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軍事利用 2017.07.05

ARで変わる兵器 米空母でAR照準システムの実地試験

『GunnAR』とは

『GunnAR』とはARディスプレイを装備したヘルメットを着用し、ターゲットの照準や発砲の合図をビジュアル化するシステムです。2016年から開発されていたこのシステムは最近実地試験が行われ、米海軍の空母『バンカー・ヒル』の艦上にて実弾を使用した実験の様子の映像が公開されています。

開発は宇宙海戦システム司令部に所属するBattlespace Exploitation of Mixed Reality Lab (BEMR)で、DAQRI社が開発するARヘルメット『Smart Helmet』を使用しています。このヘルメットはIntelのプロセッサを使用した一体型のヘルメットであり、『GunnAR』ではタブレット用アプリと併用して運用されます。

ARによる指示伝達の正確化

動画では艦上に設置された固定機関銃の射手がARヘルメットを装着し、上官はタブレットを操作して標的の選定や射撃命令を射手に伝える様子が紹介されています。指示内容はビジュアル化されてヘルメットのHUDに表示されるので、従来の無線による音声コミュニケーションで生じる指示内容の曖昧さや、騒音による聞き違いなどを防ぎ、正確な指示伝達が可能になります。また、本システムを通じて行われたやり取りは逐一記録されるので、記録データを分析することによって兵士のパフォーマンスの改善や決断力の向上にも役に立ちます。

民間技術を利用するメリット

『GunnAR』は米海軍のRobert McClenning大尉の発案によるもので、2016年3月に海軍情報局主催で行われたInnovation Jamにて100,000ドルの資金調達を達成、プロトタイプの制作に至りました。

本システムのベースとなったのは民間での使用を目的としたデバイスであり、民間技術を軍事目的に転用することは議論の対象になり得ます。一方で、危険な状況を想定したシミュレーションや、従来の開発にかかるコストを大幅に削減できるなど、VR/ARを軍事利用するメリットには大きなものがあります。また、米陸軍が開発するAR戦術システムや、オーストラリア空軍が取り組むHoloLensを任務で使用する実験など、VR/ARを軍事領域で利用する取り組みは今後も拡がっていくものと思われます。

(参考)
Road to VR / GunnAR Live Fire Test Shows How AR Can Revolutionize Decades-old Combat Procedures(英語)
https://www.roadtovr.com/gunnar-live-fire-test-shows-ar-can-revolutionize-decades-old-combat-procedures/

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