【インタビュー】「VRはチャンス」SCE吉田修平氏が語る、PS VRで拓く「VR元年」

コンシューマーゲーム機で楽しめるVRの実現に向けて本格的に取組んでいる株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)。今年上半期に発売予定のPlayStation®VR(PS VR)は、VR元年にどのような影響を及ぼすのでしょうか?SCEワールドワイド・スタジオ プレジデント 吉田修平氏に、VRに対する今後のビジョンやPS VRについてじっくりと話を伺いました。

PSVR_Yoshida_president

吉田修平氏
SCEワールドワイドスタジオ プレジデント
1986年ソニー株式会社に入社後、1993年2月にSCE設立メンバーとして参加し、以降「プレイステーション」プラットフォーム向けに発売された数々のソフトウェアタイトルをプロデュース。2008年5月SCEの制作部門であるSCE ワールドワイド・スタジオプレジデントに就任。2014年3月に発表したバーチャルリアリティシステム「PlayStation VR(プレイステーション ヴィーアール)」の開発を務める。

VRはオリジナルタイトルを作るチャンス

――PlayStation®VR(PS VR) の発売は2016年上半期とのことですが、そろそろですね。

吉田修平氏(以下敬称略):
2016年に入って、いよいよというところですね。ハードの開発は非常に順調です。ソフトの方もデベロッパーサポートを続けていまして、デベロッパーさんにツールを出したり、開発サポートをしたりしています。既にいろいろなタイトルが発表され、徐々に準備を整えています。

――1月は台湾で開催された台北ゲームショウでも展示されて、新タイトルなども発表されていましたが、台湾ではどれぐらいVRが盛り上がっているのでしょうか?

吉田:
台北ゲームショウは密度が凄まじく、熱気が伝わってきました。Gamescom(ドイツ)やChinaJoyなどの世界最大級のイベントは、大きいホールをいくつも使って開催しますが、それを1つに全て集約している感覚です。また、PlayStationなどのコンソールファンが多いんだなと思いました。SCE台湾は、その台北ゲームショウにずっと出展してきており、今年で11年目です。PlayStation®3(PS3)の頃よりPlayStation®4(PS4)の方がずっと盛り上がっていますね。

――PS VRへの期待感も高まっていますか?

吉田:
はい。PS VRに対する期待感は高いです。昨年6月には、開発者向けにセミナーをやりました。その際、私もプレゼンをしていたのですが「VRの開発をやっている人は?」と会場で聞いたところ、手が挙がったのは来てくれていた何十社の中から3社ぐらい。まだまだこれからという感じでした。それが今回、1月の台北ゲームショウに行ってみたら、PS VRで遊べるものもすでに用意されていて、驚きました。その試作品を作られていた会社は3社ありましたが、そのうちの1社は、XPEC Entertainmentさんという、アウトソーシングを数多く手がけられている会社さんです。

https://www.youtube.com/watch?v=hxvVkzjWyVM

――XPEC Entertainmentさんのタイトルは、星を育てるゲームですよね。

吉田:
そうそう、PlayStation®Move (PS Move)で遊ぶ内容です。凄く楽しいですよ。そういった会社さんも、いきなりオリジナルでVRのタイトルを出されているわけです。私は「VRはチャンスだ」とずっと言い続けてきたのですが、ゲームの開発拠点だった企業が、VRではオリジナルタイトルを出す企業になる可能性もあるのではないかと思います。

インディーゲームも欧米中心に盛り上がっていますが、(既存のプラットフォームでは)今はもう数が増えてきてオリジナルのタイトルを作ってもなかなか目立たない。VRはこれからなので、早めに参入すれば有利です。

――世界各地で展示をされていますが、地域毎の違いは感じますか?

吉田:
そうですね、特にアメリカは進んでいますね。クオリティがバンバン上がっているので、コンテンツに対してお金が入っている感じがあります。最近の印象としては、ノンゲームコンテンツが増えています。技術力もどんどん上がってきています。

買ってきたら誰でもすぐに使えるようにしたい

――地域差こそあれ、世界中がVRに向けて動いていますね。

吉田:
着々と動いています。PS VRはユニークなポジションにいるので、責任も期待も感じています。

――ユニークなポジションというのは?

