【PSVRレビュー】VRで実現する、あなたが主人公のスターウォーズ 『ローグ・ワン Xウィング VRミッション』

「VRは現実ではない憧れの世界にも行ける」

そう聴いたときに筆者がまず考えたのは、映画『スター・ウォーズ』の世界でした。

超能力のような力「フォース」を使って光る剣ライトセーバーを振り回し、巨大な宇宙戦艦に数機の戦闘機で挑む。仲間が徐々に撃墜されていく中、宿敵を倒し、敵戦艦を破壊して命からがら脱出する。

そんな冒険活劇が1977年に初めて劇場に登場して以来、実写の映画作品だけでも8作品が上映されています。宇宙を舞台にしたスペースオペラの世界を現実に体験することは、現代の地球に住む我々には絶対に不可能なこと。その超現実的な世界なのに、キャラクターが柔道着のような服を着ていたり、ハイテクな世界なのにチャンバラをしていたり、どこか懐かしさを感じる物語。だからこそ、スター・ウォーズは多くの人を魅了したのではないかと思います。

筆者も魅了された1人でした。小学生の時に親に連れられて「特別編」として上映されていた3作(いわゆる旧三部作と呼ばれるエピソード4~6)を見て以来、一人っ子だった筆者は毎晩のように1人でライトセーバーを振り回し、手をかざして触れていない物を浮かそうとし、宇宙で激戦のさなか友軍機と声を掛け合う、そんな妄想に浸って一人遊びをしていたものです。

その夢がVRによって叶いつつあります。

『VRミッション』は本格的なVR版スター・ウォーズ

『Trials on Tatooine』が10分程度でゲーム性のない簡単な“体験”だったのに対し、『VRミッション』はミッションクリア型のよりゲーム的な体験でした。元々PlayStation4向けに配信されている『STAR WARS バトルフロント』の追加コンテンツとして配信されたものです。タイトルからも分かる通り、スター・ウォーズの劇場版としては最新作でシリーズの外伝である『ローグ・ワン』に関係したコンテンツになっています。

2016年はVRヘッドマウントディスプレイの発売に合わせて、スター・ウォーズのVRコンテンツが登場しました。7月にはHTC Vive向けにライトセーバーを振り回せる『Trials on Tatooine』が公開。そして12月6日にはPlayStation VR(PSVR)向けに『Star Wars バトルフロント ローグ・ワン: Xウイング VRミッション』(VRミッション)が配信されています。

https://www.youtube.com/watch?v=-R1kOWgBxW4

『VRミッション』の舞台は映画『ローグ・ワン』と同じ、エピソード3と4の間。プレイヤーはXウィング戦闘機の部隊であるレッド中隊に配属された新人パイロットという設定。レッド4とパイロットサインが割り振られています。

ストーリーは、艦隊を護衛中、味方の救援信号を受信、ローグ中隊がその救助に向かい、小惑星帯で助けを求めている味方を発見、味方艦隊との合流地点に向かうまでに、追ってきた帝国軍のインペリアルスター・デストロイヤーとタイファイターの大群と戦闘に突入するというもの。

体験がスタートすると、プレイヤーはXウィングの操縦席に座って宇宙空間にいるところからスタートします。後ろを振り返るとパートナーのアストロメク・ドロイドがいて、席にあるボタンに目線を合わせてコントローラーのボタンを押すと反応します。

スター・ウォーズという物語の記号を忠実に再現したことで生まれる“帰属意識”

体験の詳細を書いてしまうと楽しみが半減してしまいますが、スター・ウォーズのファンならこれまでの映画で見て心の踊るシーンが体験できます。

・ハイパースペースに突入する

・進行方向が徐々に狭くなっていく中をギリギリのところでくぐり抜ける

・デストロイヤーの側から大量のタイファイターが向かってきて交戦開始

・複数の敵に後ろにつかれた僚機が助けを求める(サブミッション)

・弾幕の激しいデストロイヤーのターボレーザー砲を破壊して無力化する(サブミッション)

