Home » Robloxが全米音楽出版社協会と提携。約200億円の著作権侵害訴訟から一転、協力関係に


メタバース最新動向 2021.10.14

Robloxが全米音楽出版社協会と提携。約200億円の著作権侵害訴訟から一転、協力関係に

オンラインゲームプラットフォームRoblox」は、米国の業界団体である全米音楽出版社協会(National Music Publishers’Association、NMPA)と協定を結びました。本協定はパブリッシャー提携の基礎となるもので、NMPAはRobloxにおける音楽の創作・商用化といった機会の創出を狙います。

”著作権侵害”訴訟から一転、協力関係に

この協定が結ばれるわずか3カ月前まで、NMPAはRobloxに対し「著作権侵害が横行している」という理由で2億ドルの賠償を求める訴訟を起こしていました。しかしNMPAはこの訴えを取り下げ、今回の提携に至りました。NMPAはRobloxとの提携に先立ち、NMPAはライブ配信プラットフォームのTwitchとも同様の協定を結んでいます。

では、なぜNMPAは提携という決断を下したのでしょうか。背景には、“メタバース”を掲げるRobloxに集まった膨大なユーザーがいます。Robloxのデイリーアクティブユーザーは約4,800万人を数えており、さらにユーザーはゲームだけでなく音楽体験も楽しむようになっています。これは、NMPAからすれば圧倒的な数の視聴者にリーチできるまたとない機会です。今日の音楽業界にとっては、Robloxの存在を受け入れ、折り合いを付けていくことが自らの利益にも繋がっていくと判断されたのでしょう。

NMPA代表のDavid Israelite氏は「我々はRobloxと共に歩んでいく道を見つけたことを、非常に喜ばしく思っています。Robloxはそのメタバースにおいて、ミュージシャンや作曲家にとって特別なプラットフォームを提供してくれます」と歓迎。「パブリッシャーや作曲家の収益化を進める意向がある」とRobloxを評価しています。

バーチャルコンサートや他のパブリッシャーと提携も

これまでにもRobloxはリル・ナズ・X、エイバ・マックス、ロイヤル・ブラッドらのバーチャルコンサートを開催。また2021年に入ってからは音楽出版社のBMG、米ソニー・ミュージックエンタテインメントと提携を結んできました。今回の提携を踏まえ、Robloxのヴァイスプレジデントを務めるJon Vlassopulos氏は、「音楽業界全体との提携を進め、音楽ビジネスにとってわくわくする新時代を築いていきます」と述べています。

メタバースを掲げるプラットフォームが広がる中、そこで使用されるコンテンツの権利の問題は(かつてのインターネット黎明期のように)必然的に発生します。対立から一転提携に転じたNMPAの動きは、今後の動向を占う上で興味深いものと言えます。

(参考)Forbes


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード