ホログラムという言葉は「派手な3D画像」を指すことも多いですが、実際には3D画像を表示する有力な方法の一つです。Realview社は真のホログラム技術は今日のVRやARヘッドセットで発生する問題を解決し、より高品質なAR体験ができるとしています。
既存のVR、ARヘッドセットで生じる輻輳調節矛盾とは
RealView社は既に公開しているホログラフィックディスプレイ技術を自社のARヘッドセット「HOLOSCOPE」に搭載すると発表しました。この新型のARヘッドセットはホログラム技術により、既存のVR、ARヘッドセットで生じる輻輳調節矛盾を解決できるとしています。
人間の眼は、遠くの景色を見るときは左右の視線がほぼ水平になりますが、近くの物を注視しようとすると、その物体に焦点が合うように左右の視線が内側を向き、視線が重なります。この眼の調節機能は輻輳と呼ばれています。
VR、ARヘッドセットを使用すると、実際に焦点が合うのは目の前のディスプレイなので、表示される3Dコンテンツの奥行き感とずれるのが、輻輳調節矛盾と呼ばれています。
その結果、下記の動画で説明されているとおり2重に見えたり、ぼけて見えてしまいます。これは、瞳孔間距離(IPD)を正しく設定していても発生します。
https://www.youtube.com/watch?v=cR-DxkBuZOk
技術的には実現しているが実用化へは未知数
Realview社が開発しているのは、ホログラム干渉光を利用した方式で、MITなどでも研究されており、サンプル画像をこのページで見ることができます。また、RealView社も下記の動画を公開しています。これは、映像に後処理のエフェクトは加えていないため、ヘッドセットで見たままの映像だと説明されています。
https://www.youtube.com/watch?v=73dHbsgigP4
確かに、見えている像ははっきりと見え、表示品質も高いです。ビデオでは、動的に複数の焦点を合わせることができると説明されていて、これが本当であれば、より高品質なAR映像を体験できます。
RealViewの基礎技術は高いように見えますが、製品化にどの程度近づいているのかは不明です。Webサイト上の医療機関への応用の想定図を見るとヘッドマウントのサイズでなかったり、いくつかの写真はStock Photosの写真が使われています。また、解像度、フレームレートなどの仕様についての詳細はなく、ヘッドトラッキングが搭載されるのかも不明です。また、リアルタイムで手のインタラクションを実現するためのセンサーの詳細も記載されていません。
結論として、製品化へはまだ不明な点が多いもの、コンピュータで作成されたホログラフィー映像は実際に存在しています。この技術を用いたARディスプレイが実現すれば、HoloLensなどのARヘッドセットの競合になるのではないでしょうか。
(参考)
‘HOLOSCOPE’ Headset Claims to Solve AR Display Hurdle with True Holography – (英語)
http://www.roadtovr.com/realview-holoscope-ar-headset-hologram-display/
※Mogura VR は、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。