『シン・ゴジラ』樋口監督らが語った映画とVRのこれから

8月3日”『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation®VR 先行特別体験会&記念トークショー”が開催され 、抽選で選ばれたファンが一足先にPSVRでシン・ゴジラのデモコンテンツを楽しみました。

シン・ゴジラ

トークショーでは『シン・ゴジラ』監督・特技監督の樋口真嗣氏、『シン・ゴジラ』プロデューサーの佐藤善宏氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメント 秋山賢成氏が登壇しました。トークショーの前半は映画について、そして後半は今回披露されたPlayStation VR(PS VR)向けのデモについてト-クが繰り広げられました。PS VRに関連する部分の様子をお届けします。

シン・ゴジラ
左から樋口監督、佐藤プロデューサー、SIE秋山氏

映画でできないことができるVR、VRでできないことができる映画、という面白さ

――今回のスペシャルデモコンテンツは、どういった経緯で制作が決まったのでしょうか。

秋山氏:
PS VRを東宝さんに体験していただいた際に、「VRでゴジラの体験をもっと拡張してゴジラの表現をできるのではないか」という話をいただきました。我々もPS VRにゴジラという世界的に有名なコンテンツがくるということで喜んでお話を受けて始まりました。

――(樋口監督と佐藤プロデューサーに向けて)映画がVRでも描かれることをどう捉えていますか。

佐藤氏:
結構脅威と僕は感じています。映画というメディアは「こう言うふうに見せたい」というものです。VRではそれを体験できる。見ている人が見たいものを見れるわけです。映画としてもお互い相乗効果もあるんですけど、映画を脅かす可能性もあるんだろうと思っています。今回このような形でコラボレーションできたことは、ある意味挑戦的でいいのかなと考えています。
樋口氏:
映画を作る上で、「フレームを切り取る」、「どういったアングルでものをみせるか」という2つの重要な構成要素があります。”カットを割る”と我々は言うのですが、一つの画だけではなく複数の画を続けてみせることで印象づけていくというやり方で映画は成り立っています。VRではこの2つが奪われるわけです。そういった意味でいうと、VRは映画のように見えて映画では絶対にできないことができるし、逆に言うとVRで映画のようなことも絶対にできないというところも面白さだと思うんですよね。全く違う体験のジャンルだと思います。VRを作るために使われているUnreal Engine4というゲームエンジンもすごいですね。映画でも欲しいと思いました。リアルタイムで描画できて凄く綺麗で速い。我々がよくやっていたバーチャルカメラといって映画をどういうふうにどういうカットにするかというときに、ラフなCGで環境を作ってアングルを決めてそれを記録しておいて設計図を作っておくんです。その作業を今までだったらモニター見ながら動かしたりだったりだとかやっていたのに、VRだったら(VRHMDを)覗きながらできますからね。

――VRサイドのお話が多くなっていますね(笑)

樋口氏:
こういう技術を映画作りに持っていきたいなと思いました。バーチャルカメラもそうですけど我々なりにこれまで工夫してきたことが、このベースでやれたらすごくいいなと思うんですよね。便乗したいですね(笑)

――今回は映画とPlayStation VRのコラボです。PlayStation VRはゲーム以外にも大きく広がって行きそうな可能性も感じますね。

秋山氏:
今回の『シン・ゴジラ』もそうですが、映画コンテンツとか色々なところに広がっていくと思います。VRは自分が入ってしまうかのような体験ができる新しい表現方法です。

――VRでは平面の映像表現ではなくなります。VRならではの表現の苦労というのはどういうところがあるんですか?

秋山氏:
一番こだわったところは今回の劇中のゴジラがゴジラ史上最大の大きさというところで、これをVRで拡張しよう、表現しよう、と目指しました。徹底的に突き詰めるためにゴジラと自分との距離感を考えています。そして音ですね。そこにいる臨場感。やっていただくとわかるんですけど足音だとか色々な音に拘っています。映像表現としてもゴジラの迫力を出すためにどうしたらいいか突き詰めてまして、実は前日まで調整してました。

――ぎりぎりまで?

秋山氏:
一回できあがったものはあったんですが、みなさんにお届けするために昨日のところまでずっと調整していました。ぜひこれを体験してみていただければと思っています。

――今回のスペシャルデモコンテンツで注目してほしいところ、そして体験されての感想をお聞かせいただきたいと思います。

秋山氏:
今回の映画で使っているCGをそのままお預かりして、それをVRに使っています。ですのでディティールには非常に自信もありますし、みなさんもご納得いただけるのではないかと思っています。ゴジラの表現で守らなければいけない何ヶ条みたいなお話もあったんですが、それもしっかりと入っております。尻尾の動きからゴジラの動きからすべて東宝さんの監修の元でやらせていただいておりますので、是非ご体験いただければと思います。
佐藤氏:
デモなので、もうちょっと欲しいかなってくらいの映像体験だと思うんですけど、それでもゴジラを作ってきた人間としては、大きさであったり足音であったり、近づいてくる感じ、すごくよく表現されています。これで映画(本編を)を作ったらどうなるんだろう、と更に見たくなるようなコンテンツになっていると思います。あ、そうか監督はまだ体験されてない… 監督の反応が楽しみです。

ここで樋口監督が観客の前でPS VRを体験、”ネタバレをしないように”実況をしながらの体験となりました

シン・ゴジラ

――全国のゴジラファンにメッセージをお願いします。

佐藤氏:
今回からVRで体験できるゴジラという本当に新しいスタートだと思います。我々としても『シン・ゴジラ』という十年振りのゴジラを今までの流れとは違う視点で作り上げたものであるので、新しい時代が生み出さればいいのかなと思っています。是非劇場でご覧になっていただいて、VRも是非どんどん体験していただければ、ほんと新しい時代がきたなというふうに感じてもらえるんじゃないかなと思っています。是非よろしくお願いします。

――そしてVRが気になって仕方がない樋口監督。最後に一言お願いします。

樋口氏:
いやあ欲しい(笑)去年この企画のお話いただいたときに最初体験させていただいたんですけど、そのときよりヘッドセットが良くなっていますね。
秋山氏:
はい、進化しています。
樋口氏:
凄い進化ですよね。数ヶ月の間にこんな変わるんだっていうくらい、今までにこういう製品を装着すると邪魔臭さがあるんですけど、それがかなりなくなっている。しかも調整も最小限にできるようになったし。しかも私のようなメガネ族には、今までメガネオンメガネというような、凄い邪魔になったりとか中でずれたりあったんですよ。そのあたりも考えられています。

会場で体験できたシン・ゴジラPS VR体験版

その後会場では、トークで話題に上がったシン・ゴジラ VRデモを体験することができました。劇中に使用したCGモデルを使い、Unreal Engine 4で製作されたコンテンツです。

2分程度の短い体験でしたが映画の雰囲気を”体感”できるものでした。

同コンテンツは10月13日のPS VRローンチ時から期間限定で配信されるとしています。

会場の様子を360度で撮影したもの

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この記事を書いた人

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    アニメや特撮、VR・ARが好きなだけな人です。Oculus等HMD、VR・ARの魅力を沢山の人に広めていければと思っています。

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    慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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