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活用事例 2018.04.16

注目のトレンドはこれだ! シリコンバレーVR/ARニュース3月号

こんにちは、GFR Fund古森です。今月もよろしくお願いします。3月はGDCなどが開催され、大きなニュースがいくつもありましたが、GDC関連のニュースは日本でも広く知られていると思いますので、私の方は投資家視点からのトレンドにフォーカスしたいと思います。

3月ということで2018年の第1四半期が締まった月になりまして、早速Digi-Capitalより2018年の第1四半期のレポートが出ましたので、その記事を中心にトレンドを紹介していこうと思います。

目次

1.2018年第1四半期総括
2.AR関連の開発SDK/プラットフォームが次々公開
3.引き続き活況なAR技術関連への投資

2018年第1四半期総括

AR/VR startups raise record $3.6 billion in last 12 months as market transition accelerates

Digi-Capitalの2018年第1四半期に関するレポートによれば、過去12ヶ月で総額36億ドル(約3800億円)の投資が行われたとのことです。第1四半期自体の数字がありませんが、グラフを見る限りでは堅調な数字なようにも思えます。

しかし、MagicLeapが3月に4.61億ドル(約488億円)の調達を発表したことを鑑みると、それを除いた数字は堅調かやや減少傾向にあるかもしれません。投資の内容自体は記事ではMobile ARおよび VR/ARの技術関連の投資が進んでいると指摘しています。私の現場を回っている肌感でもARの技術関連への投資は活況ですが、そのほかの領域(特にVR関連)は少々落ち込んでいる印象は否めないです。

ARKit-only apps top 13 million installs, nearly half from games

Digi-Capitalの記事を裏付けるかのように、3月末には”ARKit-Only”のアプリケーションが1300万ダウンロードを超えたという記事がリリースされました。”ARkit-Only”の定義は少々曖昧ですが、2017年9月以降にARkitの機能を中心としてリリースされたアプリケーションだけをカウントしたものです。

既存のアプリケーションにARKitの機能を付属したものを加えると、そのアプリケーション数は2000以上にも及び、潜在的にMobileARの機能を体感しているユーザーは1300万より大きい数字になりそうです。また、記事の中ではARKit-Onlyのアプリのダウンロードのうち47%がゲームが占めていると指摘しております。ARにおいてもゲームが大きく産業をリードしていくことが伺えます。

AR関連の開発SDK/プラットフォームが次々公開

12月号では、ARの技術関連への投資が活況で、2018年後半にかけてアプリケーションの投資が増えると指摘しました。その根拠となる考え方は、2017年末にかけてAR技術関連の投資が活況でしたので、2018年第2四半期にはそれらのSDK等が公開され、アプリケーションの開発環境が整うという予想でした。

その後、予想通り各社GDCの前後に合わせてAR関連のSDKの発表を次々と行いました。これらのSDKの提供によりAR空間における永続性とマルチプレイヤーの体験(以下、”より良いAR体験”と呼ぶことにします)を開発することが可能になったので、第2四半期以降ARアプリケーションのシード投資も伸びてくると推測します。実際にこれらの体験がアプリケーションとなってリリースされるのは早くても年末、来年の頭にはより良いAR体験のアプリケーションが次々と出てくることでしょう。

Mapbox Launches Global Reality-Grade AR Location Platform

2月末の記事になりますが、ロケーション×ARに力を入れているMapboxが位置ベースの AR Platformを発表しました。従来のMapboxが提供しているナビゲーションやマップの情報に加え、ARによるナビゲーションやマルチプレイヤー体験を開発することが可能になるとされています。

https://www.youtube.com/watch?v=7Bbd5dbuPBc

Google’s Linkage Of The Unity Engine With Google Maps Is A Game Changer

Mapboxに続いて、GoogleがUnity上で使用可能なGoogle Maps APIsを公開しました。これによりデベロッパーが「ポケモンGO」と同様のゲームを作ることがより簡単になり、今後そういったアプリが増えてくることが期待できます。しかし、より良いAR体験を実現するにはGPS以上のロケーションマッピングが必要です。

Blue Vision Labs, which builds ‘collaborative’ AR, emerges from stealth with $14.5M led by GV

Google Map APIの発表の数日後、ARクラウド関連技術を手がけるBlue Vision LabsがGoogleをリード投資家とする1450万ドル(約15.3億円)の資金調達を発表しました。上述の記事の内容との連携は定かではありませんが、GoogleもARクラウド関連技術に注目していることは間違いありません。Blue Vision Labsは資金調達の発表とともにSDKの公開も発表し、デベロッパーもより良いAR体験を開発することが可能になりました。ただし、記事の中ではサンフランシスコ、ロンドン、ニューヨークの中心地だけに対応するとしています。

Why GPS won’t be enough for the AR era

GFR Fundが投資しているアウトドア向けARクラウド関連技術を開発しているSturfeeも、SDKのクローズドβ募集を開始しました。Sturfeeは独自のテクノロジーにより現実世界のコピーの収集が効率よく行えるため都市展開が早いのが特徴です。4月上旬の時点でUSの11都市に対応しています。

AR Cloud Company 6D.Ai Seeks Developers for Closed Beta of SDK

続いて、現在シリコンバレーで最も注目を浴びているARクラウド関連スタートアップである6D.aiもクローズドβを発表しました。6D.aiはデモの動画を見る限りインドアに強いと予想されます。Escher RealityがNianticに買収されたいま、一般のデベロッパーが使用可能なARクラウドの技術の大本命は6D.aiと言えるでしょう。

引き続き活況なAR技術関連分野への投資


シリコンバレーで4月現在、最も活況な投資分野はAR関連技術分野です。特にARクラウドに代表されるような永続性・マルチプレイヤーを支える技術に注目が集まっています。それも多くが資金調達額・時価総額ともに高めなのが特徴です。

6D.ai Raises Seed Funding

まずは先述した6D.aiが4月上旬に資金調達を発表しました。資金調達額は非公開ですが、老舗VCであるGeneral Catalystがリードしている他、シリコンバレーのAR投資に活発なVCが揃って投資しており注目の高さが伺えます。

Blue Vision Labs, which builds ‘collaborative’ AR, emerges from stealth with $14.5M led by GV

こちらも先述したBlue Vision Labsです。Googleをリード投資家とする1450万ドル(約15.3億円)の資金調達を3月中旬に発表しました。他のAR技術関連スタートアップの調達額が1億 – 3億円程なのに対し、調達額だけで言えば一歩抜きん出ている印象です。記事でStealth(ステルス)と書いてある通り、発表されるまで全く噂にでなかったスタートアップです。Blue Vision LabsにもAccelなど老舗VCが多く参加しています。

Ubiquity6 nabs $10.5 million from top investors to build a deeper augmented reality

最後にAR関連技術を手がけるUbiquity6が3月末に1050万ドル(約11.1億円)の資金調達を発表しました。こちらはARクラウド関連技術かどうかは不明ですが、永続性やマルチプレイヤーの体験を提供することが可能とされています。Ubiquity6にもIndex Venturesなど老舗VCが多く参加しています。

上記の通り、老舗VCも一通りARクラウド関連技術へのシード投資が完了しました。2018年4月までに調達を完了したARクラウド関連スタートアップ(5−7社程)以降は資金調達が難航することが予想されます。シリコンバレーではすでに淘汰が始まっていると言えるでしょう。今後はAR関連技術ではなく、これらの技術を使ったより良いAR体験を提供するアプリケーションへの投資が活況になることが予想されます。私自身もAR関連の技術からARのアプリケーションにより注目していこうと考えています。


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