・インペリアルスター・デストロイヤーの最上部に位置する照準アレイを破壊する(サブミッション)

どれも「自分がスター・ウォーズの世界にいる」と信じてしまうほどに原作に忠実でした。ハイパースペースに入る時のゆっくりとした移動と星の光が横に伸びて線になっていき、急加速してハイパースペースに突入するシーンはまさにその象徴。

ハイパースペースのようにスター・ウォーズでは、どの作品でも共通して登場する「お約束=記号」が散りばめられています。それはときにシーンだったり、ストーリーの展開そのもの、また発言や動作だったり、もしくはキャラクターの存在、種族構成、武器や乗り物、星の名前、音など実に様々な記号が各作品に共通して登場することで、スター・ウォーズの世界観というものが形作られています。公開中の映画『ローグ・ワン』も外伝という位置づけですが、非常に多くの記号が登場します。

こうした、スター・ウォーズのお約束である記号は当然ながらこの『VRミッション』にも数多く盛り込まれています。その例が箇条書きで挙げたシーンです。

こうした記号の再現があることで、体験者は「この世界はまごうことなきスター・ウォーズの世界だ」と認識しつつ、Xウィングに座っていることや仲間が自分に話しかけてくることで「自分はこの世界にいる」だけでなく「自分はこの世界の構成要員なのだ」という、VRで体験する世界に対してさらに強い帰属意識を感じやすくなっています。

まさに体験者はスター・ウォーズの世界にいる体験が可能になっており、ファンにはたまらないコンテンツになっています。特にファンの心をくすぐるのはコックピットの側面にあるボタンを押すと出現するプロトン魚雷の照準装置。エピソード4の最後に惑星破壊兵器デス・スターを破壊するためにルーク・スカイウォーカーが決死の飛行をしながらデス・スターの弱点に魚雷を打ち込む時に使おうとすることになる(※)装置です。

※『VRミッション』の時系列はエピソード4以前のため

映画との棲み分け―自分だけの物語がそこにある

最後に、映画との関係について考察してみたいと思います。今回の『VRミッション』は映画『ローグ・ワン』の公開と合わせるように配信が開始されました。

タイトルと時系列こそ似ているものの、『VRミッション』で体験するシーンは完全にオリジナルです。映画に登場するキャラクターが重要な役割で登場するので、映画を見た後の方が楽しめることは間違いないでしょう。

そして、映画を見た後だと、映画とVRの棲み分けが非常に分かりやすくなります。映画本編は様々な登場人物が現れて繰り広げる冒険活劇。主人公であるジンや仲間たちの物語を視聴者は傍観者として目撃します。もちろんその物語は洗練されて完成したものなので、介入の余地はありません。

一方、VRは一人称で自分が主人公で、自分の行動で物語が少し変わってきます。自分ががんばって援護すれば仲間はやられずに済むかもしれません(サブミッションなので成否に関わらず展開が用意されています)。ほんのちょっとしたゲーム性ですが、この点が映画との決定的な違いになっています。VRでは体験が自分の物語になります。映画のシーンを体験することはできませんが、あれはヒーローの物語、VRで体験するのはスター・ウォーズの世界にいると思わせながらも、そこに生きる自分だけの物語です。

スター・ウォーズファンなら体験そのものだけでなく、考察したり、様々なモチーフに思いを馳せたり、十二分に楽しめる『Star Wars バトルフロント ローグ・ワン: Xウイング VRミッション』。体験するためには『Star Warsバトルフロント』の購入が必要となりますが、定価は1,944円。ダウンロードは無料なのでスター・ウォーズファン必見のVR体験です。

・ソフト情報

タイトル:『ローグ・ワン Xウィング VRミッション』

ジャンル:シューティング

発売元:エレクトロニック・アーツ

発売日:2016年12月6日(土)

対応プラットフォーム:PlayStation4(『Star Wars バトルフロント』内PSVR 専用ミッション)

価格:無料(1,944円の『Star Wars バトルフロント』が必要)

プレイ人数:1人

CERO:A(全年齢対象)

この記事を書いた人

  • 慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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