければなんでもいい」と豪語する猛者。 Twitter:@kawapi