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PlayStation VR 2020.03.29

【2020年最新版】「PSVR2」はどうなる? これまでの情報・発表まとめ

2019年10月、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、2020年の年末に「プレイステーション5(PS5)」を発売すると明らかにしました。PS5は過去の取材により、PlayStation VR(PSVR)への対応も判明しています。

そうした中、現行PSVRのモデルチェンジや次期モデル(いわゆる“PSVR2”)のシステムや仕様、新型コントローラーなどに注目が集まっています。

PSVR2に関して、これまでSIE公式からは一度も言及されたことがなく、公式情報はゼロということになります。本記事では、SIEが過去に出願・取得したPSVR関連の特許についての情報やVRに関する報道を、過去に掲載したニュース等をもとに振り返ります。

目次

ワイヤレス化も視野か
グローブ型コントローラーを検討
次世代のPSVRではVR酔いへの対策も?
周囲の人がVR内を覗き込むセカンドスクリーン
VR内でeスポーツ観戦も
プレステ次世代機に現行PSVRが対応
視線追跡機能付きメガネ型デバイスを特許出願
PS5は2020年末に発売、触覚技術を搭載
PS5向けか?新型コントローラーの特許出願
PSVR2はヘッドセットとコントローラーにカメラ搭載?
PSVR2の新型コントローラーと思われる特許が続く

ワイヤレス化も視野か

2019年、ワイヤレス接続方式のVRヘッドセットに関する特許の出願が報道されました。特許名は「ヘッドマウントディスプレイ、制御方法及びプログラム」という名称で出願されおり、特許の仕様書の画像からは、PSVRと思われるVRヘッドセットにワイヤレス技術が導入されているのが確認できます。

デバイスと接続が必要なVRヘッドセットは「ケーブルが体や足に絡まる」、「VR体験中に引っ張られる感覚を受ける」といった問題がありますが、解決策として各社でワイヤレス化の検討がされています。本特許によりSIEも検討を重ねていると考えられます。

グローブ型コントローラーを検討

SIEは過去にPSVR向けのグローブ型コントローラーと思われる特許を取得していたことが判明しています。

PC用VRヘッドセット向けには、ユーザーの手の動きをVR内に再現する様々なグローブ型コントローラーの開発が進められています。こうしたデバイスでは手の動きを正確に再現でき、ボタンではない直感的な入力で操作ができるという魅力があります。

PSVRで現在用いられているPS Moveコントローラーは従来からある製品の流用ということもあり、VR用のインターフェースとして最適化されていないことが課題とされています。

SIEのグローブ型コントローラーでは、関節の曲げ具合を検出する「曲げセンサー」を用いてユーザーが指で形作ったジェスチャーを読み取ることを可能にしています。様々な仕草でゲームへの入力や制御が可能で、下図のように特定のジェスチャーで特定のアイテムを呼び出すといったアクションができるようになります。

米メディアUploadVRによれば、SIEは2017年のはじめにPSVR向けのグローブ型コントローラーを検討したが、最終的に保留にしていると報じています。このデバイスが直接製品化する可能性は現時点では不明ですが、SIEがPSVR向けのコントローラーを模索していることが推測されます。

次世代のPSVRではVR酔いへの対策も?

2017年、VRヘッドセットのディスプレイに関する特許の内容が明らかになっています。公開された内容からは、複数のバイオメトリクスセンサーを用いた「VR酔い」対策を見て取ることができます。VRヘッドセットに採用されているのは、温度計やアイトラッキング用のカメラ、湿度計、外部定位センサーといった様々なパーツです。

SIEによれば、VRヘッドセットはこれらのセンサー類を用いて「健康の閾値」を設定。VR体験がユーザーにとって刺激が多すぎると判断した時、適切な対応を取るとしています。ヘッドセットにはマイクまで備えられており、ユーザーの「ネガティブな」発言や音を聞き分け、プレイ体験が不快なものか判断するというものです。

