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テック 2017.12.22

Insta360 Pro、ファームウェアアップデートで12K撮影可能など大幅な性能アップを実現

Insta360は、プロフェッショナル向けの360度カメラ「Insta360 Pro」のV2.0となる大幅なアップデートを行ったことを発表しました。V2.0はカメラファームウェアとInsta360 Pro用のコントロールアプリ、スティッチャーソフトの3つを合わせたアップデートです。

今回の大幅アップデートでは、全体の画質の向上に加えて、従来の8K360度静止画を12K360度静止画にアップコンバートする「12K Super Resolution」機能、動画のfps(frames per second:フレームレート)を従来の8K30fpsの360度動画から8K60fpsの360度動画にアップコンバートする「Manual Framerate Adjustment」機能などが追加されました。

「12K Super Resolution」機能と「Manual Framerate Adjustment」機能は、Insta360 Proで撮影した静止画/動画を、Insta360 Pro用のスティッチャーソフト「Insta360 Pro Stitcher」で出力変換するというもの。Insta360 Proで撮影された静止画/動画の元データは従来通り最大で静止画は8K、動画は8K30fpsです。

Mogura VR編集部では、先立って公開されたBeta版で「12K Super Resolution」機能と「Manual Framerate Adjustment」機能を試したところ、従来のものと比較して明確に品質が向上していることを確認しました。

「12K Super Resolution」機能

「12K Super Resolution」機能は、バーストモードで連続撮影した各レンズで5枚連写した静止画を合成して、解像度をアップコンバートするというもの。そのため、Insta360 Proにあるレンズの数6枚×5枚の静止画、合計30枚の静止画を使用します。

バーストモード撮影に掛かる時間は、体感的には通常の撮影と同じ程度の撮影時間でした。そして、合成し12Kにアップコンバートした12K360度静止画も、通常モードで撮影した静止画をそのまま高解像度にしたという印象。また、Burst撮影では通常の2D静止画だけ選択しかできませんが、スティッチングソフトで合成する際に3D静止画に出力可能です。

上の画像は、元データのEquirectangular形式の静止画を解像度「2400 x 1200」に下げたもの。このままで見ると12Kの綺麗さがイマイチ分かりにくいですが、VRゴーグルで元データの12K静止画を見ると、12Kは圧倒的に綺麗でした。今回は、元データ画像の一部を切り取ったものを、8K静止画と12K静止画で比較します。

・8K静止画(一部拡大表示)

・12K静止画(一部拡大表示)

上の拡大した画像を比べると、12Kはくっきりとしていて、遠くにある看板の文字も認識しやすいことが確認できます。しかし高解像度の静止画にも欠点があります。まず第一の欠点が1枚あたりの容量が非常に大きいことです。上記の12K360度静止画は約37MBと大容量のデータとなり、記録メディアも合わせていく必要があります。次に、Insta360 Proの12K静止画は解像度「12000 × 6000」なので、VRゴーグルで見るためのスマートフォンも高解像のものが要求されます。(視野角次第だが、水平視野角が90度の場合、横幅の解像度が3K相当で再生側が本来の画質を十分表示できるようになります)

・12Kの360度静止画


「Manual Framerate Adjustment」機能

上の動画は8K360度動画ですが、3Dの動画もfpsを60fpsに出力することが可能。ただし、3D動画の解像度は6Kが上限です。特に3D360度動画にとってはフレームレートの数字が小さいとVR酔いが起きやすいので、60fpsへのアップコンバートはVR酔い防止の観点からも意味のある新機能だたと言えるでしょう。

また、下の30fpsと60fpsを比較した動画を見ると、その滑らかさの違いは一目瞭然です。

V2.0で搭載された他の新機能

また、今回のV2.0アップデートでは、他にも複数の機能が追加されました。

8K5fps動画が撮影可能

非常に小さいフレームレート5fpsで、8K360度動画を撮影できるようになりました。これまでもタイムラプス撮影モードが搭載されていましたが、本機能によってコマ送りに似た360度動画を、より簡単に撮影/制作できるようになりました。

「MobiStitch」機能の追加

Insta360 Proに内蔵されたプロセッサで、8K動画を高品質のスティッチング「オプティカルフロー」が行えるようになりました。この「MobiStitch」機能はInsta360 ProとPCをケーブル接続してスティッチングを行うというものです。

これまでは「GeForce GTX 1060」などの高性能GPUを搭載したPCが必要であり、実質的にはWindows PCでないと8K360度動画を制作/スティッチングすることができませんでしたが、VR ReadyでないMac PCでも8K360度動画/スティッチング行うことができるようになりました。

トーンカーブ調整機能の追加

撮影時のプレビューなどでトーンカーブ調整が可能になりました。

「シャッタースピード優先モード」と「ISO感度優先モード」の追加

静止画撮影時に「シャッタースピード優先モード」と「ISO感度優先モード」を選択できるようになりました。スマホとPCのコントロールアプリから調整ができます。

全体の画質向上について

Insta360 Proカメラファームウェア V2.0では、全体の画質も向上しています。目立つところでは、ダイナミックレンジの改善や暗所撮影でのノイズ除去などが挙げられます。

・ダイナミックレンジの改善

・ノイズの除去

Facebookとテックパートナーに

Insta360がFacebookとテックパートナー契約を締結したことにより、Insta360 ProからFacebook Liveで、4K360度ライブストリミーングが可能になりました。

今後のアップデートにも期待

Insta360 Proは、今回のソフトウェアアップデートにより、すでに後継機のカメラと言える程の大幅な性能向上を果たしました。また、今夏にMogura VRが行ったInsta360のリュウ・ ジンキンCEOへのインタビューでは、デプス機能とAR機能を追加する計画を明言しており、今後もInsta360 Proのアップデートに注目していきたいところです。


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