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テック 2017.02.21

フィギュアなどを手軽にCG化「3Dスキャナ ポンタスキャナ」を実機検証

現実にあるものをスキャンして3DCGすることのできる「3Dスキャナ」。3Dプリンターの逆のようなデバイスです。CG化したものをVRで見ることもできます。

3Dプリンターは家電量販店でも販売されることが多くなってきましたが、3Dスキャナはまだ家庭用がほとんど登場していません。特に、人体より小さなサイズをきれいに撮れる、個人でも買える価格の3Dスキャナはこれまで海外にもありませんでした。手軽に3Dスキャンを実現すべく、現在クラウドファンディングサイトCampfireで3Dスキャナ「ポンタスキャナデスクトップ」がキャンペーン中です。

Campfireキャンペーンページはこちらです。クラウドファンディングは、45,000円の出資で実機が送られてくるメニュー単独となっています。

https://camp-fire.jp/projects/view/18100

今回は、試作機をお借りし、レビューを行いました。

なお、このレビューは、開発中の3Dスキャナ本体と開発中のソフトウェアで行われているため、実際の製品では今回のレビューで指摘された不具合のいくつかは解消されるものもあります。

 

まずは接続

3DスキャナとPCの接続はUSBケーブル2本で行います。1本はWebカメラ、もう1本は3Dスキャナ本体のラインレーザーやターンテーブルの制御のために使用します。

 

ソフトウェア

 

3Dスキャンには専用のアプリケーションを使用します。スキャンやキャリブレーション、レーザーフォーカス調整のためのレーザーON/OFF操作、Webカメラのフォーカス調整などの機能があります。

 

キャリブレーション

使用開始前に、キャリブレーションを行います。「スキャナを転倒させてしまった」「Webカメラのケーブルを引っ張ってしまった」など、カメラの取付角度がずれた可能性がある場合はキャリブレーションを行ったほうが良いです。

キャリブレーションは照明や部屋の明るさに左右され、障子越しに日光が差し込んでいるとなかなか成功しなかったので、日光の入らない部屋か、夕方や夜間に部屋の照明を点灯して行ったほうが良いようです。

 

雪だるま試験

 

ピンポン玉を縦に2個並べたものをスキャンすることで、カメラから見て欠けてしまう面の角度をわかりやすく可視化します

左がスキャンしたピンポン玉の写真、右がスキャン結果のスクリーンショットです。スキャン結果の球の頂上と底面が50°~60°くらい欠けています。

水色で引いたWebカメラの軸線に対し、レーザーはオレンジの線のように動くため、カメラの軸線に平行に近い角度の面ではラインレーザーの断面がWebカメラに映らなくなります。

このピンポン玉の頂上の欠けはフィギュアの頭部の欠けとして同じように現れます。
そのため、スキャンソフトのWebカメラの画面上では見えている部分がスキャンでは欠けてしまうということが起きるため、スキャン対象のどの部分が欠けるのかを事前に理解するには慣れが必要です。

左がスキャンソフト上でのWebカメラ画像、右がスキャン結果。スキャン結果の丸で囲んだ部分が欠けている

一方で、あご下の面も完全にふさがってはいません。これはピンポン玉の底面が若干欠けるのと同じ理由で、下向きの面にレーザーが当たっても上側のカメラからは見えないからです。これは高さを変えながらスキャンして、あごがカメラより上に来る位置でスキャンすることで解決できるそうです。高さを変えながらのスキャンの結果を合成する機能は対応予定とのことでした。

 

考察

 

現時点でも、スキャンは非常に高品質

まず、開放型のラインレーザー3Dスキャナで、すでにここまでの品質でスキャンできていることが驚異的です。すでにモノクロであれば多面スキャンでのOBJでの形状エクスポートも問題なく出来ています。

 

ソリッド化はスキャン以上に時間がかかる

テストに使ったノートPCの性能はi7-4700MQ 2.4GHz、メモリ16Gでしたが、ソリッド化は20分以上かかりました。

 

カラーのエクスポートはまだうまくいかない場合が多い

多面スキャンの場合、第一面にだけ色がついて他の面には色がつかない場合がほとんどで、1面スキャンでも、形状が複雑すぎる場合は色が一部しかつかない場合がありました。こちらは、出荷開始までには修正予定とのことです。

 

間引き機能はまだ未完成

現状、ユーザーレベルで試せる間引き機能(ポリゴンリダクション機能)の出力結果は単色のみです。この機能はまだ品質や使い勝手を試す段階ではないと感じました。開発環境レベルではカラーモデルの間引きのテストも進んでいるそうです。

 

現時点で向いているのはFigmaサイズくらい、15cm以内の高さのスキャン

25cmのフィギュアは、スキャン対象をカメラから適正距離より離さないと全体が映らないこともあり、回転スキャンの合成が成功しませんでした。

 

まとめ

今回、使った限りでの総評です。

・カメラの下からレーザーが出るのでフィギュアのあごなどは欠けにくい
・多面スキャンの合成結果の良否はキャリブレーションボードでの補正がしっかりできたかに大きく左右される
・カメラの上からのレーザーも欲しい

「ポンタスキャナデスクトップ」は、VR対応3Dスキャナと謳われています。その目玉機能である、ポリゴンリダクションやテクスチャエクスポート、高さを変えながらのスキャンが試せていないのが心残りですが、可能であればキャンペーン期間が残っている間に残りの機能もレビュー記事を出せればと思います。

(追記)メッシュリダクションのサンプルデータをいただきました。

メッシュリダクションのサンプルはこちらからダウンロードできます  http://www.ponta-labo.com/diana_coarse.zip スキャンしたそのままのメッシュ 386万頂点、128万ポリゴン リダクション 45万頂点 15万ポリゴン リダクション 15万頂点 5万1000ポリゴン リダクション 5万頂点 1万7000ポリゴン 顔部分を並べての比較 左上 スキャンしたまま 右上 15万ポリゴン 左下 5万ポリゴン    右下 1万7000ポリゴン


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