周囲の人がVR内を覗き込むセカンドスクリーン

2018年、SIEはVRのセカンドスクリーンに関する特許を申請しています。本特許は「Second Screen Virtual Window Into VR Environment」(VR環境を覗き込むセカンドスクリーン・バーチャルウィンドウ)という名称です。この仕組みでは、VRを体験しているプレイヤーに周りの人がスマートフォンのような端末をかざすと、まるでカメラ越しに覗き込んでいるかのようにVR内の様子を見ることができます。

これまでVRを体験しているプレイヤーの多くは孤独を感じていました。現状、プレイヤーがVRで遊んでいる様子はディスプレイに映し出せば周囲の人とも共有できますが、プレイヤーに直接干渉することはできません。

特許では、デバイスを手に持った周りの人は「観察者」とされ、手に持った端末をカメラのようにかざすと、VRの中にプレイヤーがいる様子を見られます。周りを歩いて回ったり、近づいたりすることで、カメラを構えているように視点が変わっていきます。これにより、一人で遊んでいたVRゲームの幅がより広がると予想されます。

VR内でeスポーツ観戦も

PSVR関連ではありませんが、VRでeスポーツイベントを実際の会場にいるかのように楽しめるシステムの特許も公開されています。

ライブ中継される会場の座席には、カメラとマイクが埋め込まれています。近接センサーにより、現実の座席に人がいるかどうかを判別。実際に使用されている座席はVRユーザーが使えないように設定されます。

またVRユーザーは、ゲーム内に入り込んだ視点も体験でき、観客の視点とゲーム内の視点を切り替えるというハイブリッドモードが楽しめます。

プレステ次世代機に現行PSVRが対応

2019年4月中旬に米メディアWiredによるSIEへの取材で、次世代ゲーム機の開発状況が明らかとなりました。

Wiredの取材に応じたのは、PS4及び次世代PlayStation(名称がPlayStation5、PS5になるのかは不明です)開発のリードアーキテクトを務める、SIEのMark Cerny氏。同氏は次世代機ではCPUとGPUがパワーアップする他、オーディオの改良、SSD採用による処理速度の劇的な高速化が図られると述べました。

PSVRについて質問が及ぶと、次世代PSがPSVRをサポートする点を明確に認めました。「この場で当社のVR戦略の詳細を語ることは出来ません。ただ言えるのは、VRは当社にとって非常に重要であることと、現行のPSVRのヘッドセットは次世代ゲーム機でも使用可能だということです」とコメントしています。

次世代PSの発売時期は未公表ですが、2019年中ではない(2020年以降)と説明されました。

視線追跡機能付きメガネ型デバイスを特許出願

2019年4月、SIEがVRヘッドセットと組み合わせて使用する、視線追跡(アイトラッキング)機能が実装されたメガネ型デバイスを米国特許商標庁に特許出願していたことが判明しています。この特許は2019年4月2日に公開。本デバイスの対応するVRヘッドセット名は記載されていません。

出願が判明した眼鏡型デバイスは「利用者の視線情報(gaze information)を、HMD内に投影されるコンテンツのクオリティ向上のために使用する」ためのものであるとのこと。米メディアUploadVRは、本デバイスがフォービエイテッド・レンダリング(※)用のデバイスであると推測しています

(※フォービエイテッド・レンダリング:画面をレンダリングする際、人の中心視野ほど高解像度で、そして視野の外側に行くに従って低解像度で描画する手法)

視線追跡機能が既存の製品であるPSVR本体ではなく、メガネ型デバイスに実装された理由は判明していません。現行のPSVRをアップデートするためのデバイス、もしくは現PSVRと次期モデル(PSVR2)で共通して使用するデバイスなど、さまざまに推測できますが、執筆時点で詳細は不明です。

PS5は2020年末に発売、触覚技術を搭載

2019年10月、SIEは「プレイステーション」次世代機の正式名称「プレイステーション5(PS5)」を発表。発売日が2020年の年末商戦期となることを明らかにしました。

