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テック 2018.01.08

iPhone直挿しの360度カメラ「Insta360 Nano S」発表マルチビュー動画生成、ビデオ通話対応など高機能化

中国の360度カメラメーカーであるArashi Vision社は、iPhoneに直挿しするタイプの360度カメラ「Insta360 Nano S」を発表しました。「Insta360 Nano S」は、2016年7月に発売された「Insta360 Nano」の上位機種となります。日本も含めた世界同時発売で、国内代理店は株式会社ハコスコ、本日8日より発売も開始されるとのこと。また、国内価格は税別28,980円です。

360度ビデオ通話が可能に

iPhoneのライトニング端子に直挿しするタイプの360度カメラの特徴として、アプリへの素早い接続高速な静止画/動画の転送速度SNS連携の手軽さなどが上げられます。新製品となる「Insta360 Nano S」では、ライブストリーミング機能が強化され、これまでも可能だったYouTube LIVE、Facebook LiveとPeriscopeなどのメジャーな動画プラットフォームでの配信に加えて、360度動画によるビデオ通話も可能。また360度動画ビデオ通話は、Insta360専用のサーバーを使い、ブラウザ経由での通話となります。

ビデオ電話の呼び出し画面。

ビデオ通話のファーストビューは、Facebook Messenger、LINEなどを表示。ただし、リンクをメッセージする仕様になるので、他のメッセージアプリ、メール、SlackやSkypeなどでも可能です。

また、4K360度動画2,000万画素静止画の撮影が可能です。動画と静止画の撮影は「Insta360 Nano S」単体で可能ですが、ライブストリーミングとビデオ通話は、iPhoneのライトニング端子に接続する必要があります。対応機種はiPhone 6以降のiPhoneとなり、iPhone Xにも対応。iPhone SEには対応していない点に注意です。

Insta360 Nano Sの主なスペック

レンズ F2.2
解像度 静止画「6272 x 3136」、動画「3840 x 1920(@30fps)」
タイムラプス撮影 撮影可能
マニュアル撮影 撮影可能
ストレージ Micro SDカード(UHS-I、exFAT(FAT64)フォーマット対応)最大126GB)
連続使用時間 60分
バッテリー容量 800mAh

今までの360度カメラにない、ユニークな映像を作成する「マルチビュー機能」

「Insta360」シリーズの特徴として、ユニークな映像体験を提供することが上げられますが、今回の「Insta360 Nano S」にも、これまでの360度カメラには無い機能がありました。「Insta360 Nano S」のプレスリリースには「マルチビュー機能」と説明されている機能で、これは2つのレンズで撮影した映像/静止画を合成するというもの。

Mogura VR編集部で、Arashi Vision社から提供された「Insta360 Nano S」を実際に試したところ(撮影アプリはベータ版を使用)、下記の3種類の合成映像/静止画が確認できました。

  • (1) フロントカメラとリアカメラ視点の360度動画/静止画を上下2画面に分割表示したもの
  • (2) 360度動画にフロントカメラ視点の360度動画/静止画を合成表示したもの
  • (3) 360度動画とフロントカメラとリアカメラ視点の360度動画/静止画を3分割して表示したもの

下の動画は「Insta360 Nano S」のスマートフォンアプリで「マルチビュー機能」を試した様子の動画キャプチャです。全部で5パターンの表示形式がありました。

この「マルチビュー機能」は、1つの360度動画/静止画から自動で複数のアングルを合成表示した動画/静止画を表示するというもので、特殊な360度動画/静止画ビュワーでないと表示できません。筆者が試しにYouTubeとFacebookに投稿したところ、360度動画/静止画ではなく、通常の動画/静止画となりました。ただし、ライブストリーミングとビデオ通話の場合は少々違ってくるようです。

Facebook Liveで「マルチビュー機能」を使ったところ、配信者/送信者が映したい箇所だけを表示させる動画を配信することができました(※ビデオ通話はサービスローンチ前のため未検証)。配信者がスマホの画面を指でドラッグするとカメラワークさせることができます。「マルチビュー機能」はカメラの機能というよりも、「Insta360 Nano S」アプリのビュワー機能と編集/出力機能と理解する方が分かりやすいのではと思います。

以前からスマートフォンのカメラアプリでインカメラとアウトカメラを同時撮影して合成するアプリはありますが、360度カメラだとスマートフォンよりも自由度が上がります。使い方次第ですが、いわゆるインスタ映えする写真/動画も撮影できそうです。「マルチビュー機能」は、ありそうでなかった360度カメラの機能と言えるでしょう。

スタビとフリーキャプチャー機能に対応

「Insta360 Nano S」の他の機能としては、下記の2つがプレスリリースで言及されています。

・スタビライゼーション機能
・フリーキャプチャー機能

スタビライゼーション機能は、iPhoneに内蔵されているジャイロセンサーを使用するとのことで、カメラ自体にはジャイロセンサーは搭載されていません。そのためスタビライゼーション機能を使い、手ブレ補正の効いた静止画/動画を撮影するには、iPhoneにライトニング接続する必要があります。

フリーキャプチャー機能は、Insta360シリーズのハイエンド360度カメラ「Insta360 ONE」で搭載された機能です。360度動画を通常の2D動画に変換するというものですが、カメラ角度やズームイン/ズームアウトを自由に編集することができるという機能です。

フリーキャプチャー機能の使い方についてはこちらの記事で紹介しています。

「Insta360 Nano S」の外観・デザイン

Mogura VR編集部にある「Insta360 Nano S」がベータ版ということもあり、詳細の性能や使用感については控えますが、カメラの外観などを紹介します。外観としては「Insta360 Nano」と非常に似ており、ほぼ同じデザインと思って問題ないでしょう。

内容品。パッケージの箱がVRゴーグルに。さらにスマホスタンドが同梱されるとのこと。

「Insta360 Nano S」を正面から。スティック型の形状でコンパクトなのが特徴です。

Apple独自規格のライトニング端子のためiOS端末専用のカメラ。

カメラ底面に充電用のマイクロUSB差込口とマイクロメモリーカードの差込口があります。

カメラ背面にはInsta360ロゴがプリントされたシャッターボタンがあります。

カメラ上面から見ると、前後2枚のレンズが微妙にズラされて設置されていることが分かります。

iPhone6に直挿ししました。ピッタリと接続させる形のため、カバーケースなどを付けていると接続できなくなります。

iPhoneの向きを反対にして持っても、カメラは落ちませんでした。

通常はiPhoneを逆さにして使います。ロック解除したiPhoneにカメラを接続すると自動でアプリが立ち上がり、そのままプレビュー撮影ができます。

360度カメラについては、カメラハードウェアのスペックに加えて、カメラファームウェアの性能と撮影アプリとの連携なども重要です。筆者が「Insta360 Nano S」ベータ版を触ってみたところ、動画のスティッチング(繋ぎ目)は「Insta360 Nano」に比べて改善された印象を受けました。「Insta360 Nano S」製品版の入手後に、実機レビューをできればと思います。

 
 

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