「日本が最もMRに取り組んでいる」HoloLens生みの親が語る次世代のコンピューティングと来日の理由

日本マイクロソフトは、2017年5月23日から2日間、年次の開発者会議「de:code 2017」を開催しています。その初日に開催された基調講演には本国マイクロソフトより、MR(複合現実、Mixed Reality)デバイスであるHoloLensの開発を主導したアレックス・キップマン氏が登壇しました。

アレックス・キップマン氏はXbox用のモーションコントローラーであるKinectの開発を行い、その後HoloLensの開発をフェローとしてリードしてきました。

米国外のマイクロソフト主催イベントでの講演は初。今回、来日した理由は日本の開発コミュニティに対する想いがありました。

最もMRが進み、一番早くMRの市場が伸びているのは日本

登壇したキップマン氏は、世界では2016年3月に発売され、日本では2017年1月に発売されたMRデバイスHoloLensが急速に開発者の間で広がっていることを紹介しました。マイクロソフトの把握している限りでは、22,000名の開発者がおり、既に7万のコンテンツ、550万時間起動されているとのことです。

 

https://www.youtube.com/watch?v=xgp2JuseXC4

そして日本のMRの取組が世界でも最も進んでおり、市場も伸びていると見ているとのこと。

その例として日本でも開発者のミートアップやハッカソンが行われ、コミュニティの醸成が進んでいること。教育、医療など様々な分野で活用が始まっていることに言及しました。特に医療分野では、手術へのMRの活用を進めるスタートアップのHoloEyes社の事例を紹介しました。

VR、AR、ホログラムはMRを色々な角度からみているに過ぎない

続いてキップマン氏は、MRというものについてのビジョンについて話を始めました。

よく言われる話として、「VRとARどちらが伸びるのか?」といった話があるがそういうことではない、とキップマン氏。VRとARは別々のものではなく、ホログラムも合わせてMRを色々な角度から見ているにすぎない、と語りました。

 

https://www.youtube.com/watch?v=_xpI0JosYUk

MRでは、VRとARの区別はなく、現実のモノや人をバーチャルなものと混合して認識できます。将来的には、VRでは壁や天井などをマッピングして現実と同じように安全に動けることになるといいます。透過型のHoloLensのようなデバイスでも没入型のヘッドセットでも同じように現実とバーチャルな世界が混ざっている世界を体験できることこそがMRであると説明しました。

MRにより、仕事やコミュニケーション、映画、教育などあらゆるものが変わっていきます。

 

https://www.youtube.com/watch?v=dW1amJLDwuQ

小柳建設による建築業界での使用例

HoloLensの生みの親が考えるコンピューティングの未来

キップマン氏は講演の最後に“2,3年後の未来の姿”をより具体的に説明しました。

その内容はコンピューティングに関わるものです。コンピューティングの歴史を紐解くとパーソナルコンピューティングではデバイスの中に全ての情報が入っていました。今後、MRが実現して到来する未来のコラボレーティブ・コンピューティング(協力型コンピューティング)においてMRデバイスはレンズでしかなく、見るためにあるだけだと言います。


MRデバイス(シースルー型と没入型)

キップマンが語った未来像の一例は、部屋の中で2名が向かい合って話をしているというもの。2名ともHoloLensのような透過型のMRデバイスを装着し、バーチャルな情報(青で示されたもの)を見ています。

一方、MRデバイスを持っていない人も当然いることを想定し、デバイスを持っている人も持っていない人も等しく同じ空間を共有できるような状態をを目指すとしました。デバイスを持っていない人はPC画面で視線、キーボード、マウスなどを使ってコントロールします。

そして、没入型のMRヘッドセットを持っている人はVRで2名の場に合流します。

このように、その場にいる人々、遠隔だがデバイスを持っていない人、遠隔だがデバイスを持っている人、4名が同じ空間で現実のものとバーチャルなものを共有し、実際にその場にいるかのように対話できることを目指しています。

また、UIに関してはWebVRの利用に言及しました。空間に開いたブラウザ(Edge)で写真サービスのPinterestを開き、写真から椅子を引き出して空間内に置くようなことが可能になるとし、2次元のUIから3次元のUIにシームレスに切り替えることのできる未来を提示しました。


マイクロソフトは今回のタイミングで、国内のMR開発を促進するためにgumi傘下のTokyo VR Startups、Seoul VR Startupsと協業していく方針を発表しました。

また、没入型のMRヘッドセットの第1弾としてAcer製の開発者キットを楽天にて予約受付を開始しています。

 
 

この記事を書いた人

  • 慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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