サムスンは10月に開催された年次の開発者会議で、同社が開発する次世代のVRヘッドセットは、動き回ることができる一体型VRヘッドセットになることを明らかにしました。
この一体型VRヘッドセットは、サムスンがこれまで発売してきたスマートフォンやPCを使うVRヘッドセットとは異なり、単体で動作する一体型です。また、外部センサーが不要で動き回ることができるほか、手に持って自由に動かすことのできるコントローラーが付属するとのこと。
スマートフォン装着型とPC接続型のその次は一体型
これまでサムスンは2種類のVRヘッドセットを開発・販売してきました。1つは2015年末に発売された、モバイルVRヘッドセット「Gear VR」です。Oculus社との提携により、スマートフォンGalaxy専用で高品質なVR体験が可能です。
また、2017年11月には、PC向けの「Odessey」(日本未発売)を発売しました。こちらは、マイクロソフトのWindows MRに対応した没入型のVRヘッドセットです。センサー不要でOculus RiftやHTC ViveのようにハイエンドなVR体験が可能になります。
開発者会議の場で、サムスン電子の副社長であり、R&D;部門長を務めるTaeyong Kim氏は、「Gear VRとOdesseyの良いところをどう次世代のVRデバイスに取り入れるのかが問題になる」と述べ、次世代のVRヘッドセットは「インサイドアウト方式のポジショントラッキングを搭載し、6DoF(※)のコントローラーが使える一体型VRヘッドセットになる」と語りました。これによって「完全にモバイルなVRヘッドセットが実現する」としています。
駆動形式 |
位置トラッキング |
手のトラッキング |
|
Gear VR |
スマホ装着 |
なし |
3DoF |
Odessey |
PC接続 |
あり |
6DoF |
次世代VRヘッドセット |
一体型 |
あり |
6DoF |
※3DoFと6DoF:その場での回転のみ可能、VRでの手の動きは擬似的なものになるため、再現度は低い。6DoFは3DoFに対して前後上下左右の移動を含む現実の動作の完全な再現が可能なことを意味する
動き回ることのできる一体型のVRヘッドセットはより使いやすくなるということで、VRの普及に貢献する次世代デバイスとして注目を集めています。OculusはすでにSanta Cruzという一体型VRヘッドセットのプロトタイプを発表しています。また、HTCがコントローラーが3DoFですが、中国市場向けにVive Focusを発表しているほか、グーグルがLenovoと一体型VRヘッドセットを開発中です。
サムスンは2017年7月のMobile World Congressにて一体型VRヘッドセット『ExynosVR III』のリファレンスモデルを展示しました。4K画質で位置トラッキングや手のトラッキングが可能なものでした。
各社の一体型VRヘッドセットは、2017年末から2018年にかけて製品・開発者版が登場予定です。今後どのような形で製品化されるのか注目したいところです。
Taeyong Kim氏の講演はこちらから完全版を見ることが可能です。