Home » VRを活用し、全世界の1兆ドル超の出張費削減に挑む


テック 2016.11.18

VRを活用し、全世界の1兆ドル超の出張費削減に挑む

11月15日、カルフォルニアに本社をおくWorldVizは、エンタープライズ向けの新しいVRコミュニケーションプラットフォーム「Skofield」(コードネーム)を発表しました。また、11月15日から17日までラスベガスで行われる「Autodesk University」においてSkofieldのアルファ版を展示します。

WorldVizとは

WorldVizは、主にエンタープライズ向けVRソリューション及びソフトウェアを提供している会社です。Forune 500に含まれるような大企業など、合わせて1500社以上とVRソリューションを共同開発しています。WorldVizのコア製品は、エンタープライズ向けVRアプリ開発プラットフォーム、Vizardと、VRアプリ及びハードウェアソリューションの統合システムであるVizModeです。

さらに、PPTと呼ばれる独自のモーショントラッキングシステムや、3Dコンテンツのコンサルティングを行っています。

製造業の企業が直面する問題を解決するSkofield

WorldVizのCEOで共同創設者であるAndrew Beall氏は以下のように述べています。「視覚的なアイディアを遠隔地にいる意思決定者に正確に伝えるのは、ビデオ会議やスライドの共有といった最新のコミュニケーション手段がある現在でも大きな課題となっています。企業は、この問題を解決するために、出張せざるをえませんが、出張費は世界全体で1兆2500億ドルを費やしています。私たちはSkofieldがその問題に対する答えだと信じています。」

Skofieldは、既存のWeb会議システムのように簡単かつ速やかにコミュニケーションできることを目的としています。VRを活用してそこに3Dモデルが「存在する」ように表示、レビュー、フィードバックすることができます。航空宇宙、自動車、建築など非常に複雑で高価な製品の開発に関わっている企業にとって、期待したとおりのデザインが開発の初期段階から意思決定者と共有できていれば、何百万ドルものコストを節約することができます。これは、コスト削減のため非常に重要です。

Skofieldの概要

Skofieldは主にプレゼンテーション用ファイルの作成(Creation)と、プレゼンテーション時の環境構築(Experience)の2つの要素で成り立っています。Creationフェーズでプレゼンを用意する場合は、Skofieldに含まれるPresentation Designerソフトウェアに入っているWYSIWYGエディタを使用します。エディター上で、VRコンテンツをドラッグ&ドロップして、プレゼンテーション用ファイルを作ることができます。

また、PresentationのデザイナーはVR空間やインタラクティブオブジェクトの作成に加えて、プレゼンテーションをサポートするために、トレーニングマニュアルやデータシートなどのPDF、PPTスライドを挿入することもできます。

資料を作成すると、発表者は招待メールやテキストを参加者へ送り、セッションに参加してもらうことができます。出席者は、VR空間でのプレゼンテーションに参加できます。このツールを利用すると、3Dモデルへの注釈の追加、距離計測、仮想レーザーポインタによるポインティングなど、さまざまな方法でプレゼンテーションすることができます。また、Skofieldは、プレゼンテーション時の発表者や参加者の音声やVRヘッドセットの視線情報をログとして保存し、後で参照することができます。

SkofieldはVizardを元に作られているため、VizardプラグインであるVizConnectを用いてさまざまなVRハードウェアを使うことができます。今のところ、Oculus Rift、HTC Vive、各種3Dディスプレイ、CAVE、その他さまざまな入力デバイス、WorldVizが既にサポートしているモバイルデバイスがサポートされます。その他のデバイスも順次追加していく予定です。

提供方法について

SkofieldはSaaSソリューションとして提供されますが、高い機密性を保持したい場合は各企業で運用しているサーバーにセットアップすることもできます。Skofieldの価格は後日発表とのことです。

11月15日からβテストプログラムを開始し、どの企業でも登録すればSkofieldの早期アクセスユーザーとして試用できます。WorldVizは早期アクセスユーザーからフィードバックを受けて開発をつづけていきます。βテストに興味がある企業はここからサインアップできます。

エンタープライズ向けのVRソリューションは、コンテンツを表示するだけでなく、いかに各企業のワークフローに入り込めるかが、導入の鍵となります。WorldVizの想定しているような製造業向けでは、PLM(Product Lifecycle Management)のデザイン、開発、販売フェーズでVRの活用が進んでいますが、このように具体的にコミュニケーションを行う部分まで統合されたVRソリューションはおそらく初めてだと思われ、今後のリリースに注目です。

(参考)

WorldViz Announces New VR Communication Platform for Businesses, Codenamed “Skofield” – (英語)

http://www.worldviz.com/virtual-reality-communication-platform-for-business/


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード