【CEDEC 2015】『サマーレッスン』から学ぶVRゲーム開発 -テクニカル編-

8月26日から28日の3日間、パシフィコ横浜にて開催されたゲーム開発者向けカンファレンス『CEDEC2015』。最終日の28日、「VR空間でキャラクターとコミュニケーションする新しい娯楽」をテーマとした技術デモ『サマーレッスン』に関する「プロデュース編」、「テクニカル編」、「開発者ディスカッション編」といった、3コマのセッションが行われました。今回は「テクニカル編」です。

https://www.youtube.com/watch?v=Z9463NLOeRA

「サマーレッスン」では、裏テーマとして、「若手クリエイターの活躍の場や機会を増やす」という狙いが示されていました。テクニカル編では、「サマーレッスン」の開発に関わった若きプランナー、アートディレクター、アニメーター、エンジニアから様々な知見を得られました。

image201509012138145

VRにおける「読み合わせ」を繰り返す

image201509012138146
プランナーの玉置氏は、3DCGのリアルタイムデモとVRデモとの大きな違いについて言及しました。3Dデモの目的は「リアルタイムに動く絵を作る」ことに対して、VRデモの目的は、「リアルタイムに動く空間を作る」ことです。音についても正確に設定する必要があります。VRデモ用コンテ制作では、3Dデモと同じように絵コンテ字コンテの作成のみにとどまりません。見取り図を作成し、「読み合わせ」をする事によって、VR体験が効果的か、空間全体に破綻が無いか、実際に机や椅子を使って「仮の」VR空間をつくり、キャラクターやプレイヤーの位置に座り、演技する事を試みたとのこと。この「読み合わせ」を何度も行う事と、様々なプレイヤー行動を想定して試すことが大切だったと言います。

image201509012138142
image201509012138141

没入感を高めるアートディレクションとVRにおける2Dキャラクターの限界

image201509012138144

続いてアートディレクターの吉江秀朗氏からは、VRにおけるアートディレクションについてのエアコンやダクト、コンセントなどの情報量をあげていく事によってVRの「現実とは違う」という違和感が消え、没入感につながるとのこと。E3版サマーレッスンでは、生活感や小物にこだわるだけでなく、「海の向こうまで行きたい気分にさせるような開放感」が演出されています。

image201509012138147

イメージ577

「サマーレッスン」は、これまで開発してきた「鉄拳」や「タイムクライシス」のノウハウを吸収しつつ、短期間(2014年版は2か月間、E3版は4か月間)で開発されました。フェイシャルやボーン(骨構造)は、社内リソースがふんだんに活用されています。

image2015090121381410

開発者の中でも、「アイドルマスターの天海春香のような2次元のキャラクターとコミュニケーションしたい」との声があがっていました。しかし、2Dのキャラクターの場合、遠目では気になりませんが、近くで見ると頭の大きさや顔などに違和感しか感じなかったとのこと。原田氏は、「2次元キャラは次の段階で挑戦するべきだと感じている。」と語っています。

image2015090121381412

キャラに命を吹き込むアニメーションとは

image201509012138143
サマーレッスンのアニメーションを担当した森本直彦氏からはは、「インプット→思考→アウトプット」を意識した設計についての説明がありました。この設計により、『プレゼンス』を演出する高い効果が得られているとのこと。つまり、キャラクターが何を見ているか、聞いているかというインプットに加え、プレイヤーのインプットを踏まえて、キャラクターが考えを持って思考しているようにプレイヤーに見せる事(アウトプットすること)が大切です。距離が近すぎる場合、キャラクターが「パーソナルスペース」を保つために回避行動をとる、視線追従は目線→頭→体の順に少し遅らせるなど、差分アニメーションはもちろん繊細な動きにまでこだわって開発され、プレゼンスをより一層引き出しています。

イメージ582

VRコンテンツをVR内で開発する時代

image201509012138148

エンジニアの山本治由氏からは、VR開発の開発現場に関する説明がありました。VRでは、開発中のゲームを評価するためには1度に体験できる人数が少ないという問題が生じます。そこで早期からスケジュールを決めておいて、タイムスケジュールで管理する事が、円滑に開発が進んだ要因のひとつだと語りました。

image201509012138149

また、HMDとモニターでは印象が変わってしまうため、開発がデバイスを装着したまま行われました。UnrealEngine4では、VR画面上のコンソール画面が便利だとのこと。VRコンテンツをVRの中で開発する、早くもそんな時代が到来しているようです。

image2015090121381411

プロデュース編はこちら

次回は開発者ディスカッション編のレポートをお送りします。

・CEDEC公式サイト
http://cedec.cesa.or.jp/2015/

VRコンテンツの制作ノウハウを取り上げた記事はこちらでまとめています!

この記事を書いた人

  • image00

    先端技術好きなデザイナー。VRでは、MVコンセプトアート制作や360度カメラを使用した企画に関わる。多摩美術大中退、CI開発から書籍装丁等の様々なデザイン業務に従事。 THETA LOVERだゾ。

    Twitter:@sayamecci

    Mogura VRのライター一覧はこちら
    http://www.moguravr.com/writers/