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業界動向 2021.09.22

フェイスブックのスマートグラス、欧州の規制当局がプライバシーに懸念表明

9月10日にフェイスブックとレイバンが発売したスマートグラス「Ray-Ban Stories」を巡り、ヨーロッパで懸念の声が上がっています。アイルランドの規制当局はデバイスの撮影機能について、周囲に知らせる仕組みが不適切であると指摘しました。

写真撮影や通話を行えるスマートグラス

「Ray-Ban Stories」のレンズフレーム左右にはカメラが搭載されており、写真と動画の撮影が行えます。写真・動画の撮影を行う際はLEDが点灯し、周囲に撮影中であることを知らせる仕組みです。また、内蔵スピーカーとマイクにより、音楽再生や電話の利用などが可能。アップルの「Siri」のようなFacebookアシスタントも搭載されているため、音声でスマートグラスを操作できます。米国の他、ヨーロッパではアイルランドとイタリア、イギリスでの発売が開始されています。

周知の仕組みが不十分

問題となったのは、前述のうち「写真と動画の撮影」機能です。アイルランドのデータ保護機関DPC(Data Protection Commission)及びイタリアの同機関Garanteが、それぞれ懸念を示していることが分かっています。

特にDPCは、撮影を知らせるLEDについて「非常に小さい(very small)」と指摘。周囲の人々に自身が撮影されているリスクを認識させるには、不適切な仕組みだと主張しています。またフェイスブックがこの機能のフィールドテストを行ったか否かも、はっきりと示されていない、というのがDPCの見解です。

DPCは以下のように述べています。「スマートフォンといった多くのデバイスが第三者を撮影できるという事実は受け入れられています。しかしそれはカメラやスマホが撮影中のデバイスとしてはっきり見えていて、撮影される人物が気づけるという場合のみです。(フェイスブックの)メガネには、撮影中に点灯する非常に小さなライトが付いています。しかしDPCもGaranteも、フェイスブック或いはレイバンが、このLEDが周囲に撮影を知らせるための有効な方法か、包括的なフィールドテストを行ったとは報告されていません」

さらにデバイス発売前に、フェイスブックよりデータ保護に関する説明はあったものの、「製品開発に関する相談は受けていない(デザインと機能は、提示された時点で既に確定していた)」とも指摘しました。

Facebookの見解は

このような批判に対し、フェイスブックはどのように動いているのでしょうか。同社広報担当は、「アイルランドのDPCをリードレギュレーターとする法規制のパートナーと協力し、この新技術の仕組み、そしてどのようにコントロールできるか、人々の理解を促していきます」と表明しています。

コンシューマー向けのスマートグラスで配慮が不可欠なプライバシー問題。個人情報保護の規制が厳格な欧州とフェイスブックがどう向き合うのか、今後の展開にも注目です。

(参考)TechCrunch


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