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イベント情報 2017.09.26

【体験レポ】『オバケハンター』は家族で楽しめる良質なVR/ARアトラクションだった

東京や大阪などの都市圏を中心にロケーションベースのVR施設が活況を見せています。VR施設では、カップルや友人同士、訪日外国人など、これまでのVRヘッドマウントディスプレイを購入してきた層とは、また違ったVRユーザーが形成されている様子が見られます。

そんな活況を見せるロケーションVRですが、家族や子供連れでVR施設を楽しみたいという声も聞かれます。サイドバイサイド方式のヘッドセットを使用する場合、年齢制限が設けられている場合が多く、小学生以下のVR体験を制限していることがほとんどです。

1→10drive(ワン・トゥー・テン・ドライブ)が制作し、9月23日と9月24日にイオンモール京都五条で期間限定オープンした「拡張現実アトラクション!!『オバケハンター』 ~見えないものが、みえてくる。イマドキ百鬼夜行~」はARとプロジェクターを活用し、小さい子供でも体験できるVR/ARアトラクションです。本記事はそののレポートになります。

ARでオバケを探して退治

『オバケハンター』 のストーリーは下記の通り。舞台は小学校の教室。イオンモールにある『オバケハンター』 体験ゾーンに入ると、夜中の教室で肝試しをしているような感覚が襲ってきます(しかしオバケは可愛いため怖くないので安心です)。

「誰かが小学校で魔方陣を作ってしまい、そこから悪いオバケの群れが現れるようになってしまった。あなたは学校でイタズラをするオバケを退治するために雇われた『オバケハンター』。オバケをいっぱいやっつけよう!」

上の写真はアトラクション入口。オバケの看板が見えます。入口をくぐり、中に入ると小学校の教室が再現がされていました。

実際にアトラクションを体験する前から、この世界観だけでワクワクします。また、『オバケハンター』は、『超AR体験!探索シューティング』と『360°プロジェクションシューティング』の2つのコンテンツで構成されたアトラクションです。そして『オバケハンター』の特徴は、複数人プレイを基本としてゲーム設計されていることです。

筆者は1人きりと最大プレイ人数4人の2回を体験しました。1人でも楽しめるのですが、やはりみんなでワイワイするのが楽しかったです。

『超AR体験!探索シューティング』はガンコントローラーにGoogle Tango対応のスマートフォンを照準器として、スマホのディスプレイ越しに現れたオバケを退治していくというもの。映画『ゴーストバスターズ』をよりカジュアルでお手軽にしたものとイメージしていただければと思います。

参考:【体験レポ】あの銃を持ってVRでゴーストバスターズ!THE VOIDのVRアトラクションに挑戦

ガンコントローラーのトリガーボタンを押すと光線が発射されオバケにダメージを与えます。

プレイ方法もシンプルで簡単なチュートリアルですぐに理解できました。操作方法も下記の通りと簡単で、普段ゲームをしない人でも、楽しむことができそうです。

(1)壁に貼られたQRコードを探す
(2)QRコードをトリガーボタンを長押しして読み込む
(3)QRコードの読み込みが終わると一定時間オバケが登場する
(4)出てきたオバケを退治する

まずは教室を模したプレイフィールドにあるQRコード(お札)を探すことから、ゲームスタートです。QRコードは誰か1人が読み込んだら他の人は読み込めなくなるというものではなく、どのプレーヤーでも読み込めます。

ガンコンはダンボール製ですがしっかりした持ちごたえ。

他のプレーヤーと出てくるオバケは同期はされていないのですが、プレーヤーは自分の持つガンコンのモニターしか見ないので、他の人も一緒にオバケ退治をしている様に錯覚してしまいます。ゲーム開始と終了、スコアは全員リアルタイムで同期されるので、自然と一緒に同じゲームをしている様に感じられました。

