【インタビュー】いよいよ予約開始したPS VR。SIE吉田修平氏に話を訊いてみた

6月14日から16日まで開催されたE3。株式会社ソニー・インタラクティブ・エンターテインメント(SIE)はPlayStation®VR(PS VR)の日米欧の発売日を発表するとともに、大型ゲームタイトルのVR対応版を含むタイトルラインナップを発表しました。

10月13日の発売に向けて、気になるあれこれをE3にてSIEワールドワイド・スタジオ(WWS)プレジデントの吉田修平氏に訊きました。

SIE 吉田氏 インタビュー

より多くの方に一度でもPS VRを体験してもらいたい

――日米欧同時発売ということが発表されました。日本では、店舗、オンラインでの通常の予約だけでなく、体験会と予約がセットのものや、体験会と抽選販売のセット、などバリエーションが多いですね。

吉田氏:

VRは体験してみないとその良さが分かりません。まずは体験してみて、魅力を納得した上で予約していただきたいという気持ちが強いため、体験会を設けています。

――体験会で酔いなど、ネガティブに感じてしまうことでプロモーションとして諸刃の剣になる可能性もあります。これまでPS VRの体験会でネガティブな感想もあったりしましたか?

吉田氏:

コンテンツの中には移動を伴うものもあり、ちょっと酔ったという声は、いただくことがありました。例えば、ジェットコースターに乗れない人もいるように、全員がVRで全く酔わなくなるというのは難しいことです。それでも、今は酔わないVRコンテンツの作り方のノウハウを各開発者さんにもシェアしている最中なので、できるだけ多くの人が楽しく体験できるようにしたい、と思っています。

――体験会はこれからどんどん増やされていくのでしょうか。

吉田氏:

増やしていきます。できるだけ日本の各地で行います。東京中心とならないようにしたいと考えています。

――確かに地方ではVRを体験したいという声が強いですよね。

吉田氏:

関西も福岡も、PS VRの体験会を開いた時には本当に喜んでいただけました。これまで、PSVRを体験する機会が少なかったという反省も含めて、地方での開催を増やしていきたいと思っています。

――体験会のソフトのラインナップはSIEWWSで制作されたものが多い印象ですが、他のソフトを体験する機会はあるのでしょうか。

吉田氏:

SIEが作ったものに限るということはありません。我々はこれまで、PSVRを初めて体験してもらうには、『Ocean Descent』、『The London Heist Getaway』、『THE PLAYROOM VR』が合っていると思い採用してきました。

『THE PLAYROOM VR』

https://www.youtube.com/watch?v=kAUZ1H2_fn8

『Ocean Descent』、『The London Heist Getaway』などが含まれるコンテンツまとめソフト『PS VR Worlds』

https://www.youtube.com/watch?v=69XFqRfzl_k

今回正式にローンチタイトルとして決まった『サマーレッスン(仮)』、さらに『初音ミク VRフューチャーライブ』、『Rez Infinite』なども初めて体験してもらうのにはいいですね。多くのタイトルを体験してもらえると良いなとは思います。ただし、体験にはどうしても時間がかかりますので、一人の方に多くの種類のコンテンツを体験してもらうよりは、より多くの方に一度でもPSVRを体験してもらうことの方が今は大切かなと私は思います。

――でも、1度体験してしまうともっとやりたくなってしまいますよね。

吉田氏:

そうなんですよ!同じ人が長時間占有してしまうと、他の人ができなくなってしまうので(笑)

――難しいところですね(笑)今後体験の場を店舗などにも広げていくというお話がありますが、ハイエンドなVRHMDのハードウェアメーカーとして、販売のため体験会を日本で大規模に展開するのは、SIEが初めてになります。係員の方のサポートについてはどのようにお考えなのでしょうか?

吉田氏:

初めて体験する方が多いので、係員のサポートは重要視しています。初めてデバイスを付けた時にくっきりと見えるようにサポートするとか、ヘッドホンで3Dオーディオを楽しんでいただくなど、綿密にやらせていただいています。

――今はインターネットカフェなどでVRデバイスが導入されつつありますが、サポート体制の徹底の難しさというのもあるのかなと感じています。

吉田氏:

我々の方では、PS VRの体験会でサポートしていただくアテンダントの方にはしっかりとトレーニングを受けてもらっています。

VRらしいゲームを

――今回のE3のプレスカンファレンスでは、『FF15』や『バイオハザード7』など、通常のゲームのVR対応の発表が相次ぎました。既存のゲームタイトルをVRにする際に、単純に視点等を移植するだけだと面白くない場合が多々あります。クオリティコントロールなどはSIEさん側からされたりするのでしょうか?

