第2世代のVRHMDの鍵?250Hzの視線追跡を公開したSMIが狙うフォービエイテッド・レンダリング

VRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)でゲームや体験を楽しむときコンピューターやスマホの処理コストを軽減できないものか。このような問題を、アイトラッキング技術(目線を追跡する技術)で解決する試みが始まっています。日本では、VRVRHMDを開発しているFOVEが取り組んでいます。

SensoMotoric社(SMI)は、250Hzという高リフレッシュレートで動作するVRHMD向けのアイトラッキングキットを年明けのCESにて公開しました。

このアイデアは「フォービエイテッド・レンダリング(Foveated Rendering)」と呼ばれ、視覚のメカニズムを応用したもの。
人間の視野は約180度と考えられていますが、視野の中心が最も明確に見え、外側にいくにつれ、ぼやけて認識されます。この特性を利用し、中心の視野を高解像度で、外側の視野を低解像度でレンダリングすることで処理コストを適正化するのが、「フォービエイテッド・レンダリング」です。

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SMIの技術はカメラセンサーメーカーとして知られるOmniVision社との提携により実現しています。
VRHMDのレンズを縁取るように取り付けられた2台の赤外線センサーによって目の動きを捕捉、約2msレベルでの処理を行うことが可能となっています。赤外線は人の目には見えない波長であるため体験を阻害することはありません。

高解像度と低解像度のグラフィックを使い分けていることをユーザーに気づかせないためには低遅延でのトラッキング技術が必須です。同社によると10年以上の研究の結果、サッケード運動(注視点の変更などに伴う急速な眼球運動)を捕捉するためには240Hzのリフレッシュレートが重要であるとコメントしています。

フォービエイテッド・レンダリングは現在のグラフィックカードをベースとした場合でも、約2~4倍の解像度を実現できると考えられています。Oculus社のチーフサイエンティストであるマイケル・アブラッシュ氏は、「1眼につき8Kの解像度あればVRは現実の世界へと近づける」とコメントしています。SMIは本来、フォービエイデッドレンダリングを専門とする企業ではありません。最終的には、NVDIA社やAMD社といったグラフィックカードメーカーに託されるべき課題です。

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ではこの技術は、いつごろ実現されるのでしょうか。現状、第一世代のVRHMD(Oculus Riftや、HTC Vive)にアイトラッキングを搭載するには手作業で接続が必要です。もし、接続できたとしても12,000ドル以上の追加コストが予測され、負担は大きなものとなってしまいます。

しかし、仮に100万台単位の生産規模となった場合、SMI社のChristian Villwock氏はコストは一ケタ台(ドル)となるだろうとコメントしています。これは、第2世代の目のトラッキング技術を搭載したVRHMDの利益を考えれば、僅かなコストであることを意味しています。Christian Villwock氏は個人的見解として、「第2世代の全てのVRHMDは、アイトラッキング技術を備える。」と語っています。

https://www.youtube.com/watch?v=Qq09BTmjzRs

既に、PCメーカー、携帯電話メーカーとの取組も始めているSMI社。VRHMDにおけるアイトラッキング技術は、上記のようなレンダリングコスト適正化や高解像度化の観点に加え、目線で照準を合わせることができるようになり、更に自然な動作が可能になるユーザーエクスペリエンス向上への技術としても期待されています。Oculus Riftの創設者であるパルマー・ラッキー氏も、VR技術の「重要な部分」であるとコメントしてます。

関連記事:Oculusも注目しているVRにおける視線追跡技術

SMI社だけでなく、日本で開発中のVRHMD「FOVE」がアイトラッキングを搭載し、フォービエイデッド・レンダリングができることを強調しています(FOVE公式サイトによるとトラッキング速度は120fps、精度は0.2度)。また、SMIと同様アイトラッキング大手のTobii社は、VRHMDにOEMで搭載できるシステムを2015年に発表しました。

関連記事:Tobii、VRヘッドセットにも搭載できる新たな視線追跡システムを発表

アイトラッキングは今後引き続き注目したい技術です。

(参考)
Exclusive: SMI Showcases Foveated Rendering With New 250Hz Eye Tracking Kit(英語)
http://uploadvr.com/smi-eye-tracking-foveated-rendering-exclusive/

SMI’s 250Hz Eye Tracking and Foveated Rendering Are For Real, and the Cost May Surprise You(英語)
http://uploadvr.com/smi-hands-on-250hz-eye-tracking/

米Road to VR、Uproad VRとMogura VRはパートナーシップメディアです。

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    ゆたか

    フリーのシステムエンジニアです。360°動画を撮影して楽しんでいたところ、Gear VRにも出会い更なる衝撃を感じました。
    これから、あらゆる文化を面白くしそうなVR。最先端で関わりたいと思い参加させていただいています。

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