日本マイクロソフト社は、8月2日、2018年度に向けた経営方針説明会を開催しました。好調なクラウドビジネスに加えAIと並んでMR(Mixed Reality、複合現実)が、産業や働き方などに変革をもたらすデジタルトランスフォーメーションの一角を担い、同社としても組織体制や製品の展開を強化する狙いです。
HoloLensは米国に次いで第2位の出荷数
経営方針説明会では、日本マイクロソフトの平野拓也代表取締役社長からは好調なクラウドビジネスの状況と、デジタルトランスフォーメーションについての説明がありました。その中で、新領域として現実とデジタルを融合させていくMR(Mixed Reality、複合現実)についても言及がありました。
すでにマイクロソフトが展開しているシースルー型のMRデバイスHoloLensは、2017年1月に国内発売となり、半年で米国に次ぐ第二位の出荷数を誇ります。平野社長は特に開発者コミュニティが活発なことに言及し、日本におけるMRを活かしたコンテンツの開発・検証が世界的に突出していることを強調しました。
法人向け支援を促進するため体制強化
HoloLensは現在、法人によるビジネス領域での利用が進められています。
今後、MRをさらに拡大するために、MRパートナーシッププログラムを秋に日本でも開始すると発表。開発者向けの支援だけでなく、SIerなど様々なパートナーシップを強化していくことを明らかにしました。日本マイクロソフトとしては、2017年中に5社程度とのパートナーシップを考えているとのこと。詳細は今後発表されます。
同社のWindows&デバイス本部 本部長の三上智子氏によると、現在HoloLensは国内でPOC(概念実証)は進んでおり、MRという新しい技術が建築・医療・製造など様々な業種で使われ始めている、とのこと。各業界ごとに特化したインダストリーフォーカスの方針をMRでも適用し、社内の法人向け支援体制をさらに強化する、と明らかにしました。
具体的には、法人向けの営業を行うエンタープライズサービス事業部に加え、日本マイクロソフトには本社のデバイスグループと直結した担当が常駐するとのこと。ソリューション営業・支援を強化する方針です。
年末発売のPC向けMRヘッドセットは国内でも同時展開、年末商戦狙う
マイクロソフトはHoloLensに加え、MRを体験できるより低価格で手軽なデバイスとして没入型のMRヘッドセットを各種PCメーカーからのOEMで発売予定です。この没入型MRヘッドセットでは、HoloLensのように現実にバーチャルな物体を組み合わせるのではなく、いわゆるバーチャル空間でのVR体験が可能なデバイスです。
現在、Acer、HP、デル、レノボなどが製造を行っています。グローバルでは、年内に発売し、価格は299ドル(約3.3万円)から、と非常に手軽に高品質なVR体験ができるデバイスとして注目を集めています。
Acer製ヘッドセットに関しては開発者版の予約が日本でも行われ完売、HP製ヘッドセットの開発者版も予約が告知されています。
[wc_row][wc_column size=”one-half” position=”first”]
[/wc_column][wc_column size=”one-half” position=”last”]
[/wc_column][/wc_row]
日本マイクロソフト コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長の梅田成二氏は、「国内でもグローバルと同時発売を行い、年末商戦を狙う」とのこと。価格も現在の開発者版の価格と変わらない設定を目指す、ということで最安でAcerが開発者版として公表した4万円程度の価格帯になりそうです。MRヘッドセットに関しては、HoloLensと異なり、一般消費者に向けても売り込んでいく姿勢を見せていました。
また、現在発表されている5メーカー(Acer、HP、デル、レノボ、ASUS、3Glasses)以外にも未発表のメーカーがあり、今後明らかになるとのこと。
VR、ARを包含するMRという概念を軸に、シースルー型のHoloLensと没入型のMRヘッドセットを積極的に展開するマイクロソフト。来年以降、日本でもビジネスと家庭の両側面でMRを体験する機会が増えるかもしれません。