VRは360度空間が広がり、世界の中に入った気分になりますが、初心者の人は見回してくださいと言われても、最初から最後まで正面しか見ていないこともよくあります。
2017年9月21日から9月24日まで千葉・幕張メッセで開催されていた東京ゲームショウ2017では企業、インディー開発者による展示がありましたが、学校による展示もあり、学生が開発したゲームを体験することができました。
企業やインディーとも違う、学生の視点で制作された面白いゲームと出会うことができます。
背後を向いて尻で撃つ
『シリシューティング』は大阪コミュニケーションアート専門学校、ゲーム・CGクリエーター科、プログラマー専攻3年生が株式会社アルファコードと講師の指導で制作したVRシューティングゲームです。
体験者は腰にコントローラーが付いたベルトを装着します。ベルトをつけると丁度HTC Viveのコントローラーがしっぽのようになります。
今まで体験したことないコントローラーの使用方法にどうプレイするのか不安がよぎります。
ポールダンスのステージのように立っているポールを掴んで準備完了です。
ゲームが始まると、背後から桃の形のモンスターが現れます。プレイヤーは尻についているコントローラーを敵に向け、手に持ったコントローラーのトリガーを引くと、弾が発射され敵を倒すことができます。
腰を捻り、後ろを見ながら、上手く敵に向けて自分の尻の角度を調節して撃ちます。頭を捻り後ろを見ながら、尻の銃の角度を計算して腰をかがめて、腰を捻るという体が完全によじれる体験。始めこそ全く当たりませんが、回数を重ねると段々当たるようになり、達成感があります。
体験している風景はなんとも間抜けな姿ですが、背後を振り返りながら、尻に付いた銃の角度を調整するという初めての経験は、敵を撃破できると爽快感と達成感が得られます。
また周囲の人から見て、プレイしている自分の姿がどれほど間抜けになっていることかと想像すると笑いが止まらなくなります。
アイデアが楽しい
コントローラーのトリガーを引くと弾がでるVRシューティングゲームはよくあり、初めてゲーム制作をするような学生のゲームと、企業が作るゲームを比較した場合、グラフィックの面でも、ゲームとしての作りこみの面でも太刀打ちすることは困難です。
本作もゲームとしては短く、敵は1種類のみ、敵の動きも単調です。しかし尻から撃つというアイデアが数あるVRゲームの中でも目をひきます。
制作した学生にきいたところ、体験者が尻を振りながら体験しているところを見たいという願望があり、制作したとのこと。なかなかきわどいコンセプトですが、学生の気持ちを否定せず指導をした講師、学校、株式会社アルファコードもまた素晴らしい教育方針です。
前を見ることで精一杯な初心者でも、体は正面、顔は後ろを向いてプレイするという体験を自然にできるゲームでした。