吉田:
SCEは、コンソールベースでVRを本格的にやっている唯一の会社です。PS4の開発と同じタイミングでVRの開発にもかかれたのが良かったなと思います。VRはハード・ソフトの両面から、色々な要素を噛みあわせることで初めて良い体験に結びつけることができます。システムやハードはもちろん、ドライバ、OS、SDKに至るまで、全部自社で開発しているという点で、強みがあると思っています。

――PS VRの普及のためにも、良い体験をしてもらうのは非常に重要なことですね。

吉田:
ええ。さらにコンソールビジネスは、ハードで儲けるというよりはたくさん普及させて、エコシステムを大きくしてたくさんのユーザーさんに楽しんで頂くという考え方です。PS VRは技術的に詳しくない方でも扱いやすくしたい。これまでになかったものなので、普通のテレビゲームと同じようにはいかないと思います。それでもできるだけ、買ってきたら、誰でもすぐに使えるようにしたいです。VRの普及に対して、貢献できると思っています。

 

――「誰でも」というところで、発売された後、皆さんが継続的に遊んでいただくための仕組みが必要になります。そのあたりのコンテンツを出していくペースや、継続性を意識した戦略はあるのでしょうか?

吉田:
まさにおっしゃる通りですね。PS4でもそうですが、毎日起動して使って欲しい訳です。PS4のユーザーには本当にゲーム好きな人もいますが、年に2、3回だけビッグタイトルを買われるという方もいる。実は、PlayStationは、ゲーム以外の要素でも使われることが多いんです。特にYouTubeやNetflixなど、ビデオ系のサービスですね。アメリカでは、Netflix(※)の視聴に一番使われているのはPS3です。

※Netflix:映画、ドラマなどのオンライン配信サービス。米国だけで4,000万人以上の会員数を誇る。

――それは初耳でした。既に発売されているGear VRも映像系のコンテンツが多いですね。

吉田:
そうなんですよね。難民キャンプの様子が分かったりなど、自分の行けない世界に行く事ができる。ビデオ系はゲームと違って開発期間が短いのも特徴です。アメリカ大統領選挙関連の360度動画が配信されていますが、ゲームだけではない人の使用頻度を上げるという意味で、トピカルなコンテンツも効果的だと思います。そして、私がVRで特に強いと思っているのは、ソーシャルな要素です。離れた所にいる人でも、VRで対面すればすぐ近くにいるような感覚になります。そういったコンテンツも増えてくるといいですね。

とにかく作って面白い体験ができたら、それをパッケージ化して短時間で出す

――PS VRの場合、今までPlayStation向けにゲームを作ってこなかった会社さんやノンゲームの会社が開発に手を挙げにくい部分がありますが、コンテンツを作りたい人はどうすればいいのでしょうか。

吉田:
PCゲームなら誰に断る事も無く開発できますが、そのような手軽さはないのは確かです。ただインディーゲームには我々も非常に注目していますし「新しいクリエイターが新しいものをつくる」事をサポートするのが凄く好きです。インディーサポートは一生懸命やっています。

――インディーゲームは、最近ではPS4向けに頻繁にリリースされていますよね。PS VRのコンテンツも同じようにゲーム開発のサポートを受け付けているということでしょうか。

吉田:
基本は同じです。PC向けのSteamやスマホ向けのiTunesでゲームをリリースして楽しませてくれるインディーのクリエイターが数え切れないほどいます。そうしたゲームの中から、目立つ、かつコンソール向けのゲーム作りをしている方に声をかけさせていただいています。VRに関しても、個人の趣味だと難しいかもしれませんが、ある程度仕事としてコンテンツをつくりたいという方は、SCEの開発サポートに連絡して頂ければと思います。

――相談の門戸は開けてらっしゃるということですね。

吉田:
はい。とてもいいなと思うのは、ゲームエンジンのおかげでどんなコンテンツもベースにしているシステムが共通している事です。UnityやUnreal Engine 4などのゲームエンジンを使っていれば、たとえばOculus Rift向けに作ったゲームをすぐに他のデバイスに持って行けますので、まずはOculus Riftでプロトタイプを作って、お金を出してくれるところやパブリッシャーに見せるのもいいのではないでしょうか。

――まずは思い描いたVRコンテンツのプロトタイプを作ると。

吉田:
あるコンテンツを作るために長い時間をかけたとしても、VRの場合は業界全体で新しい発見が次々に出てきています。長い企画書を書くのではなく、とにかくプロトタイプでもコンテンツを作ってみて、面白い体験ができたらそれをパッケージ化して短時間で出す。これが一番おいしんじゃないかと思いますね。PS VR向けに開発中の『Headmaster』なんかはまさにそれですね。飛んでくるボールに対してヘディングをする、というVRの中での体験としては新しいものです。

https://www.youtube.com/watch?v=wQ8fj8gdBSE

――ポイントは短めのコンテンツを短期間で制作して回収していくということですね。

吉田:
そう、そういうことをやっている会社がインディーの中には多いですよね。目新しい、楽しい体験が出てくるという意味では、コンテンツの質や量の確保については割と楽観的に思っています。

