快適にVRを体験できるプロダクトを完成させたOculus。Oculus Connect 2で示されたVRの未来への道【前編】

予想していた以上のことが起きた時のショックというのは、たとえ良いことであろうと形容しがたいものがあります。

筆者がそんなショックを感じたのは、9月23日から25日の3日間開催されたOculus Connect 2でのことでした。

Oculusは、私達が思っている以上に、多くのことを変えようとしています。

特に、24日の基調講演とその後新たに追加された体験デモの数々は、筆者の予想を完全に超えたものであり、2日が経った帰りの飛行機の中ですら、その興奮の余韻が残っていました。そして、VR技術の進歩が世界に与える影響について考えざるを得ないようなものでした。

昨年に続き開催された開発者会議Oculus Connect 2は、「VRを通じてゲーム、エンタメ、人と人のつながりを変える」ことをミッションとするOculusがその姿勢を明確に打ち出し、大きな一歩を踏み出したイベントとなりました。

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何がそこまで大きなインパクトをもたらしたのか、今回の連載では3回に分けてOculus Connect2の総集編をお送りします。

市場投入に向けた完成度の収斂とコンテンツの拡充

Oculusの創業者パルマー・ラッキー氏がPCに接続してVRを実現する「Oculus Rift」のアイデアを掲げKickstarterを行ったのが2012年のこと。いよいよ製品版のOculus Riftを市場に投入するタイミングが近づいています。

大成功を収めた後、2013年には全世界に史上初のコンシューマー版VRヘッドマウントディスプレイの原型Oculus Rift DK1(開発者版)が出荷されました。ヘッドトラッキング技術により、人々は頭を動かすとその通りにVR側の視点も動く、VRの世界を体験しました。しかし、液晶の解像度が低いため液晶のつぶつぶが見える、装着感が悪い、酔いやすいなど、快適にVRを体験することを妨げる多くの問題があったことは確かです。

そして2015年、Oculusは2つのVRHMDを開発し、完成度を高めてきました。

1つはサムスンと共同開発を行ったスマートフォン向けVRHMD「Gear VR」。2014年末にアーリーアダプター(開発者と興味関心の高い層)向けの発売を開始し、2015年4月にはさらに改良版を発売、2015年11月にはいよいよコンシューマー版が発売予定です。サムスンの比較的新しいモデルのスマートフォンを所持しているユーザーであれば99ドルでGear VRを購入するだけで本格的なVRを体験することができます。日本ではなじみの薄いサムスン製のスマートフォンGalaxy S6シリーズですが、IDCによると全世界では2015年第二四半期の出荷台数が21.7%、7320万台と第一位を維持しています。第2位のAppleが14.1%と比べても圧倒的です。それだけ普及しているスマートフォンで手軽に楽しめるVRデバイスが登場することになるのです。

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関連記事:複数機種に対応、発売は11月で価格は99ドル。スマホ用VRヘッドセットGear VR、コンシューマー版発表。

もう1つは、2012年から開発を続けているPC向けVRHMD「Oculus Rift」です。2013年のDK1以降、DK2(開発者キット第2弾)、Crescent Bay(製品版プロトタイプ、非売品)といったモデルが登場し、性能の向上だけでなく、自分がいる位置を認識する機能や3Dサウンドが追加されています。2016年第1四半期には発売となります。

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Gear VR、Riftとも初期の頃からあった問題を見事に解決し、快適なVR体験を実現しました。いずれもコンシューマー向けの製品ということもあり、装着感や操作性など隅々に気を配った「快適さ」を実現しています。無骨な外見で一長一短なところもあった開発者版から様変わりし、快適さを軸とした一つの完成度の高いプロダクトとしてデザインされています。

様々な耳の形に対して快適なヘッドホンの装着感を維持するための「Rift」の機構
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関連記事:【体験レポ】快適さを追求したOculus Rift製品版「Rift」。Crescent Bayから何が変わったのか

そして、こうしたデバイスで体験できるコンテンツも、一般発売を控えて、急激に増えつつあります。Gear VR向けには、Oculus Arcadeというバーチャル空間上にあるゲームセンターでレトロゲームをプレイするコンテンツが登場します。また、NetflixやhuluTwitchといった世界的に人気のある動画配信サービスをVR空間内のシアター等で大画面で楽しむことができるようになります。

Oculus Arcade

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Gear VRがサポートする動画配信プラットフォーム。寝転びながら大画面で映画やドラマ、アニメなどを楽しむことが可能になります。

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関連記事:Gear VR消費者版に向けてコンテンツを大幅拡充。ゲーセンやTwitch、Netflix、huluも。

Rift向けにはVR体験の特徴を活かしたゲームや360度のシネマティック体験などのラインナップが揃う予定です。

そして、世界で1億人以上のユーザーがいるゲーム『マインクラフト』がGear VR、Riftの両方に対応することも明らかになりました。2016年春の公開を目指しています。

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当初コンテンツ不足が否めない様相も呈していたGear VRとRiftですが、一般発売を前に急激に充実してきた印象です。そしてマインクラフトはファンが多いゲームなだけにキラーコンテンツになる可能性があります。

関連記事:Oculus Connect2の基調講演での発表を新たに公開されたトレーラー動画と写真で振り返り

中編に続きます。

中編:手、人間関係。Oculusは新たな次元のVRへ。Oculus Connect 2で示されたVRの未来への道【中編】
後編:後塵を拝した日本は追いつけるのか。Oculus Connect 2で示されたVRの未来への道【後編】

新発表、レポートなどOculus Connect23関連の記事はこちらからご覧いただけます。

Oculus Connect2特集

この記事を書いた人

  • KFtb1VIM

    慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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