【VRCカンファレンス2015】「視聴覚交換マシン」で相手の視界で自分を見ながら自分を動かす不思議な体験

11月7日に開催されたVRCカンファレンス2015で展示されていたデモを体験をしてきました。
今回紹介するのはその中の一つ八谷 和彦氏の『視聴覚交換マシン』です。

初期型はなんと1993年に作られていたという視聴覚交換マシン。オリジナルiOSアプリとハコスコDXを使った「デジタル版」になりります。

この相手の視界を見られる点はソニーコンピュータサイエンス研究所が出展していたJackIn Headと同様です。違う点はJackIn Headは相手の視界を見てても360°自分の好きな方向が見られるのに対し、視聴覚交換マシンはペアを組んだお互いが相手の見ている方向しか見えないことです。

他の方向を見ようと頭をぐるりと回しても筆者が見ている風景は相手が見ています。筆者がどこを向こうが今相手が見ている方向の風景しか見ることができないものです。
例えるなら自分と他人の視点の切り替えができない「ナルト」の輪廻眼

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頭に装着するのはスマホをはめるヘッドマウントディスプレイ(ハコスコDX)、背中に背負うのは雰囲気を盛り上げるための天使の羽がついた装置。      

すべて装着したらスイカ割りのように体を回転されてスタートです。目の前にいる相手と握手ができればいいのですが…。

相手の視界しか見えないため、相手が見えなければ自分自身も見えません。自分自身どこを向いているかすら、自分の視覚は相手が持っているため、わかりません。とりあえず回転すればどこかに相手が映り、その映像を相手が見て、何かしら指示を出してくれるはず。わかっていても自分の体が見えないだけでどう動いていいかわからなくなります。

どうにかお互いが自分自身を見つけると、映像の中の自分を真正面に向けて自分自身に近づくように歩き、進めていきます。

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「そっち、あと30度くらい回転して!」慣れてくると、相手に指示を出して、自分の視界をコントロールするようになります。まるで実写のゲームの中で、自分というキャラクターを動かすためにコントローラーにして動かしている気分です。自分の体を右に向けたいなら左を向いてみるような。自分の体なのに思うように動かせず、とにかく一歩動くのすら思い通りにいかず、もどかしいです。

なんとか映像の中の自分をすぐ近くに進ませると、筆者と相手(すんくぼ氏)の身長差はかなりあるため自分の頭を見下ろしてました。そのまま手を伸ばしてみると握られた感触が。ようやく握手できてホッとしました。

image201511071235406無事に握手できるとみんなで拍手

衝撃的だったのは握手した瞬間、自分のいる世界が外の別の世界に繋がった感覚に襲われたことです。

それまで自分が見ていた映像の中で動く自分は肉体だけ、相手の位置から見ている自分は相手の中に入った精神のような感覚だったと理解しました。同時間に自分の存在が二つに分裂していたと感じていたのです。自分が見えないことが不安だったのも肉体が迷子になった感覚なのでした。

握手をすることで分かれていた自分の肉体と精神が一つになり、自分の精神がいた場所には相手がいると実感できたことが、世界が繋がった衝撃に感じたようです。

待っている間、先に体験しているペアを見ていると、「近くまできているのに違う方向に進む」「手を伸ばせば届く距離でも気づいてない」「握手しそうになるとスタッフの人が体験者の体を回して妨害」など、大混乱が生じていました。体験している人たちを見ているだけでも非常に楽しめます。

image201511071234212自分の肉体を探すすんくぼ氏を妨害し、握手をしてぬか喜びさせるオーディエンス「違う!この人じゃない!」

カップル同士で体験すると盛り上がること必至です。天使の羽をつけた男同士がわーわーと声を上げながらお互いを探し求め、握手して喜んでいる様子が楽しめるのもこのデモならではでしょう。

体験してる人もまわりで見てる人も誰もが笑える楽しい展示です。

また自分が動かなくても相手が回り、歩けば映像が動くのでヘッドマウントディスプレイで見た場合、酔いそうなものですが今回全く酔わなかった点は不思議でした。

次に体験できる機会があれば、視覚と聴覚を交換することで相手の体を自分の体と錯覚できるか試してみたいところです。

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