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業界動向 2018.03.30

注目のトレンドはこれだ! シリコンバレーVR/ARニュース2月号

こんにちは、GFR Fund古森です。今月もよろしくお願いします。2月は大きなイベントも少なく比較的静かな1ヶ月でしたが、いくつか注目のニュースがあったので、それを中心にトレンドを解説していこうと思います。

目次

盛り上がるARピッチイベント
マーケット・プラットフォーム関連
資金調達

盛り上がるARピッチイベント

GFR Fund Launches Its First Global AR Online Pitch Event

GFR Fund, Super Ventures, The VR Fundが中心となって運営するGlobal AR Online Pitchイベントが発表されました。多数の投資家が参加し、投資家に対してスタートアップがプレゼンをするイベントになります。

Global AR Online Pitchだけでなく、4月から6月にかけてBetaworks主催のvisioncamp, Super Ventures主催のAWE内においても同様のイベントが開催されます。他にも2、3ほどARにフォーカスしたピッチイベントが計画されています。

昨年のARKitおよびARCoreの発表以降、確実にAR関連のスタートアップが増えており、プロトタイプが完成した2018年Q2のタイミングでSeedステージの投資がますます加速することが予想されます。

なお、Global AR Online Pitchは日本からも応募が可能です。皆様のご応募をお待ちしております。

マーケット・プラットフォーム関連

ARCore1.0が正式リリース

Google ARCore SDK released with support for over 100 million devices

前項でも挙げたARCoreですが、ついARCoreが2月末にリリースされました。記事によると多数の機種が対応となりアップデートすれば瞬時に1億台のデバイスでARCoreの機能が使えるようになるとのことです。投資、スタートアップ、プラットフォームの状況が整いつつあるので今年後半にかけてさらなるモバイルARの盛り上がりが期待できます。

ARの市場規模が拡大予想、VRも成長

Augmented and mixed reality revenue to overtake VR by 2021
Most teens can’t afford a virtual reality headset, so they’re going to VR arcades instead

SuperDataの最新のデータに基づいた記事が発表されました。Digi-Capitalは昨年の後半からARのマーケットについてポジティブな発信をし続けてましたが、SuperDataもARのマーケットおよび投資に関して非常にポジティブな発信をしています。

記事によりますと、SuperDataは2018年のAR/MRマーケットのサイズは32億ドル(約3400億円)になると予想しています。一方でVRのマーケットは45億ドル(約4800億円)になる見込みで、ARの方がスタートが遅かったことを鑑みると、ARマーケットはかなりの早さで立ち上がることが示唆されています。

また、2021年までにはAR/MRは203億ドル(約2兆1500億円)、VRは190億ドル(約2兆100億円)までに成長すると予想しています。投資も堅調で、2017年のARに対する投資は2016年に比べて40%も増加したと指摘しています。SuperDataもDigi-Capitalと同様にMobile ARが2021年までARのマーケットを牽引すると記事の中でコメントしています。

なお、ロケーションベースのVRについた書かれた記事で、SuperDataによるVRのゲームマーケットにおける数字が発表されています。2017年は2.8億ドル(約300億円)のマーケットサイズで、2020年までに23億ドル(約2400億円)まで成長すると予測しています。1月号でお伝えした通りVRのゲームマーケットは急速に成長しています。コンテンツ・ゲームを中心としたVR投資の第2波がくるのではないかと予想しています。

資金調達

Magic leapが約487億円を新たに調達

AR startup Magic Leap raises $461 million from Saudi Arabia fund

今月も大きめな資金調達があったので紹介しようと思います。まずはMagic Leapが3月頭に4.6億ドル(約487億円)の調達を発表しました。昨年の10月に5億ドル(約530億円)を調達したばかりで、トータルで23億ドル(2400億円)もの資金調達をしています。

これだけの巨額の調達にもかかわらずまだプロダクトが発売されておらず、どのようなデバイスなのか期待が高まります。シリコンバレーの主要なVR/ARプレイヤーでも未だに実態が不明な、謎に包まれた企業です。

ARインストラクションのUpskillが約18億円を調達

Enterprise Augmented Reality Leader Upskill Closes $17.2M with Strategic Investments from Four Industry Leaders

先月号でも紹介したUpskillですが、3月頭に1700万ドル(約18億円)の資金調達を発表しました。ARを使ったインストラクションはARにおける大きなユースケースの1つですが、この調達によりUpskillがこの領域で先行した形になります。また、この領域のマーケットの大きさを印象付けるニュースとも言えます。実際に飛行機の製造を手がけるボーイング社などがUpskilのソフトウェアを使って製造工程の効率化に成功しています。

VR投資の変動 シードからシリーズAへ

Virtualitics grabs another $7M in funding to drive its VR data visualization platform
LiveLike raises $9.6M to get more broadcasters streaming in VR
Virzoom Closes $5.5M Seed Funding Round

VRの投資がシードからシリーズA以降のステージに移ってきていると先月号まで指摘をしてきましたが、この傾向が2018年に入っても続いているようです。

VRを使った分析ツールを開発しているVirtualiticsは700万ドル(約7億4000万円)、VRを使ってスポーツの観戦を友達と楽しむプラットフォームを作っているLiveLikeは960万ドル(約10億円)、VRを使ったフィットネスのサービスを展開しているVirzoomは550万ドル(約5億8000万円)の資金調達をそれぞれ発表しました。

上記でも述べましたが、VRマーケットは確実に成長しており、各スタートアップが2020年以降に向けてさらに資金調達を進めて着々と準備を進めています。

一方であまりニュースにはなりませんが、倒産や人材獲得を目的とした買収(一般的には高い金額ではない)も増えてきており、2018年も引き続きVRスタートアップの淘汰が進んでいる印象です。


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