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テック 2017.01.09

Kopin社、2K×2Kかつ120Hzで動作する有機ELディスプレイを発表

ヘッドセットシステム用のマイクロディスプレイや、光学系、チップなどの開発、製造を行っているKopin社は、VR用HMD向け高解像度有機ELディスプレイ「Lightning」を発表しました。

Lightningは、2048×2048ピクセルの解像度かつ120Hzのリフレッシュレート、網戸効果を抑える特徴を持つ対角1インチサイズのディスプレイです。さらに、低消費電力、低放熱ながら低リフレッシュレイテンシ(10μs)を誇っています。

Kopinは、LightningをVR用HMD向けのソリューションとして実証するため、「Pantile」と呼ばれる独自の特許取得済みの光学系を持つデバイスを開発しています。Kopinの最新のレポートによると、このデバイスは、厚めの眼鏡ぐらいのサイズ(厚さ30mm以下)で視野角90度を実現するとのことです。

これまで、このようなマイクロディスプレイは、高倍率なレンズが必要で、どうしても歪みや像の乱れ(アーティファクト)が生じてしまうため没入型のVRHMDには適切でないとされてきました。

現在、企業の中には高視野角を実現するための新たな光学系を開発し始めている企業があります。例えば、eMagin社は、独自の特殊な光学技術を用いることで2K x 2Kの解像度と視野角100度を実現するシステムを発表しています。

公開されている情報によるとKopin社のデバイス「Pantile」の光学系はHTC ViveやOculus Riftと似たようなフレネルレンズの技術を使っているように見えます。しかし、フレネルレンズは、”god ray(光のすじ)”やリング状のアーティファクトが生じてしまい、VR体験の没入感を阻害しています。従って、Pantileでもこの問題が発生する可能性があります。その一方で、Kopinは顧客やパートナー企業向けにディスプレイを提供することを検討しているため、今後他の先進的な光学系と合わせて改善する可能性があります。

KopinのCEOであるJohn Fan氏によると、新しいマイクロディスプレイは、1パネルを50ドルで製造できる能力があり、2017年の後半には3k x 3kの解像度に高めていくと述べています。現在市販されているRiftとViveは1眼あたり1080×1200なので、本当に実現すれば3倍の解像度を持つことになります。

光学系の課題はあるにしても、マイクロディスプレイを用いたコンシューマ向けHMDが実現すれば、サイズダウンにつながるため非常に魅力的です。

(参考)

Kopin Unveils ‘Lightning’ 2k x 2k 120Hz OLED Microdisplay for Mobile VR – (英語)

http://www.roadtovr.com/kopin-unveils-lightning-2k-x-2k-120hz-oled-microdisplay-mobile-vr/

Kopin Debuts Lightning OLED Microdisplay With 2k x 2k Resolution for Mobile VR at 2017 CES – (英語)

http://www.kopin.com/investors/news-events/press-releases/press-release-details/2017/Kopin-Debuts-Lightning-OLED-Microdisplay-With-2k-x-2k-Resolution-for-Mobile-VR-at-2017-CES/default.aspx

※Mogura VR は、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。


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