【体験&講演レポ】90度の広視野角を持つARデバイス『Meta2』HoloLensと異なる独自の良さ(前編)

4月末にシリコンバレーで開催されたSVVR EXPO2016では、2017年の発売を控えているARデバイス『Meta 2』の開発チームも講演を行いました。また、体験は近くのホテルにて一部のプレス、開発者が体験できたのみ。筆者もなんとか体験することに成功しました。

前編では体験レポートを、後編では講演と開発を行ったMeta社のインタビューをお送りします。

『Meta2』とは何か

Meta2は米Meta社のARデバイスの開発者版です。2015年1月に出荷されたARデバイスMetaの後継機で2016年3月に制作が発表。現在予約を受け付けており、2016年第三四半期に出荷を目指しています。一般発売は2017年の予定。

眼前に広がるサンバイザーのように広大なハーフミラーで反射された視覚情報を目にすることで、現実空間にまるでモニター等が浮いているかのように見えるという仕組みです。

Meta2の最大の特徴は、前モデルとなるMeta(Meta1)での課題だった視野角の改善です。公称では90度というARデバイスとしては非常に広い視野角を誇っていることをウリにしています。

同様に現実空間に様々なものを投影するマイクロソフトのHoloLensは40度程度と半分程度です。視野角が狭いということは、それだけ視界の中で表示されている領域が狭いということになります。ARデバイスの場合、PV動画などで現実空間全体に様々なものが投影されているように見えても、体験してみると視野角が狭いとそのうちの本当に中心点の周囲わずかな部分しか見えていないということが起こります。

デモ体験の詳細レポート

自身のMeta1やHoloLensを含め、視野角が狭いことを最も問題視しその点を追求して作られたのがMeta2です。

カーテンを全て閉じ、非常に暗くしたホテルの一室。居室の中央に置かれたスタンドテーブルに布がかかった状態でMeta2が置かれていました。

Meta2

Meta2

よく見ると表示領域が見て取れます。

Meta2

なお、ここから先の体験自体は撮影したものがないため、文章でのレポートとなります。

装着感はその存在感を感じる程度。デモを行っていた10分程度の間、重いとは思いませんでしたがOculus Rift製品版のように軽さを感じるわけでもなく、まずまずの装着感でした。

スタンドテーブルにあるMeta2を被ると、向かい側にはMeta社の社員が立っています。自分の背中側の遠く離れたところにPCがありました。立ち位置を調整するとデモがスタート。Meta社のテーブルの上には「Meta」の文字が浮かんでおり、一つ一つのシーンをMeta社の社員がハンドジェスチャーで操作しながら言葉で説明を加えていき、一つのプレゼンになっていました。

Meta2

講演でも1枚目のスライドに使われていたこのロゴが現実空間に表示されていました。

まずはテーブルの上に出現した玉を指で突っついたり、掴んで拡大したり、縮小できるというデモ。ハンドトラッキングが効いており、指を使って自分の思い通りに目の前に表示されているものを動かすことができます。もちろん目の前に近づけてきたりといった動作も可能でした。

続いて、目の前にウィンドウが出現します。下を見ると手元にはPCのキーボードが置いてあり、そのキーを叩いて文章を打ち込むことが出来ます。

この体験は非常に印象的なものでした。なぜかというと、Meta社は「二次元のモニターからの脱却」の実現を掲げています。モニターではなくARデバイスを通して見る現実空間をモニターとして置き換えていくということを目指しています。

そうなると気になるのは「果たして実用に耐えうるのかどうか」という点。「現実空間でウィンドウを指で摘み、ちょうどいい距離に置いて、サイズを調整し、キーボードで文字を打つ」というこの体験は、解像度もそれなりに高く。このまま使えると思うに足るものでした。

さらにそのまま複数のウィンドウを呼び出し、ウィンドウを掴んで場所もサイズも自由に配置しながら作業をしていくことができました。

そしてそのままEコマースのデモへ。Magic Leapのデモ動画でもありましたが、販売ページにアクセスし、商品をタップして現実空間に3Dモデルを呼び出し、目の前に近づけて色々な角度から眺めることができます。

他にも教育向けに教材にある人体模型を引っ張りだすと、人体模型そして血管や神経系など、各系だけを抜き出して並べることができます。そのうち一つを掴んでよく見るということも何のその。

さらに最後のデモでは、人工衛星を掴んでバラバラにすることでその構造をじっくり見ることができました。再び組み立てられた人工衛星が自分の周囲をぐるっと回り始め、身体を回しながら追っていくと、自分の真後ろに大きな地球が回っており、地球を見下ろすそんなシーンでデモは終了しました。

