【体験レポ】ValveがSteam VR向けに新発表したグリップ型コントローラーは“手にはめる”感覚

2016年10月12日から13日かけて、Valve本社のあるワシントン州シアトルで開催された『Steam Dev Days 2016』。Steamに関して開発者向けのさまざまなカンファレンスが開かれました。その中でも初日の基調講演で発表され注目を集めたのが、VRに関する発表。HTC Viveのポジション・トラッキングに使われる新型Lighthouse、そして現在研究開発中のSteamVR対応グリップ型コントローラーのプロトタイプの発表がありました。

Steam VR

新型Lighthouseは、位置を補足するためのベースステーションの機構をシンプルにして駆動モーターの数を2つから1つに減らしたこと、従来のポジショントラッキング制度が1mmに対し、新型では3分の1mmに向上したこと、さらにポジショントラッキング可能範囲の拡大などが発表されました。詳しい時期は未定でしたが、2017年のリリースになるようです。

Steam VR

もう一方の新型Steam VR対応コントローラーは、Oculus Rift向けのOculus Touchのようなより自然で手に近い形の入力を可能にするグリップ型コントローラーです。こちらは会場のネットワーキング・コーナーでプレイアブルの体験が行えました。今回は二日間にわたりじっくりと試してきたプロトタイプについてレポートします。

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非常に軽い“手にはめる”グリップ型コントローラー

基調講演で発表されたグリップ型コントローラーのプロトタイプ(以下グリップ型プロトタイプ)は、午後からネットワーキング・ルームにてプレイアブルの体験デモが開始されました。ネットワーキング・ルームは、食事や飲み物を提供するホールに併設され、カジュアルな雰囲気の中で行われていました。

グリップ型プロトタイプ体験ブースは全部で2つあり、2人ずつデモを行えるようになっていました。プロトタイプらしくドライバーが安定していないのか、初回起動時にはコントローラーの認識がロストして、認識しない様子が見受けられました。グリップ型プロトタイプで体験するデモコンテンツは、HTC Viveではおなじみの『The LAB』や『The Gallery – Episode 1:Call of the Starseed』などが展示されていました。

SteamVRでの認識が終わり、いよいろ体験デモとなります。まずは担当者がグリップ型プロトタイプを手にはめてくれるところからスタートします。まっすぐ伸ばした四本の指に差し込むようにはめられたコントローラーは、マジックテープでぴったりと固定されるためホールド感が良く、手を自然に握ったり開いたりしても外れる感じはありません。HTC Viveの標準コントローラーはそれなりに重量を感じましたが、グリップ型プロトタイプはひじょうに軽かったことも驚きました。この辺りは搭載バッテリーの容量により変更がある可能性があります。また、HTC Viveの『2015 Dev Kit』と同様にむき出しのLighthouse用センサーが取り付けられているところもプロトタイプ感を感じさせるものでした。

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年内にリリースが予定されているOculusのグリップ型コントローラー『Touch』が、”手に持つ感じ”に対してSteamVRのグリップ型プロトタイプは“手にはめる感じ”といえば近いかもしれません。装着したグリップ型プロトタイプを改めて見回してみると、左右にそれぞれ5つのボタンがあり、内1つはHTC Vive標準コントローラーと同様にアナログパッドのような形状をしていましたが今回のデモでは機能が割当られておらず確認はできませんでした。

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HTC Viveのヘッドマウントディスプレイを被るとVR空間の中の手と自分の手が連動しているのがわかります。中指から小指の部分はセンサーにより、軽く握るとVR空間上の手もそっと閉じます。試しに周囲にある空き缶、剣、フライパンなどを持ってみます。僕らはモノを掴む時に自然と人差し指と親指で掴んでしまおうとしますが、グリップ型プロトタイプでは中指、薬指、小指で掴む形になるため、最初は慣れが必要でした。一度慣れてしまえば難しいことはなく、空間内のオブジェクトを右手から左手に放りなげて渡すようなジャグリング的な動きも可能です。位置を検出するためのセンサーが絶妙な角度で配置されているようで、さまざまな角度で試してみてもコントローラーを見失うということはありませんでした。

https://www.youtube.com/watch?v=CJYsHQx89HE

VR用ハンドコントローラーの未来

VR、AR空間での入力デバイスは、カジュアル、エンタメ用途の使用が多いモバイル環境ではコントローラーを持たず、赤外線や深度センサーによるハンドトラッキングになり、ビジネス、作業用途のあるPCベース、PCと使用するハイエンドの環境ではこのグリップ型プロトタイプのようなデバイスになっていくであろうと予測されます。

ハイエンドのVRヘッドマウントディスプレイでは、Oculus Rift向けにOculus Touchや今回のグリップ型コントローラーが登場している一方で、モバイル向けには9月にはQualcommがモバイル用のVRデバイス『Snapdragon VR820』のリファレンスモデルにセンサーベースのハンドトラッキングを採用しています。

こうした流れが起きつつある理由としては、モバイル/ビジネスの両方でハンドトラッキングをベースにしたUIに共通化できるため、開発の最適化が図れること。また、ビジネス用途ではカジュアル用途以上の入力の正確性が求められることが挙げられます。コントローラーを使った入力は赤外線などのセンサーのみの入力に比べ正確です。これは仕事でグラフィックなどを扱う方であればペンタブレットを利用したりしているのでわかりやすいかと思います。

最後にSteamの担当者へ話を聞いたところ、今回のグリップ型プロトタイプはまだデベロッパーキットの配布も決まっていない状態であること、今回の開発者向けのデモ体験でのフィードバックを基にしてアップデートを行う、とのこと。

今のところこのグリップ型プロトタイプもエンタメ寄りの設計だと思われるので、業務で使用するには絶対的なボタン数が足りないかもしれません。いずれはより自然に手の拡張をおこなえるような入力デバイスの形へと収束していくのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

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    DVERSE Inc. CEO。2014年にバーチャルリアリティ(VR)システム・コンテンツ開発事業を営むDVERSE Inc.を設立。現在、建築・空間デザイン向けVRツール「SYMMETRY(シンメトリー)」を開発中。