9月8日、PlayStation®4(PS4)の上位機種となるPlayStation®4 Pro(PS4 Pro)がソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)より発表されました。10月13日のPlayStation®VR(PS VR)の発売が迫る中、東京ゲームショウにて、SIEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏へインタビューを行い、PS4 ProやPS VRについて話を聞きました。
PS4 Proで「びっくりするほどグラフィックスが綺麗になる」タイトルがある
ーー先日、PS4 Proが発表されました。その中で、VR向けにも適しているとの紹介がありましたが、現行のPS4と比べて具体的にどう変わるのでしょうか?
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PS4 Pro(左)、薄型軽量の新型PS4(右)、写真では分かりにくい大きさは二回り異なる
- 吉田:
- PS4 Proの特徴のひとつは、PS4と比べてGPU性能(グラフィックスの処理性能)が2倍という点です。具体的にどう変わるのかは、ゲームタイトルによります。もちろんフレームレートの安定に使うこともできますが、中にはびっくりするほどグラフィックスが綺麗になるものがあります。
ーー現行のPS 4とPS4 Proでゲームの描画処理に違いを出すために、ゲームの再生時に場合分けを行っているのでしょうか
- 吉田:
- はい。ゲーム起動時、ハードがPS4 Proか現行のPS4かによって、異なる立ち上がり方をします。PS4 Pro向けに別のゲームを作るわけではないので、同じディスクで遊ぶことができます。
ーーハードによって異なる立ち上がりをして、PS4 Proであれば画質が上がると。
- 吉田:
- 違いがあるのは画質だけではありません。どう変わるのかというのはタイトルによりけりです。すべてのタイトルをPS4 Pro向けに良くしなければいけないというルールもありませんので、全く違いのないタイトルもあると思います。そもそもPS VRはPS4を念頭に開発してきたので、PS4でも素晴らしいVR体験が楽しめますしね。ただ、SIEが出す『THE PLAYROOM VR』や『Farpoint』などのタイトルは何かしらの改善を行っていますので、もし比較していただければ、かなり違いがあると感じていただけると思います。
THE PLAYROOM VR
https://www.youtube.com/watch?v=kAUZ1H2_fn8
――そんなに変わるんですね。
- 吉田:
- たとえば、『Farpoint』では、解像度のドット数を2倍にしたものをレンダリングすると同じPSVRでも、現行のPlayStation 4よりもものすごくくっきりして、細かいところまで見えるゲームになりました。
Farpoint
https://www.youtube.com/watch?v=c18R6Sb97nM
- 吉田:
- PS4 Proへの対応は、もともとの現行機向けのバージョンの作り方にもよります。『Farpoint』などは、もともとPSVR向けにも高い解像度でレンダリングして、綺麗に描画しています。すでにそうして作っているタイトルは、さらにそれ以上にアンチエイリアスなどを向上させてもあまり影響がありません。逆に、PS4 Proで動かした時に、余った処理能力を活かすために、グラフィックスの追加やエフェクトを新たに加えたり、ダイナミックシャドウを導入して一体感を出したりすることができるようになります。このあたりは、タイトルによって効果が異なってきますので、どこが良くなるのかというのは、タイトルによって変わります。
――チューニングは開発者次第ということですね。
- 吉田:
- フレームレートも60Hzのものを120Hzにリプロジェクション(※)していたものが、ネイティブ90Hzでやれるようになる、といったタイトルも出てくるのではないでしょうか。
※PS VRでは、描画の頻度として120Hzと90Hzの2種類が用意されています。さらにPS VRでは処理側では毎秒60回の描画(60Hz)を行っていてもディスプレイ側で予測変換を行うことで表示は120Hzに引き上げる「リプロジェクション」機能が搭載されています。ネイティブとは、リプロジェクションを使わず処理側でも毎秒90回の描画処理を行い、90Hzを実現することです。
- 吉田:
- 現行のPS4でPSVRを遊んでも、素晴らしいVR体験ができます。しかし、いざ比較をしてみると、こんなに違うんだと驚かれるのではないでしょうか。PS4を持っているけれど4Kのテレビを持っていない、という方でもPSVRのためだけにPS4 Proを買う価値はあると思っています。
増え続けるPSVR向けコンテンツ
ーー最近、PS VRに次々と新タイトルが出てきています。『コール オブ デューティ』のPSVR向けスピンオフコンテンツも海外で発表されましたがゲームショウでさっそく展示されていますね。
- 吉田:
- 本当に、新しいものがどんどん出てきています。今回の東京ゲームショウ2016には出展していないのですが、『Star Wars Battlefront Rogue One』が、非常に良いんですよ!びっくりしました!機会がある方は是非やってほしいです。それから『アイドルマスターシンデレラガールズ ビューイングレボリューション』ですね。
アイドルマスターシンデレラガールズ ビューイングレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=1lTu7gVJvok
- 吉田:
- ライブの臨場感が上手に表現されていて、体験している私が動きたくなる感じがしました。周りにいる人の「うぉーうぉー!」という声がライブぽくて本当によくできていると思います。好きな人はたまらないでしょうね。
このタイトルは、周りにいる女性社員が本当に好きだったようで盛り上がっています。 そういうコンテンツが、色々なところで盛り上がってきているのが面白いと感じています。
――女性向けにも舞台版『刀剣乱舞』の体験が配信されることが発表されたりしましたね。
- 吉田:
- はい、ゲームではない体験も増えてきました。オーロラような映像が見れる『NORTHERN LIGHTS -極北の夜空に輝く光の物語-」』であったり。今年になってからいろいろな企業さんが、VRやパノラマビューを使ったプロモーションに取り組んでいます。正直、追いかけきれないくらいです(笑)。
ーー我々も追いかけるのに必死です(笑)PSVR向けのゲーム開発に関してはSIEさんまでお問い合わせをということでしたが、ゲーム以外の360度映像などもクリエイターからの相談を受け付けられているのでしょか。
- 吉田:
- はい。今はゲーム以外のコンテンツの担当もいるので、まずはSIEの窓口までご相談ください。
――追っていくのが大変になってくるくらい、PSVR向けにはたくさんのコンテンツが出てきています。今後も増えていくのが楽しみです。
- 吉田:
- そうですね。まだ未発表のタイトル等、いろいろ取り組んでいます。
ーー開発に取り組む企業が増えて、コンテンツが充実することに期待したいです。最後に、VRに注目している皆さんにPSVR発売に向けて一言お願いします
- 吉田:
- PS VRを2014年の3月に発表して以来、2年半があっという間に過ぎました。我々としては当初思っていた以上のクオリティの高いシステムができたと思っています。そして、当初期待していた以上のクオリティと多様なタイトルが世界中で作られて、PS VRで遊べるようになりつつあります。非常に嬉しいことです。
PSVRのスタート段階でこの盛り上がりなら、来年や再来年くらいにはPSVR向けタイトルを一度作った人が次回作を作るようになるでしょう。それも本当に楽しみです。
20年前に初代PlayStationを発売し、家庭で3Dグラフィックスのゲームが遊べるようになった以来の、あるいはそれ以上の衝撃だと思いますので、その歴史的瞬間を我々と一緒に楽しんでいただきたい、と思っています。
聞き手:すんくぼ