また、インディーに限らず、大手さんの開発チームでもVRコンテンツの制作をやりたがっているところは多いです。面白さで勝負するインディーが盛り上がっている間に、大手さんものってくると、良い感じでユーザー層が広がっていくんじゃないかと思っています。我々(SCE)自身もコンテンツを作っていますが、PS VRのシステムの良さを見せるという意味で、体験の新しさを見せつつ他の会社さんの刺激になればと思ってやっています。

THE PLAYROOM VR(SCE Japan Studio)

https://www.youtube.com/watch?v=7-nS6oO7sKU

――PS VR向けにリリースを決めている大手さんとして、海外だとUbisoftさんが挙げられますよね。

吉田:
Ubisoftさんは新しいプラットフォームに早い段階でコンテンツを出されるという方針を持たれているようです。また、最近は、国内でモバイル系のパブリッシャーさんがVRに投資を行うなど非常に積極的です。どんなものが出てくるのか、凄く期待しています。

https://www.youtube.com/watch?v=q8GwRiTTO3o

――コロプラさんやGREEさんなど積極的ですね。

吉田:
発売予定のタイトルでいくと、元セガの水口さんの『Rez』をVRで再生させた『Rez Infinite』も面白いですよ。PlayStation®2で初代『Rez』を開発していた時から、彼の頭の中ではVRで実現したいという想いがあったそうです。当時は、テレビを通じてなんとか説明したいと思っていたものが、VRの登場でようやく出来る時代になり、今回のPS VR向け『Rez Infinite』で実現しました。『Rez』のように、昔から本当はVR的な体験をイメージしていたゲームがこの業界には多くあります。昔のゲームは今のゲームに比べればグラフィックなどとても軽く作られていますから、そういうものはPS VRを使ってネイティブ120Hz(描画の滑らかさ。1秒間に120回の描画を行う)でガンガン動かして良いVR体験ができると思います。

https://www.youtube.com/watch?v=5Sk5ThgnI2k

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――昨年パリのParis Game Weekで、開発中のPS VR向けタイトルが200程と発表されましたね。多くてビックリしました。

https://www.youtube.com/watch?v=cw6x80Qdzak

吉田:
PS VRの開発機材を渡している会社さんの数はそれくらいになります。我々も1社さんずつきちんと担当をつけてサポートしています。

PS VRの体験の場を増やしていく

――既に発表されているタイトルを見ていると、色々なプレイヤー層を意識されて幅広くなっていると感じます。VRはどのように普及させていくかという課題があると思うのですが、体験しないと分からない。PS VRもコンシューマという意味では、まだまだ体験の機会が少なくこれからです。今後どのような取り組みをされますか?

吉田:
体験の機会を増やしていくしかないですね。3月から開催されるGAME ONもそうですし、機会があれば出ていく感じです。体験の場を増やしていく取組みは、全世界的にやっていくと思います。欧米では、大きいバスでショッピングセンターの横につけて体験ブースにすることはよくありますが、それくらいの勢いでやっていきたいです。

――伝える手段としてVRはまずは『体験』というものがありますが、そもそもPS4での強い方針としては『共有』を進めていますね。Twitterやfacebookとの連携、ゲームプレイの生放送などの機能を強調されています。PS VRでも何らかの共有機能を考えていますか?

吉田:
この点に関してはまだ詳しいところはお話できませんが、まずやってはいけないのは、ほかの人の体験をそのままPS VRを被っている別の人に見せることです。コントロールができず視界も意図に反して動くため、かなり酔うことになります。そして、もちろんPS VRを体験してもらうことが一番ですが、人数が限られる中、割と効果的なのは「やっている人の姿を見せること」ですね。やり終わった後の感想を見せるとか。みなさんが知っている芸能人とかに体験してもらうと一番分かりやすいと思います。こういった試みは我々に限らず今後増えていくと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=TpaCpKPgnts

――FOVEさんがネットカフェにいれたりなど、家庭用以外のパブリックな場所でVRを体験できる場所が出てくると思います。PS VRはやはり家庭用を狙うところでしょうか?

