NASA、宇宙探査機開発にHololensを用いた技術を導入

NASAは、宇宙探査の技術開発にマイクロソフトのMRデバイスHololensを使った2つのソフトを導入しています。バーチャルな映像を用いて機械の設計を行う『ProtoSpace』、そして現実世界で火星表面をシミュレートする『OnSight』です。

NASA Hololens

現実でCGを共有するProtoSpace

火星探査機など高価な機械の製造においては、現実世界で物理的に部品を組み立てる前に、まずCGによる設計シミュレーションを行うことがよくあります。NASAはそれをHololens用のソフトProtoSpaceを用いて、「CGを現実世界で共有しながら」行っています。

ProtoSpace使用の様子

https://www.youtube.com/watch?v=vynaDaQLvYg

この『Protospace」を用いると、設計しているものが実際のスケール感で立ち現れるので、部品のサイズや連結の状態、外観などを、より直観的に検討することができます。

さらに、開発者全員がどこにいようと(離れた場所であろうと)、何人であろうと、「まったく同じもの」を見て議論ができることも魅力的です。NASAによると、同じ部屋にいる人同士なら、映るヴァーチャルモデルはcm単位で正確な同期ができるとのこと。

こうして最適化された部品のみが現実の組み立てに採用され、話し合いも簡単にできるようになり、無駄な開発コストをなくすことが可能となります。

火星表面をシミュレートするOnSight

NASAが開発しているソフトウェアのもうひとつ、『OnSight』では実際に火星表面に立っているような体験ができます。このとき視界に映される火星表面の画像は、実際に探査機・衛星によって撮影されたものです。

現在のところHololensの視野角の問題で、火星の映像が見えるのはユーザーの視界中央の長方形領域内だけ。視界の端は現実世界のままです。

ただしHololensは、Oculus RiftやHTC ViveなどのVRヘッドマウントディスプレイとは異なりワイヤレスなため、HTC Viveの「ルームスケール」よりも、さらに広い範囲を自由に動き回ることができます。

NASA Hololens

またHololensは特定のジェスチャーを認識することができます。OnSightを体験したUploadVRのライターによれば、ジェスチャーのコマンドで距離を測定出来たり、歩行圏外へテレポートできたりするそうです。

地球にいながら「探査機は火星でどのように振る舞うか」をシミュレーションできることは、探査機の遠隔操作などの分野で大きなメリットを生むでしょう。

なお、ソフトウェア開発以外にもNASAは先日、国際宇宙ステーションでHololensを使用するテストを成功させました。Sidekickと呼ばれるこのプロジェクトでは、Hololensを用いて、宇宙飛行士に複雑なタスクを順次指示したり、地球上の基地に残っている人とSkypeで通話したりすることが可能となるようです。

Hololensの実用化に向けた動きも、徐々に見られるようになってきました。

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(参考)
Hands-On With NASA’s Mixed Reality HoloLens Tools – UploadVR
http://uploadvr.com/hands-nasas-mixed-reality-hololens-tools/

この記事を書いた人

  • 1tQ5TzRU

    工学専攻の大学生。好きな科目は国語。趣味は歌などの創作でボーカロイドも使います。SAOのような物語が引き起こす、自他の文脈や人と世界の関係の集積へダイブすることを切望して止みません。将来もVRの傍に立っていたいと思います。

    Twitter:@yunoLv3

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