VRでコミュニケーションをとるソーシャルVRに注目が集まっています。ソーシャルVRの実現には、フェイスブックが積極的に取り組んでいるほか、VRのキラーコンテンツになるとの声もあります。
その際に、VRでアバターの感情表現をより豊かにするものとして注目されているのが「表情認識」です。
スイスに拠点を置くMindMaze社は、ニューロVRテクノロジーを応用して“感情を読み取る”VRヘッドセット向けシステム「MASK」を発表しました。顔の表面から電気インパルスを検出し、表情に表れる直前の感情を認識してアバターに伝えることで、現実の感情とアバターの感情を同期できる、としています。
MindMaze創業者Tej Tadi博士
MindMazeは2011年にTej Tadi博士により創業しました。Tej博士は、スイス連邦工科大学でバーチャルリアリティ&コンピューターグラフィクスの修士課程を修了し、博士課程では最先端の脳イメージング技術、認知心理学、神経画像処理を組み合わせ臨場感あふれる没入型バーチャルリアリティシステムを構築しました。
2016年2月には脳卒中の治療にVRを活用するなどの目的でVRスタートアップ史上最高額の1億ドルを資金調達しています。
現実とアバターの感情を同期する「MASK」
ニューロVRテクノロジーにより現実の感情をデジタル世界へ同期できるVRヘッドセット「MASK」を発表しました。「MASK」は以下の特徴を備え、ソーシャルVRなどの感情が重要になるアプリケーションにおいてより現実とアバターの感情を同期させ、感情的に没入して体験ができるとしています。
「MASK」の特徴
現実よりも速い感情認識
進化した機械学習と生体信号処理を利用することで、ユーザーの顔に表れる数十ミリ秒前の表情をデジタル化しアバターに反映できます。
進化した表情認識
顔の表面から電気インパルスを検出し、独自のアルゴリズムで分析することでトレーニングや事前のキャリブレーションなしに各個人の神経信号を生成します。
さまざまなヘッドセットに対応
「MASK」のハードウェア部分は、軽量のフォームパッド形状となっています。Gear VRのようなモバイルヘッドセットから、Oculus RiftやHTC Viveといったデスクトップ向けヘッドセットまでどのようなVRヘッドセットにも組み込むことができます。
「MASK」のようなフェイストラッキング技術は他社からも生体センサーやカメラを用いた方法などが登場してきています。ソーシャルVRといった表情をアバターに伝えることが必須なアプリケーションでは重要な機能となるので今後の動向に注目です。
(参考)
MindMaze MASK- (英語)
https://www.mindmaze.com/mask/