【関連記事】FOVEとテクノブラッド、視線追跡VRHMDを日韓のネットカフェへ無償提供。コンテンツ開発促進も

吉田:
はい、PS VRは家庭への普及を目指します。しかし、VRそのものにまず触れていただく機会で言うと、誰もがゲームの展示会のような場所に来られる訳ではありませんので、VRを意識しなくても期間限定のイベント等で「(出かけた先で)やってたから、やってみた」というのが、大切じゃないかと思います。一昨年から開催されていた『進撃の巨人展』でのOculus Riftを使ったシアター展示はいい例でした。既に魅力的なコンテンツを持たれている方がVRでその世界を再現して、それを一般の方に体験してもらうのは、VRに触れていただくきっかけとしては非常に良いのではないかと感じます。

コンテンツごとに特化した周辺機器が出てくるかも?

――HTC ViveではVRの中で歩けます。各ハードウェアメーカーで、VRの没入感をさらに高める試みがハードウェアレベルで進んでいます。PS VRの場合、一度発売してから頻繁にモデルチェンジはしないと聞いています。他にも周辺機器などをいろいろと加えていくのでしょうか?

吉田:
周辺機器に関しては、ゲームコンソールにもたくさん出てますよね。欧米なんかだと『Guitar Hero』とか。あのギター型のコントローラーは割と高い値段ですが、かなりヒットしました。日本では太鼓の達人もそうですね。体験の実在感を深めるという意味では、こういった周辺機器を使うとVRではより効果が高いですよね。特にVRの世界の物には、実際に手で触れたくなります。PS VRの場合はPS Moveを使うことで直感的に手を動かすことができ、非常に強力です。さらに、コンテンツに特化した周辺機器が登場するのではないでしょうか。例えば『DRIVECLUB』というPS4のレースゲームのVRバージョンを、実際のハンドルコントローラーと組み合わせてプレイしたことがありますが、ゆったりとした椅子に座ってハンドルを握れば、もうドライビングそのものですよね。VRの中にはダッシュボードもシンクロした腕も見えます。こういった周辺機器はどんどん出てくると思います。

https://www.youtube.com/watch?v=ev66m8Obosw

吉田:
それからPS3の時のPlayStation®Move Sharp Shooter(※)ですね。PS VRの開発段階であれを改造したものを使ったFPSをやってみましたが、銃が目の前にあって、銃を持ったその瞬間からその存在感がもの凄かったですよ。

(※)PS Moveとナビゲーションコントローラーを入れると銃になるコントローラー

PlayStation®Move Sharp Shooter

性能的にまだまだ”掘りがい”のあるPS4

――色々な周辺機器が出てくる未来が見えますね(笑)PS4やPS VRといったハードウェアのアップデートはどのようにお考えでしょうか

吉田:
ハードそのものは、すぐにアップデートできる訳ではありません。PS4、そしてPS VRはフルHDで最高の映像を出すという設計思想なんですよね。PS4のシステムは1080p、フルHDで描画するシステムです。PS VRではそれを120Hzにして表示します。そして、PS VRのディスプレイはサブピクセルがピクセル毎に用意されている非常に高精細なものを用意しました。

――Oculus Riftなどは2K相当のディスプレイを使っていますが、解像度を上げることをしなかったのはとPS4での処理なども関係しているのでしょうか。

吉田:
我々は1080pのフルHDで最高のVR体験をつくることにこだわっていて、ハード、ドライバ、OSから、PS VRのVRヘッドセットまで全部1社で開発していますから、しっかりと統合させて最適なパフォーマンスを出すように設計しています。また、同じハードであってもアップデートによって、VR体験の質が上がるように今後も取り組んでいきます。

――PS VRはまだまだ進化しそうですね。

吉田:
ちなみにシステム的には、腕の立つデベロッパーさんであれば、ハードウェアのパフォーマンスをさらに活かしてくれます。PS4の場合にはGPGPUという非常に堀りがいのあるパフォーマンスの高い技術が載っていますが、まだまだ活かされていません。PS3で言うと、CPUのセルプロセッサを、長い時間をかけてみんな掘っていったのと同じです。PS3の最後の方に発売された『GTA5』や『ラスト・オブ・アス』は、PS3初期のゲームと比べてかなり見栄えが変わったと思います。

――確かに……!