加えて、新コントローラーへのハプティック技術搭載、L2・R2トリガーの抵抗力を開発者がコントロールできる「アダプティブトリガー」の導入が告知されました。これらの技術が組みわさることで、プレイヤーがより没入できるような「ゲームの中の感触」を体感できるものとなるようです。

2020年3月19日には、SIEがPS5のハードウェア技術仕様を公開しました。レイトレーシング対応のGPUや超高速SSD(読み込み速度5.5GB/秒)搭載、PS4との後方互換性などが明らかになりました。レイトレーシングとは、VRおよび様々なゲームなどにおいて、実写並みのリアルタイムCGを実現する機能であり、NVIDIAの「GeForce RTX 20」シリーズなどに搭載されています。

今回公開されたPS5のスペックは以下の通りです。

CPU

x86-64-AMD Ryzen Zen 2
8コア / 16 スレッド
周波数:最大 3.5GHz まで可変

GPU

AMD Radeon RDNA 2-based graphics engine
レイトレーシング アクセラレーション
周波数:最大 2.23GHz まで可変(10.3 TFLOPS)

システムメモリ

GDDR6 16GB バンド幅:448GB/s

SSD

825GB 読み込み速度:5.5GB/s(Raw)

PS5 ゲームディスク

Ultra HD Blu-ray(100GBまで)

映像出力

4K 120Hz TV、 8K TV、VRR対応(HDMI2.1規格による)

オーディオ

Tempest 3Dオーディオ技術

PS5向けか?新型コントローラーの特許出願

PS5の新型コントローラーと思われる特許も出願されています。現行のDUALSHOCK 4(DS4)の最大の違いは、コントローラー上部に存在していた“ライトバー”が廃止されたという点です。

ライトバーは、発光することでコントローラーの接続状況や充電状況などを示すパーツ。
「Astro Bot: Rescue Mission」や「Firewall Zero Hour」など、一部のPSVR向けゲームでは、この発光がコントローラーをトラッキングするために使用されています。PS5でライトバーを使用しているタイトルをでプレイする場合、どのような解決策が用意されるのでしょうか。

PSVR2はヘッドセットとコントローラーにカメラ搭載?

SIEは、カメラを備えたVRデバイスの特許を出願しています。現行のPSVRにはない特徴から、PSVR2のものではないかと推測されています。カメラはデバイスの前面に2台、ヘッドセットの後頭部に1台搭載。またモーションコントローラーにもカメラが実装されていることが分かります。

現行PSVRは1つだけの外部カメラを用いてトラッキングをする方式です。この方式だと、プレーヤーが後ろを向いた際、トラッキングが上手くできないという問題があります。この解決方法として、コントローラー搭載のカメラによるトラッキング精度の向上が期待できます。

PSVR2の新型コントローラーと思われる特許が続く

SIEは触覚フィードバック関連のテクノロジー開発を手掛ける企業Immersion Corpと、特許のライセンス契約を締結したことが明らかになっています。これにより、SIEはImmersion Corpの触覚フィードバック技術を、自社のコントローラー類に使用可能です。執筆時点で、ソニーがライセンス契約で獲得した技術の用途は明らかになっていません。

2020年2月、SIEは新型コントローラーの特許を公開しました。米メディアUploadVRは、特許が公開されたタイミングなどから、PSVR2用の新型コントローラーではないかと報じています。

特許内容によれば、コントローラー装置がユーザーの手の動きを検出するのに加え、ユーザーの指を検出する複数のセンサーユニットを備えています。またコントローラーには手を固定するストラップがあります。

本体のセンサーユニットにそれぞれ指を置くことで、ゲーム内で拳を握ったり物をつかんだりといったアクションができます。また、コントローラーの前面には5つのボタン(中央の大きいボタンはアナログスティックの可能性あり)が見てとれます。

なお、2020年3月時点、PSVRのモデルチェンジや次期モデル(PSVR2)の開発などについて、SIEから公式なアナウンスは行われていません。現在明らかになっている特許から、どう製品化につながるのか、SIEの今後の動向に注目です。


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