MR や VR、AR により、人間と機械が労働力として一体化


本記事は「Redshift 日本版」とのライセンス契約を結んだ転載記事であり、米オートデスク インク CTO オフィスのブルース・ペーン氏の執筆した原稿を翻訳したものを、オートデスク株式会社の許諾を得てMogura VRに転載しています。



AI とロボットが人間を置き換えることで起こる失業やディストピア的な服従に対する恐怖は、ますます強いものになってきている。だが、デザイナーやエンジニアがパニックを起こす理由は無いし、それどころか歓迎すべき理由も数多く存在する。VR や AR、MR など現在トレンドのテクノロジーは、実は人間と機械とのつながりを、より強くするポテンシャルを持っているのだ。

VR や AR、MR (VR と AR のインタラクティブな融合) がにわかに注目を集めているが、今はまだその初期段階に過ぎない。現時点では革新的だと感じるデバイスも、すぐにブリーフケースにレンガがカールケーブルで接続されたような、最初の携帯電話のように見えるようになるだろう。

AI やその他のテクノロジーの進化が引き起こす「大転換」は、その方向を産業界へと向けようとしている。コンピューティングやグラフィクス、新たな入力インターフェースのパワーは、人間の効率と生産性、そして身の回りの情報を融合して理解する我々の能力を向上する。

建設計画や物理的なプロトタイプを作成したり、デザインを理解したりする必要が無くなった世界を想像してみよう。AR/VR と機械学習、AI、ロボティクス、最先端の製造技術、ジェネレーティブ デザインのコンビネーションが、人間と機械とデジタル情報や建設環境のコネクションをサポート。デザイナーやエンジニアは、複雑で分かりづらいシグナルを解釈して、情報を作業の空間的な文脈内で整理する能力が得られる。

作業場所や現場を再考する


デザイナーやエンジニア、メイカー、ビルダーにデジタル情報が押し寄せている。仕事はより複雑になり、マージンは小さくなっているが、この 5年から 10年で、そのあり方も変化していく。

現在、建設の大半で紙のデータが使われており、まだ多くの建築家がプランニングに 2D レンダリングを使用している。だが現場での追加情報として、あるいは設計レビューの際に VR を使ってフル 3D で説明できれば、その情報の理解度は上昇する。

VR や AR へ完全に没入できるようになれば、知識や経験を問わず、既に建設され運用されているデザインをシミュレートしたり、仕事の文脈でデザインを強化したりできるようになる。それによって効率と理解が高まり、合意の形成や生産性の向上、ミスの低減につながる。

これまで、建築家はレンダリングを見て「素晴らしい!」と言うばかりだったが、同じ BIM モデルを VR で体験できれば、「あれ、この天井は低すぎる」とか、「これではうまく機能しない」と言い始めるだろう。

AR は建設現場においても大きなポテンシャルを持っている。請負会社やエンジニアは、ヘルメットや眼鏡などの AR デバイス (あるいはスマホやタブレット) を使って実際の現場に BIM モデルをオーバーレイし、歩き回って建設環境における問題を探したり、コメントを追加したりすると、それがデジタルモデルへ自動的にローカライズされる。

AR や VR 上でデータをビジュアライズすると、見えないものが見えるようになる。例えばエンジニアが構造の負荷を有限解析した場合、これまでは巨大なスプレッドシードの形になった。それが現在は、デザイン上にグラデーションマップをオーバーレイして、どこに壊れる可能性があるのかを見ることができ、これがプロセスに新たなフィードバックループを提供する。

プロトタイピングとトレーニングの向上


VR や AR、MR のテクノロジーは、プロジェクトのハードとソフト両方のコストを節約できるため、より低価格による製造を実現する。例えば車のメーカーは、プロトタイプとしてクレイモデルを製作している。だがエンジニアがバーチャルなプロトタイプを作り、その VR モデルをもとに決定を行えたとしたら?物理的なプロトタイプでレビューを行い、その結果を手作業でデザインデータに反映するのとは異なり、決定した内容は計算可能であり、モデルそのものへ反映できる。物理的なプロトタイプ作成のステップを VR で置き換えたワークフローにすることで、メーカーは材料と時間、コストの節約が可能だ (ロッキード・マーティンは次世代の宇宙テクノロジーの開発に VR とホログラムを活用している [英文情報])。

VR により、建築プロジェクトの体系化も可能だ。例えば建築家が病院のガントリをデザインするにあたって、緊急治療室からオペ室までの歩数を決定する場合、その設定を誤ると重大な問題になる。だが VR を活用することでデザインの結果を、実際に何かを作る前に、より確実に理解可能だ。

AR は、工場や建設現場の作業員のトレーニングや再トレーニングにも利用できる。何十年にも及ぶ現場体験と知識の蓄積を持つ社員が定年を迎えつつある中、その貴重なデータを次世代が活用できるようキャプチャーしておくべきだ。そのハンズオンの学習によって、より訓練された労働力を確保できる。

幼年期のテクノロジー


AR や VR、MR の体験は、大抵はデモか、プロセスの最後にビジュアライゼーションを行う際のソリューションとしてのみ提供されている。これでは、スポーツを見物している観客に過ぎない。このテクノロジーを、デザインからシミュレーション、トレーニングまでの全てのプロセスに、どう統合すればいいだろう?重要なのは、データをセントラライズし、その環境へコネクトすることだ。

汎用大型コンピューターが、その座をパソコンに明け渡すと、人々の働き方も全く違うものになった。その後、デスクトップはラップトップに代わり、データはクラウドに移った。コンピューティングの次なる波によってデバイスは消え去り、世界はインターフェース (あるいは人間の身体) とディスプレイになる。それが新たなインプットと新たなモダリティ、新たな方法によるディスプレイと光学、レンダリング、そして高頻度データと低頻度データが未来のシステムを流れる、新たな方法の先触れとなるだろう。

デバイスが消えるに従い、タブレットベースの AR やテザリングによる VR から、より小さなヘッドセットへの移行が起こるだろう。サイズも小さくなる。真の没入可能なホログラムが実現するには、恐らくまだ 5年から 10年は必要だろうが、この 1、2年のうちにエンタープライズ向けの魅力的なブレークスルーが起こりそうだ。

それが実現すると、デザイナーやエンジニアはレンズ内に、彼らが重視することを VR やAR、MR により覗き込み、会話できるようになる。各ステークホルダーはストーリー (つまりデザイン) の関連ある部分に優先度を付けられ、そのストーリーへ、より貢献できるようになる。

VR や AR、MR は、デザイナーやエンジニア、メイカー、ビルダーへ、見えないものが見え、経験の無い仕事に就くことができ、その成果に確信を持てる、新たなスーパーパワーを提供する。

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