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話題 2021.11.29

なぜ日産はVRChatで北極&南極のワールドツアーを行うのか? 先行体験してきた

日産自動車株式会社は先日、VRChat上にVRChatにバーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」をオープンしました。日本の大手企業が、VRChatで活躍する現役クリエイターとともに作り上げたバーチャルギャラリーは大きな話題となり、「BREATH ACTORS『カソウ』舞踏団」による現地案内イベントに多くの人が訪れるなど、ひとつの交流の場としてVRChatコミュニティに根付き始めています。

そんな日産が、今回は「北極&南極」のワールドを制作し、バーチャルツアーを行うとのこと。今回、MoguLive編集部はこの「日産アリアとめぐる環境ツアー」のプレス向け体験会に参加しました。

ツアーはNISSAN CROSSINGより出発!

今回のツアーは、新たに作成された専用のワールドにて開催されます。ワールドに入った直後に見えるのは、先日も取材したバーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」です。

現在Publicで公開中のバーチャルギャラリーとの違いは、建物前に3台の日産アリアが停車しているところ。今回のツアータイトルは「日産アリアとめぐる環境ツアー」。この日産アリアに乗ってツアーが進むとのことです。

ツアーが始まるまえに、日産の執行役副社長の星野朝子氏が登場。今回も3Dスキャンアバターの姿で登壇し、ツアー開催に際してのコメントを寄せました。

日産の日本事業広報渉外部の遠藤部長(画像左)と鵜飼氏(画像右)も、前回のプレス向けイベントに続いて参加。ツアーを体験するにあたっての事前設定の案内と、今回プレス向けにお披露目されるのはショート版であることがアナウンスされました。

一通りのアナウンスが終わったところで、いよいよツアーの始まりです。しかしここで、スタッフから「心の準備はよろしいでしょうか?」という発言が。「なにが始まるんです?」と尋ねようとした瞬間。

視界が突然ホワイトアウトし……

ここは……。

ここはどこ!?


(急展開を前に笑うしかなかった筆者)

「北極&南極」で地球温暖化について学ぼう

というわけでやってきたのは、「北極&南極」という現実にはありえない場所。

左側は北極。海の上に浮かぶ氷の上に、一匹のシロクマがいます。

対して右側は南極。氷山があちこちに見えるほか、ペンギンもいます。

そして我々の背後には日産アリアの姿が。ガイドの方によると、どうやら日産アリアに乗ってこの「北極&南極」にたどりついたとのことです。はて、そんな記憶はないような……?(詳細は後述します)


ここから本ツアーのメイントピックである地球温暖化についての解説が入ります。同じ氷の大地に見える北極と南極ですが、そのなりたちは異なります。まず、北極の氷は、海水が凍ってできた「海氷」と呼ばれるもの。その性質から、基本的には平らに広がります。一方で南極は、海氷ももちろんできる一方、長い年月をかけて降り積もった雪が圧縮されてできた「氷床」と、そこから海に流れ出た「氷山」があります。

そして、海に囲まれているという特性もあって、温暖化の影響を早く受けているのは北極の方なのだそう。そしてここで、「北極の氷が溶けると海面は上昇するのでしょうか? 実際に変わるかどうか見てみましょう」という一言が。その直後。

北極の氷が全て溶けてしまいました!

シロクマも海中に消えていってしまいました……! 突然の北極(とシロクマの)消滅に、プレス陣はどよめきます。「温暖化の影響」をこうして眼前で視覚的に見せられると、かなり衝撃を受けます。しかし、シロクマはいなくなったものの、海面はさほど上昇していません。これは、北極の海氷がもともとは海水だったため、氷が溶けても水位が変動しないためです。

一方、南極の氷は陸に積もった雪が由来なので、もし溶けてしまうと海面上昇につながりかねない……とのことです。ただし、南極の氷がそこまで溶けるのはまだまだ先。しばらく心配しなくてよいとのことです。

……あれ? 南極の氷、よく見たら溶けていませんか!?

南極が全部溶けたとたん、水面が一気に上昇していきます!

プレス陣もスタッフも海に飲み込まれていきます!!

南極が溶けた先に待つものとは……?

「溺れる!」と思ったのもつかの間、あたり一面真っ暗な空間に飛ばされてしまいました。

おや……? これはいったい……?

この人はいったい……?

南極も溶けてしまった先に何が待つのか……その答えは、みなさんの目で確かめてみてください。

未来に向けて私たちができること

今回体験した「日産アリアとめぐる環境ツアー」は、一つのワールド内でシーンが次々に切り替わっていくタイプのツアーとなっています。冒頭で記したとおり、今回のプレス向けイベントで体験したのはショート版となっており、正式開催版では、実際に日産アリアに乗って「北極かつ南極」へ移動するというパートが追加され、全部で1時間程度のツアーになるとのことです(今回「アリアに乗って移動した記憶がない」と書いたのはこのため)。

バーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」に続き、ツアー専用ワールドを手がけたのは蕎麦屋タナベさんです。また、今回のプレス向けイベントでも、VRChatコミュニティで活躍するクリエイターやインフルエンサーが多く参加しており、コミュニティに根ざした活動は健在です。

本ツアーのテーマは「地球環境のためになにができるか」。年々気温が上昇し、それによって地球には様々な悪影響が出ています。それを回避するための選択のひとつが「再生可能エネルギーを選ぶ」であり、その具体的なアクションのひとつに「電気自動車を選ぶ」が挙げられます。日産アリアは電気自動車であり、当然ながら運転する上で環境にやさしく、そして製造から廃車のライフサイクルでもカーボンニュートラルを目指しているとのことです。


日産はSDGsに賛同する企業のひとつであり、電気自動車の開発やカーボンニュートラルへの取り組みは、その具体的なアクションの一つです。また、実は遠藤部長と鵜飼氏のアバターには、胸元に日産の社章に加え、SDGsのバッジがつけられています。ツアーという大きな取り組みから、アバターのワンポイントまで、SDGsに取り組もうという姿勢を示しているといってよいでしょう。

今回のツアーは、内容は定番かつシンプルではあります。しかし、「北極と南極の氷を実際に溶かす」といったVRだからこそできるインパクトのある仕掛けや風景を、VR視点から目の当たりにすることで、ツアーが伝えたいメッセージに強い実感を抱きました。VRコンテンツは「主観的な体験」であり、同じメッセージであっても、モニターに映る映像や壁にかけられたパネルとは、受け取り方もインパクトもまるで異なります。地球温暖化といった、「自分ごととして捉えるには大きすぎて実感の湧かない問題」などと取り扱う上で、VRはとても相性がよいと改めて感じました。

バーチャルギャラリーのオープンから、バーチャルツアーの開催と、日産のメタバースを軸にした展開は、まだ始まったばかり。「来年はVRで新車発表会をやろうか」という話も上がっているとのことです。VRChatコミュニティとともに歩む日産の挑戦に、今後とも注目していきたいところです。

【ツアー概要】

日時: 2022年1月11日 20:00~21:30
募集人数: 20 名
応募方法: 参加者募集フォームから応募
https://forms.gle/5Wy7DZ3twitdWwhP6
応募期間: 2021 年11月29日 14:00~12月24日 23:59
※応募者多数の場合は、抽選です。

(執筆:浅田カズラ)


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