また、QRコードを読み込むのに、トリガーを数秒ほど押し続けるというギミックがあるのですが、その間にGoogle Tangoで空間認識を行なっているとのこと。筆者はプレイ中に全く気付かず、プレイ前に空間認識をあらかじめやっていたのかなと(でも、プレイエリア広いなと……)不思議に思っていたところでした。ゲーム体験後に説明を受けて初めて気付くほど自然な体験でした。

1つ感じたことが、オバケは急に空間から出てくるなど、ARと相性の良いキャラクターだということ。スマホのディスプレイを見るとオバケが見えるのに、現実空間にはオバケはいないという現象も「すこしふしぎ」な感覚でアガります。

そして何よりもスマホの「ディスプレイの外の現実」とスマホの「ディスプレイの中の作られた現実」が混ざっていくのが、非常に楽しい体験です。通常ARというと現実にデータを重ねるものと説明されることが多いですが、『超AR体験!探索シューティング』の現実とディスプレイが混ざる楽しさは、ヘッドセットを被っていると味わえないもので、スマートフォンを使ったARの可能性と発展性を感じられるものでした。

 

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実際に体を動かしたり、トリガーを引いたりするというアクションが必要なことから、スマホのモニターだけに注意が向かないということもあるかと思うのですが、オバケの動きなどに対して不自然な挙動も感じられませんでした。オバケが近づいてきた時、つい後ずさりしてしまうほど、現実感がありました。また、セットの作り込みの素晴らしさもプラスに働いたように思われます。

さらに当然と言えば当然なのですが、自分の目を通して見る世界で複数人と同時プレイするので他人との同期もなく、遅延も発生しないのも、非常に自然な体験です。声もそのまま聞こえるので、一緒に共同作業をしている感覚が強化されます。まさに、現実というフィールドを上手に活用した「現実を拡張したゲーム」と言える作品でした。

ゲームが終了するとスコアが出てきます。多くのオバケを退治した人が勝ち!

プロジェクター型VRで協力プレイ

『360°プロジェクションシューティング』はプロジェクター型のVR体験です。正面と左右の3方向の壁と床にプロジェクターでCG映像が投影されます。

プロジェクター型のVR体験なので、体験者はVRヘッドセットを被る必要がありません。『オバケハンター』はVRヘッドセットを被ることなく体験できるアトラクションで、子供でも遊ぶことができます。また、大人からの視点でもスムーズに体験できるのも良い点でした。

ゲームの内容は正面と左右の壁にプロジェクターで映し出されたオバケをガンコントローラーで倒すというもの。面白いのがガンコントローラーにVR用のViveトラッカーが使われているという点です。HTC Viveのベースステーション技術とViveトラッカーを使い、当たり判定をとっています。


Viveトラッカー

『360°プロジェクションシューティング』も『超AR体験!探索シューティング』と同じく複数人同時プレイを基本としています。違うポイントは、『超AR体験!探索シューティング』はスコアを競い合うというものですが、『360°プロジェクションシューティング』は一緒に協力してオバケを倒すという点です。特にボス戦は協力プレイをしないと、ボスの攻撃が発動されてしまいダメージを受けてしまいます。たとえば「右手は私が撃つから左手は任せた!」と、声を出してコミュニケーションをとると良いスコアを出せる様に設計されていました。

 

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上の動画からも分かるようにゲーム性の高い作品でした。難易度の調整も絶妙で、ゲームプレイが不得手な人でも、みんなで協力すればボスを倒せるように調整されています。世界観もオバケが可愛らしく、誰でも楽しめる作品だと言えるでしょう。『オバケハンター』は両作品とも良く考えられて作り込まれてると、思わず唸ってしまう出来でした。

プレイ後に記念撮影できるポイントもありました。

プレイ後に配布された割引券も非常に作り込まれた可愛いものでした。とても良く作り込まれていたので「これ持ってたら警察に怒られませんか?」と訊いたところ「法的にもクリアしてます」と太鼓判を頂きました。

今回は京都での短い期間限定の開催でしたが、全国で常設して開催して欲しいと素直に感じられるものでした。特に家族連れをターゲットとしたコンテンツはまだ少ないので、「オバケハンター」の今後の展開にも期待したいところです。


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