吉田氏:

ジャンルによります。例えばレースゲームや『エースコンバット7』などの乗り物系コンテンツは、そのままVRに対応してもかなり楽しいですし、今後はVRバージョンの方が本流になるんじゃないかと思えるぐらい体験の質が上がります。

https://www.youtube.com/watch?v=aIqAS4avNsE

――確かにそうですね。

吉田氏:

あとは、主観視のゲームであまり視点が動かないもの。『Thumper』などは非常に良い例で、VRでも全く問題ないですね。他には、スローペースなアドベンチャーゲームはVRに向いていると感じています。それ以外のジャンルでは、既存のゲームをそのままVRに対応させても、まず上手くいかないというのがほとんどです。例外と考えるべきだと思っています。

https://www.youtube.com/watch?v=eThoazvS8_0

しかし、デベロッパーさん側の意図が既存のゲームをまるまるVRで遊んでもらうというものであれば、VR酔いしない工夫やVRに適したUI、既存のゲームにVR向けに手を加えることは必須です。ノウハウを交換したりコミュニケーションを取って、全体の体験のクオリティを上げるようにする努力を今後も続けていきます。

――『バイオハザード7』はフルでVR対応されますよね。

吉田氏:

ものすごくアグレッシブですよね。私もカプコンさんのチームの方と話しましたが、VRに対しての情熱を非常にお持ちで、あれだけ情熱をお持ちなので絶対に良いVR体験にしてくれるんじゃないかと、私は信じています(笑)頑張っていただきたいと思います。我々も技術的なことやノウハウ的なサポートは継続的にしていきます。

https://www.youtube.com/watch?v=8ycRSVCuWe4

――日本でのローンチタイトルラインナップと海外で違いがありそうですね。

吉田氏:

海外のタイトルで、GDCで発表されたものには、日本での発売が未定のものもあります。「それはどうなっているの?」という声もいただいていますし、私もぜひ日本でも発売して欲しいと思っている作品もあります。

――発売するかはデベロッパーさん次第というのもありますよね

吉田氏:

そうですね。海外のインディータイトルは日本に来るときにローカライズやレーティング(※)をしないといけません。

(※)レーティング:暴力表現等、日本国内で展開するにあたってゲームの年齢制限をかける仕組みのこと。

――GDCの時に日本の各ゲーム会社さんのロゴが並んだリストが発表されましたが、まだローンチタイトルには名前がないところも多いようです。ローンチには間に合いそうでしょうか?

吉田氏:

あのリストはPSVRに参入しますよという意思表示だと思っていただければと考えています。まずは、各企業ともR&Dを行うということもありますし、タイトルが発売される時期などはそれぞれ違ってきますね。

PlayStation®VR-オフィシャルサイト

――PS VRの発売まで4ヶ月ほどあります。今の29のリストからは増えるのでしょうか?

吉田氏:

そうですね。増えて欲しいなと思います。

――発表されたタイトルは新作がほとんどでした。すでに発表されていた「グランツーリスモ」や「エースコンバット」などの進捗はいかがでしょうか?

吉田氏:

弊社のタイトルでいいますと、『グランツーリスモSPORT』は11月の発売日にはVRで楽しめるようにというのを目標に開発しています。他のタイトルにも期待したいですね。

『Farpoint』は「超楽しい!」

――『Farpoint』という新しい作品が発表されましたが、新しいコントローラーも発表されましたよね。

吉田氏:

体験しましたか?

https://www.youtube.com/watch?v=c18R6Sb97nM

――それができていなくて…

吉田氏:

絶対体験した方が良いですよ!あれは本当にオススメです!私も大好きな作品です。最初にゲームが始まった瞬間にテンションが上がりまくります。すごくかっこいい武器を手に持っていて、それを実際に感じることができます。モーションコントローラーなので、動かしたとおりに動きます。PlayStation Move(PS Move)モーションコントローラーのようなハンドコントローラーでもある程度はそれっぽさがありますが、大きな武器を実際に持ってVRの中で好きなように撃てるというのは、それはもう楽しいですよ。

SIE 吉田氏 インタビュー

――持っている感覚や物体そのものが大事というのもありますよね。

吉田氏:

実際に持つことは大事です。そして、綺麗なグラフィックスのSFの世界の中で恐い敵が迫り来るわけですよ。それをこうバアーンと撃って(実際に武器を構える動作をしながら)、というのが非常にテンション上がります。

SIE 吉田氏 インタビューFarpointの話題になり、武器を構えるポーズをとりながら興奮気味に話し始めた吉田氏。それだけFarpointの体験が印象的だったのだろう。

――あのコントローラーはいつ頃発売されるのでしょうか。

吉田氏:

アメリカでは『Farpoint』との同時発売を予定しています。ちなみにあのコントローラーは『Farpoint』専用というわけでもないです。シューター系であれば対応できます。これから他社さんにも紹介していきたいと思います。

――PS VR専用となる全く新しいコントローラーですよね。

吉田氏:

はい。PS Moveモーションコントローラーを組み合わせたものではなく、単体で新たに作ったものです。

――コントローラー類は今後も色々と作っていく可能性はあるのでしょうか?

吉田氏:

クリエイターの皆さんから、「こういうものをやりたい」というアイデアがあれば支援していきます。『Farpoint』の場合、開発チームであるImpulse Gearの人たちのアイデアを弊社のハードウェアのチームが良いねと言って形になりました。コラボレーションというのは我々も大切にしていきたいと思っています。特にVRは、VR内のものを実際に手に持つということが、プレゼンスを高めるのに本当に役立ちます。

――イベントごとに毎回新たな情報があって、とにかくPS VRの発売が楽しみになりますね!ありがとうございました。

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この記事を書いた人

  • KFtb1VIM

    株式会社Mogura代表取締役社長。慶應義塾大卒。元ネトゲ廃人。中央省庁勤務後、ベンチャー企業を経て「Mogura VR」編集長。VRジャーナリスト。国内外を駆け回って情報収集中。VRのことならいくらでも語れます。

    Twitter:@tyranusii

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