KDDI は、2017年2月16日より、VRヘッドマウントディスプレイ「HTC Vive」を使った、災害の疑似体験コンテンツ『VRによる災害対策訓練ソリューション』 の提供を開始します。
また、西日本旅客鉄道株式会社 (以下JR西日本) は、同サービスを、新宮駅と和歌山市駅を結ぶ、紀勢線の津波対策に関わる運転士向けの訓練に、2017年4月以降、順次導入予定であるとのこと。
南海トラフ地震を想定、導入に至った経緯とは
文部科学省は、今後30年以内の地震発生確率を、南海地震について60%程度、東南海地震について70%~80%と評価しています。
紀勢線において南海トラフ地震が発生した場合、総延長の約3分の1にあたる約73kmの区間が津波で浸水するという想定がなされています。
路線の津波浸水深予想
このような想定を受けて、運転士のさらなる判断力の向上を目指すために、JR西日本とKDDIは、VRを活用した災害対策ツールの導入を決定したとのこと。
地震や津波を疑似体験『VRによる災害対策訓練ソリューション』
1.「最適行動の演習コンテンツ」
紀伊線における「想定浸水深」および「自列車の位置から最寄りの避難出口」や「高台」の位置などを、実際の地理と重ね合わせて確認するコンテンツです。
2.「地震・津波発生疑似体験コンテンツ」
地震発生と、それに伴う津波がやってくる様子を疑似体験できるコンテンツです。コンテンツは、紀伊線の一部区間を運転手の視点で360度動画で撮影して制作されました。
映像は9Kで撮影され、6Kに圧縮されているため、避難誘導などの標識が肉眼で確認可能であることが特徴です。
訓練は、指導者が訓練対象者 (主に運転士) に対して実施します。対象者の視点を表示するモニターがあり、指導者が任意の場所で緊急地震速報を鳴動させ、訓練者の行動をモニターします。VR装置は、4月下旬に新宮列車区と紀伊田辺運転区に配備予定であるとのこと。
キャリアのVR向けサービスとしては、他にもソフトバンクがJR東日本と、電車の点検中に起こる事故の、疑似体験コンテンツの導入を発表しています。
(参考)
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2017/02/15/besshi2319.html
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2017/02/15/2319.html