広視野角、ハンドトラッキング精度、位置のトラッキングなど

ARデバイスの視野角があまり広くないことに不満を持っていた筆者からすると、90度という視野角は、十分広いと感じることはなくとも、かなり実用的になったと感じました。それでも上下はまだ狭いという印象があります。横幅も視野角90度というとGear VRの96度と近い広さですが、顔面を覆うVRのヘッドマウントディスプレイに比べて、ARデバイスの場合は現実がそのままの視野で広がっているため、「目で見えている実際の視界と表示領域の差」が生じるとどうしても不満になってしまいます。Meta2では、90度という広さを実現したことで、その不満はかなり解消されました。

またハンドトラッキングも使いにくいというほどではなく、表示されているものに手を伸ばせばかなりしっかりと反応します。Leap MotionのOrionほどではありませんが現実に表示されているものにしっかりと干渉できる体験は好感触でした。ただし、場所が暗かったことを考慮にいれる必要があります。通常の室内灯の明るさでどのような反応になるかは未知数です。

さらに位置のトラッキングが効いており、テーブルを回って表示されているものを回りこんで見ることも可能でした。

前世代機のMeta1と比べるとその性能はあらゆる面において向上したと言えます。

Meta2

マイクロソフト、HoloLensとの比較

では最近話題のAR/MRデバイス、マイクロソフトのHoloLensと比較をしてみます。観点は、装着感、視野角、操作性、空間把握の4ポイントです。比べてみるといずれも一長一短という印象ですが、より実用性が高いのはMeta2ではないかと思われます。

なお、本比較では光学面の仕組みの違いなど技術的な違いに関しては触れておらず、あくまでも使用感にフォーカスしています。

hololens

装着感

装着感は、HoloLensのほうが軽い印象を受けました。Meta2は実際の重さを測ることができなかったため、体感ですが、装着感としてはHoloLensのほうがフワッとした装着感でした。

また、Meta2とHoloLensの大きな違いとして、ケーブルの有無があります。Meta2は母艦となるPCからケーブルで繋いでの使用、HoloLensはHoloLens自体が独立したコンピューターとなっています。そのため、Meta2はOculus Riftなどのようにケーブルが必須となります。製品版では最終的にUSB1本になるとのことですが、デモでは直径1cmほどの太いケーブルを垂らしての体験となりました。HoloLensのように身軽に部屋の中を動くことができないというのは一つの課題です。

しかし、その分Meta2では処理をパワフルなPCが行っているため動作の安定性があります。解像度も2Kとそれなりに高いため綺麗に表示されていました。ただしVRヘッドマウントディスプレイほどのハイエンドなPCでなくとも動作するとのこと。

視野角

こちらは40度強のHoloLensと比べると圧倒的にMeta2に軍配が上がります。HoloLensでは部屋中にウィンドウを配置したとしても目当てのウィンドウを探すために視界を動かさなければなりません。まさに覗き窓から除いているような感覚になります。

一方、Meta2では90度の視野角によって現実空間をより広く使うことができました。例えば、4体の人体モデルを横一列に並んでも全部が同時に見えています(HoloLensでは全てを見ることは難しい)。また、ウィンドウを複数枚空間に貼り付けてもそれぞれが同時に展開し、表示されています。さらに、目の前に地球があるときにその大きさをスケール感満点に見ることができるのも視野角の広さゆえです。

そして、HoloLensよりもMeta2は、自分の目のより近くまで表示させることが可能でした。顔を近づけると表示が消えることも多かったのですが、Meta2では近くまで顔を近づけてまぢまぢと見るということが可能です。

HoloLensの表示は明るい室内でも問題なく認識ができました。Meta2は暗室での体験となったため明るい場所でどの程度視認できるかも懸念が残ります。

操作性

ハンドトラッキングの精度はHoloLensもMeta2も高く、誤認識はそこまで大きくない印象でした。Meta2のデモでは、表示されている物体に干渉できる体験が非常に直感的でした。HoloLensでは、表示されているものに手を伸ばして干渉するのではなく、指をカーソルのように動かして操作し、タップやピンチズームなどの動きは表示物の場所と関係なくとも認識され、やや直感的ではなかった点が気になりました。

空間把握

現実空間をスキャニングし、実際に現実の壁にウィンドウを貼り付けたりといったことが可能なHoloLens。一方Meta2にそのような機能があるのかはデモでは知ることができませんでした。ポジショントラッキングは行っていますが、現実空間の認識がどこまでできているのかは未知数です。

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この記事を書いた人

  • KFtb1VIM

    慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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