吉田:
PS4のコンテンツを作っているデベロッパーも技術に強いところは掘っていくと思うんですよね。PS VRでも最初は60Hzのものが多いと思うのですが、そのうちネイティブ120Hz(※)のものが増えていくと思います。

※PS VRでは、描画の頻度として120Hzと90Hzの2種類が用意されています。さらにPS VRでは処理側では毎秒60回の描画(60Hz)を行っていてもディスプレイ側で予測変換を行うことで表示は120Hzに引き上げる「リプロジェクション」機能が搭載されています。ネイティブとは、リプロジェクションを使わず処理側でも120回の描画処理を行い、120Hzを実現することです。

――ネイティブ120Hzですか?Oculus RiftやHTC Viveは90Hzですが、120Hzはその上を行く非常になめらかな描画です。PS4にそれが可能になるほどのポテンシャルがあるというのは興味深いです。

吉田:
はい(笑)やはり、ネイティブ120Hzだとリプロジェクションでの120Hzに比べて途切れがなく、アニメーションが本当にスムーズです。また、今後は同じリプロジェクションでやっていても、グラフィックスのクオリティがどんどん上がっていくということもあり得ますね。こういった技術の進歩は時間と共に進んでいくと思います。掘りがいのあるつくりにしないと、開発者さんに喜んで触って頂けません。PS4はPCアーキテクチャなのでPS3と比べれば比較的コンテンツをつくりやすくなっていますが、掘れるところもしっかりと用意しています。

――PS VRのコンテンツはPS4をフルパフォーマンスで使っているのかな、と思っていましたが完全に思い込みですね(笑)。

吉田:
まだまだですよ。実際に開発をされているゲーム開発者さんは「フルに使ってます」と常に言っておられますが(笑)

PS VRがつくるVRの未来と、そのビジョンとは?

――吉田さんはVRが社会に与えていく可能性についてどんなビジョンをお持ちでしょうか。

吉田:
VRは技術であり、新しいメディアであると思っています。応用範囲は限りなく広いですよね。ゲームは将来的にそのほんの一部に過ぎません。でもやっぱり今ゲームの果たす役割は大きい。VRの普及から見た時に、VRはゲームのユーザーや開発者さんに馴染みやすい。そしてPS4は先程もお伝えしたようにVRをつくるために最適化されています。

――Oculus Riftもゲームを変えると掲げて登場しました。HTC Viveを開発しているValveもゲームの会社ですね。VRがゲーム業界から始まることにはどのような意味があるのでしょうか。

吉田:
いまのところ良いVR体験ができるコンテンツがたくさんでてきているのはやはりゲーム業界で、それを買ってくれるのはゲームユーザーです。ゲームの業界とユーザーの持つ意義は非常に重要だと思っています。その中で、我々は、家庭用ゲーム機を扱う唯一の存在なので、責任もあると思っています。一番初めにクオリティの高いVRを体験してもらえるようなシステムをつくり、コンテンツもそろえていく。ユーザーさんに安心して使って頂けるものにすることを心掛けています。

――VRの可能性を感じてもらうためにも、最初の体験は肝心ですね。

吉田:
そうです。VRの将来に関しては、1年後も想像できないような動きの早い状況です。RICOH THETAなどの360度カメラも、だんだんと浸透していくと思います。その結果、これまでなかなかできなかったこと、例えば遠くの場所や危険な場所に行く体験ができるようになりますね。また、ゲームをはじめとする想像の世界も実際に“体験”できるようになります。他にも、自分が他の人の視点に立って、世界を見ることができるようになる。例えば、弱い人に共感することも可能になります。このように、VRは人間の可能性を高める助けになると思います。経験者は強いと言いますが、VRによって誰でも手軽に、世界の人類がより豊富な経験ができるようになると、人間の可能性が高まりそうですね。私はそんな明るい未来を想像しています。

――そんな可能性を秘めたVRがまさにこれから始まります。先ほどおっしゃっていた「VRはチャンス」という点に関して、最後に開発者の方々にメッセージをいただけますでしょうか。

吉田:
私はVRの前にインディーのファンです。インディーというのはデジタルプラットフォームがあるから成り立っている訳ですよね。Steam もそうですしiTunesとかもあります。どこで作っても全世界に発表できるチャンスがある。そういう時代になっています。VRはまだまだ比較するとタイトル数も少ないですしチャンスだと思います。

――期待に満ちたメッセージをありがとうございました!

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この記事を書いた人

  • KFtb1VIM

    慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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    先端技術好きなデザイナー。VRでは、MVコンセプトアート制作や360度カメラを使用した企画に関わる。多摩美術大中退、CI開発から書籍装丁等の様々なデザイン業務に従事。 THETA LOVERだゾ。

    Twitter:@sayamecci

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